「あなたの番です」、徐々に盛り上がりを見せているようで、それはめでたい。
がしかし、ミステリ好きとして最初チェックはしたんだけど、今ひとつ好みじゃなかったので、 3話くらいで脱落した。
今日、久々に覗いてみました。
以下、そんな人の雑な感想。
※毎週見ているガチ勢には間違いなく不愉快だと思うので、見ないことをお勧めします。
こないだ、「犬神家の一族」の動画を見たんですよ。石坂浩二が金田一耕助、ヒロインが島田陽子のやつ。もしかすると、金田一映画で一番有名かもしれん。
これ見ると、
「名探偵って、『犯罪を未然に防ぐ』わけではないんだな」
と、改めて認識せざるを得ない。
むしろ、犯罪を断固完遂すると決意を固めた犯人が次々と連続殺人を犯していく。名探偵は、その卓越した推理力によって一連の殺人にある一貫性を見出していき、次に殺される人の候補を予想はするものの、殺人を防ぐことは出来ない。
殺される予定だった人は、犯人の思惑に添って、劇的に華々しく散っていく。
その中で有名なのが、「スケキヨの逆さ立ち」ですよね。「スケキヨ」と言えば早朝の湖に突き立つ両脚ですが、これもお若い人には分からんネタかもしれんのう。。。
それはともかく、金田一映画を貫くのは「様式美」だ。見る方も、「ここでそろそろ次の人が殺される」のが分かっていて、お約束を楽しんで見ている。
名探偵は結局大量殺人を防げないんだけど、最後に「犯人の思惑」を開陳して、おおーさすが金田一さんだ!!てなって、めでたしめでたし。
謎がすべて解かれた後、真犯人は大抵服毒自殺を遂げるんだけど、だからして本当なら
「大量殺人を防げなかった上、犯人を死なせた間抜けさ」
を咎められるべきなんだけど、そこはそれ、
「名探偵だからまあそこら辺はさくっと省略!」
という謎の力が発動する。
でも、それでいいのだ。金田一ミステリのファンは、それ以上求めてない。
それよりも、
・ここぞというところでヒロイン受難
・フラグ立つ→予想通り殺される
・殺され方がかなり劇的でドラマチック
・なんだかんだでラストはハッピーエンド
という要素が満たされていさえすればそれでいいのだ。
そして、この映画を見てファンが納得するのは、
「石坂金田一が知性的で素敵」「島田陽子のヒロインがいかにもそれっぽくて文句なしの美形」「真犯人のあの人がふさわしい品格を備えておる」「脇役やBGMも作品世界を壊さず盛り上げていてよろしい」等々、色んな要素がある。
だからして、「お約束」「様式美」を受け入れることが出来るのだ。
さて、そんな「ミステリ脳」で「あな番」を見てみると。
うーむ……やっぱね、金田一作品は、時代が離れてるのと、田舎とは言え小市民とはかけ離れたセレブの設定だったので、
「所詮絵空事」
と割り切って鑑賞することが出来たんだよな。
その世界を、現代に持ってこられると、たちまち
「自分の周りで起こった出来事だったらどうする!?」
というリアリティが出現する。
それも例えばね、今季のドラマで言うと「ルパンの娘」みたいなぶっ飛んだ設定なら、「これはフィクションだから」と心おきなく楽しむことが出来たと思うの。
でも、現実離れしたコスチュームに身を固めるキャラもいなければ、どう考えても作業の邪魔にしかならない仮面をつけている人もいない。
翔太くんも、その辺のジムにいそうなトレーナーだし、マンションの住人もそれぞれ、(常軌を逸している…)と思う点はあれど、(あーでもいるいるこんな人…)と感じる。
となると、
「こんな毎週のように人が死ぬマンション絶対住みたくない」
ってなりますやん。
ていうかさ、こんなに人が死んでるのに、
・それほど心を許してない隣人の家に一人で上がり込む
という行為が理解できない。
上がるなよ、上がるなよ…と思いながら見ていたのに、流星はアッサリ尾野さんの部屋にあがりこんでるし、飲むなよ、飲むなよ…と思いながら見ていたのに、どこからどう見ても200%怪しいお茶を飲んじゃうし。
で、それは流星だけでなく、他の住民もそうなんだな。
スミマセン、私、テレビのドラマは気を抜いてほけーっと見たい派なんです。
気を抜くと主要キャラが死んじゃうドラマ、なかなかにハードルが高いっす。
翔太くんは頑張ってますね。
ラスト、真実にたどり着けますように。