おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

人の好きなものを嗤うな

 録り溜めたテレビ番組を消化するのに忙しいです。見ては消し見ては消し、の作業を繰り返しているところ。

 

 ところで、大晦日の過ごし方と言えば、SNSなんかで目にする限り、「なんだかんだ言っても紅白」派か、「ガキ使」派か、大きく二分されている感じがします。格闘技系が第三勢力と言おうか。

 私が住んでいるのは関西なので、周りには「ガキ使」派が多い気がします。が、私はこの番組、見たことがありません。

 

 何を見てるかと言うと、時間に余裕があれば、NHKで「第九(合唱付)」を見てます。そういう呟きをまったく見かけないので、少数派なのかなあとも思いますが、「第九」を見る層があまりネットやSNSに親しんでいないのかもしれないし、見ていても特に呟くこともないから沈黙しているだけかもしれないし。

 「紅白」派と「ガキ使」派に分かれている界隈で、「NHKの第九を…」というのは確かに、若干の言い辛さを感じることは確か。ちょっとね、「高尚ぶってる」とか、「お高くとまってる」感じがしないかなーとか、そういう危惧はありますね。

 でも、何を好きでもそこに高低差なんかないし、好きなものを好きでいることに引け目なんか感じる必要はない。

 

 私が以前勤めていた会社は本当にクソな会社だったんですが、個人的に(あーここ全然ダメだわ)と思ったのが、

「人の好きなものを嗤うこと」

でした。

 好きな音楽のジャンルを聞かれて、素直に「クラシック」と答えたら、嘲笑されたんですよね。

「え、ちょっと待って、クラシックとかww 何それww」

てリアルに笑われました。私からしたら、その反応が初めてで、めちゃくちゃビックリしました。

 嘲笑したのはその当時の上司だったんですが、「みんなポップスや歌謡曲の話してるのに空気読めよ…」ということだったみたいです。

 えーと、すみません。好きなものの話、しかも単なる雑談で「空気読め」の意味がまったく分かりません。

 興味なけりゃ「ふーん、そうなんだ」で流せばいいだけの話じゃん。こっちは聞かれて答えただけで、何も啓蒙してやろうと熱弁ふるったわけでもなんでもないのにさ。

 バカじゃねーの。

 

 

 幸い、私の周りにはこれまで「人の好きなものに何か口を出す」とか「意見する」ような人はいなかったし、まして「バカにする」ような人は初めてお目にかかったので、人生初ビックリだったわけですね。

 でも多分、こういうアホ、世の中にはたくさんいるんだろうなーと思う。

 だからもしかして、「おっさんずラブ」に死ぬほどハマってても、周りに理解してくれる人がいなかったり、うかつに口にするとそれこそバカにされたり…みたいな人も少なくなかったのかもしれない。放映当時、爆発的な人気を呼んで話題になっているとは言え、まだ人気が一部のものだったときは、特にそうかもしれない、と推察する。

 「おっさんずラブ」が一時のブームにおさまらず、いくつか賞も獲得し、流行語大賞にもノミネートされ、社会的認知度が高まったお陰で、そういうOL民が一人でも救われていたらいいなあと思う。

 

 もうホント、これは声を大にして言いたいんだけど、

「好きなものを好きだと言って何が悪い!!」

 ですよ!

 人の好きなものを嗤う奴は、所詮その程度の奴ってことです。嗤われても、何ら恥じることはない。嗤った奴こそが恥ずかしい。

 

 日本人は世界一ベートーベンの「第九」が好きなんじゃないかと言われているけど、私も昔から大好きだった。小学校の音楽の授業で聴いて以来かもしれない。近所にクラシックマニアのお兄さんがいて、レコード(※昭和の遺物…)をカセットテープ(※同2)に録音してもらって、それこそ擦り切れるほど聴いたものです。実際テープが伸びちゃってたと思う。確かベーム指揮のウィーンフィルだったはず。そのベーム指揮の第九が私の頭の中に「入って」いるので、他の演奏を聴くと、タイミングやテンポが違って、違和感を覚えるほど。

 

 ベートーベンは、性格に難ありで、お世辞にも「立派な人」とは言えない。難聴からの失聴という逆境が彼をさらに偏屈にしたのかもしれないけど、残された数々のエピソードを聞くと、到底友達にはなれそうもない気難しい人物だ。

 でも、彼の創った音楽は本当に素晴らしいと思う。「第九」は特に、全体を通して歓喜が爆発している。

 モーツァルトもそうだけど、「天才=天与の才」という言葉を思い出す、数少ない人物の一人だ。

 神様に愛された才人。

 彼が後世に遺してくれた数々の傑作を思うと、もう少し幸せな人生を送らせてあげたかったと思うけれども、案外とっくに転生を果たして、めちゃくちゃハッピーな人生を送っていたりするやもしれぬ。

 

 というわけで今年も、大晦日の第九を鑑賞して感極まるという、なんともまったりかつ幸せな年越しを過ごさせていただきました。

 終わった後、ちょいちょい紅白のつまみ食い。米津先生のlemon、圧巻でしたねー。あの辺からラストまでは、本当に歌える「本職歌手」の皆さんばかりで聴きごたえがありましたわ。

 

 ともかく、理性のたがが外れそうな勢いで「好き!」と言えるものがあるって、それだけで素晴らしいことだと思うですよ。

 で、それについては、自分の心が欲するままに、好きでいればいいと思うんです。

 周りに理解を強要したり押し付けたりさえしなければ、好きなものはとことん好きでいていいと思う。

 他の人が、自分がまったく理解できないものを好きでも、「好きという気持ちは尊重する」という姿勢でありたいと思います。

 自分の好きなものが理解されなくても「恥ずかしいと思わない」強さもね。