おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

おっさんずラブ 第一話 ① 最初の挨拶

 連ドラの初回は大切だ。「これからこういうドラマをやっていきます」という、世間に対しての最初の挨拶だからだ。

 だから大体、どのドラマも、第一回はぎゅっと濃い。登場人物のキャラクターと、人物のざっくりした相関図、これからどんな展開になっていくのか、それを限られた時間で説明しなければならない。

 初回がよければ第2回まで視聴者がついてくる。逆に、そこで関心を引けないと、最後まで挽回できなかったりもする。

 途中からすごく面白くなったというドラマもあるみたいだけど、現代の視聴者は忙しい。やはり、初回で掴まないと、なかなか厳しいのではないでしょうか。

 おっさんずラブも、第一話がとても詰まっている。ぎゅぎゅぎゅっと濃縮されている。だからして、視聴者は大変忙しい思いをすることになる。何しろ、10分に1回くらいの頻度で見せ場が来るからだ。いやいやもっとかな。6~7回はあるんじゃないか?(後でちゃんと数えます)



 冒頭の見せ場は部長だ。

 忙しそうに人が行きかう天空不動産。

「みんな、ちょっと聞いてくれ」

颯爽と現れる黒澤部長。

「みんなが頑張ってくれたお陰で、今月の目標は達成。売り上げは関東エリアでトップに立った!」

 おお~とどよめき、拍手が沸く天空不動産営業部一同。

「だが、現状に甘んじていてはいけない。我々は更に上を目指し、会社を牽引する存在になろう!」

「ハイッ!」

 はー、カッコいい。なんてダンディな上司なんだ。

 春田に

「週末のキャンペーンの宣伝プラン、お前に任せるわ。成績挽回のチャンスだ。期待してるぞ」

ぽん、と肩を叩いて激励する。部下を育てる上司の鑑。黒澤部長が「悪いのは部下ではなく上司のあなたです!」的な新書を出したら売れるかもしれん。

 一方の春田。軽く叩かれて、思わず書類を落としてしまう。

「おいおい、しょうがねえなあ」

と笑う部長には、ダメだけど可愛い部下への愛情が滲み出ている。滲み出ているんだけど、書類を拾う手が触れて、ハッとしたあたりから、頼れる上司とは違う別の顔が徐々に表れ始める。

 

 

 田中圭ばかり注目されがちだったけど、顔芸と言えば部長の吉田鋼太郎も負けてなかった。毎回、2人の顔芸合戦には笑かされました。

 初回は特に細やか。



 さて主人公の春田はと言えば、営業成績は最下位、合コンに行っては後輩のマロに舐められまくりで、初対面の女子チームに下手なギャグを飛ばして滑りまくるという、THE・ダメ男だ。

 せっかく一次会終了後他のメンバーがカラオケに行こう!と盛り上がっているのに、べろべろに酔っぱらって介抱役の牧にタクシーに押し込まれる。

 タクシーを見送った牧が

「そらモテねえわ…」

と呟くこのシーン、何気に好き。

 直前の春田のモノローグで、

「こうしていじられながらも、合コンに参加するのは、いつか運命の恋に巡り合えると信じているからだ」

と語るのが、もう何度も見ている身からすると

「出会ってるよ! 隣にいるよ!」

とツッコミを入れてしまうんだけど、まあこの場の2人はまだ何の予感も感じていないらしいのが面白い。



 合コンと並んで描かれるのが、部長夫婦のデートシーン。結婚30周年のお祝いデートなんですね。大塚寧々の蝶子さん、黒澤部長と30年連れ添った感がめっちゃ出てます。

「ちょっと照れ臭いんだけど」

と言いつつ、妻に薔薇の花束を渡す部長。

「きれーい!あなたと結婚してよかったわ」

素直に喜びを表現する蝶子さん。どちらも素敵ですね。

 しかし、

「これからもよろしくお願いします」

と笑顔で言う蝶子さんに対し、

「……こちらこそ」

と返す部長は屈託ありげ。

 既にこの時点で、ずっと隠してきたはずの部長の心が抑えきれなくなってきているんですね。

 変化の予兆を表す印象的なシーン。



 さて牧のお陰で無事家にたどり着いた春田はと言えば、玄関先でジタバタ暴れた挙句、廊下で寝こけてしまう…という体たらく。

 しかしここの場面、田中圭の可愛らしさがもう爆発している。母が開けたドアが頭にごん!て当たってるけど、あれ、本気で当たってるよね。

 ここの母とのバトルもテンポがよくてお気に入り。

「いってぇ…何すんだよ…」

と寝ぼけつつ文句を言う春田に、

「それはこっちの台詞よ。毎晩毎晩夜中に帰ってきて、靴揃えない、服脱ぎっぱなし、食べた皿そのまま、ズボンにティッシュ入れたまま洗濯、レシート入れたまま洗濯!」

 畳みかける活舌が非常によいぞ、春田母。春田の悪いとこ半分言っちゃった。

「ハイハイ、今何時だよ…」

「とっくに8時過ぎてるわよ。アンタいくつだと思ってんの。33よ!!」

ぺしぃ!と母が春田の肩をひっぱたくところまで、いやもう見事なもんですね。よっぽど腹に据えかねてたんでしょうね。私でも捨てたくなるわ、こんな息子。息子いないけど。

 それに対する春田の反撃が、

「シャワー浴びる時間ねえし! なんで起こしてくんなかったんだよ!!」

だもんね。33歳の男の言葉じゃねえわ。春田、かあちゃんに甘えすぎだわ。反省しろ。

 とこんこんと説教したくなるものの、ともかく可愛いんだ。田中圭が。私はヘタレ・甘えた・ダメ男にとても厳しい自覚があるけど、だからして有名なエ〇ンゲリオンも「主人公がヘタレだから」という理由で初回で脱落したんだけど、ここの春田のへたれっぷりは可愛いなあと思ってしまう。

 慌てて家からダッシュするこの春田の姿の小5感。

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 会社へと急ぐ春田が全力疾走するのは、桜が満開に咲き誇る並木道。

 今見ると、そっか、こんな季節に始まったのね、このドラマは…と感慨深い。

 終わってみれば、こんな風に、春の陽だまりのように人の心を温かくするドラマでしたね。

 

 

 ところで、合コンのシーン、マロ一人妙なもの飲んでるんだけど、一体何でしょうね?

 ミルクか?