ああ、終わってしまった……
仕方ない。どんなに面白いドラマでも、いつか必ず終わるのだ。
面白ければ面白いほど、終わりが来るのが辛く切ない。
そして思い出した。そうなんだよ、特撮って、ほぼ1年やるから、物語が佳境に入ると、ああ、終わりが近づいてるな…という気にもさせられるんだった。
任侠さんが言う通り、ひとつのシリーズが終われば、そのキャラのグッズはぐっと減る。雑誌で特集されることもなくなり、早くも新しいシリーズの宣伝が始まる。
だからして、「推しは推せるときに推せ」というヲタ界の格言が尊ばれるのだ。
かのを密かに慕う後輩メガネ君、最後までモブキャラだったけど、このドラマではそのポジションでよかったのではないでしょうか。
これはヲタの物語。社会で嗜好を隠し、孤独に生きているヲタたちが、仲間を得て、趣味を捨てることなく自分たちの生き方を模索していくストーリーだ。
彼氏<<友達の図式がよかったですね。吉田さんとの誤解も解けて何より。吉田さんは所詮ヲタ、思考もまったくヲタのそれでした。かのちんに言いたかったメッセージが
「私の彼氏、次のシリーズのキャラに似てません!?」
だとは。
ヲタ魂、あっぱれ。
思えば吉田さんが子供嫌いっぽいことは、ダミアンとの初対面から示されていたもんね。視聴者としては、ダミアンはかのちんの可愛いヲタ友達だけど、子供嫌いの人からしたら確かにもっとも苦手なタイプかもしれん。
くじけるな、ダミアン…!
何気に北代さんがかのちんのよい相談相手になっているのも微笑ましい。
吉田さんからの電話にビビって出られないかのちんを、北代さんが呼び出して、三者対面が実現する。
お互いに「友達」と思い合っていたことが分かり、「両想い…♡」てなって頬を染め合う仲村さんと吉田さん。ピュアの塊かよ…!
吉田さんに
「あ、北代さんも友達ですよ♡」
と言われて
「ついでみたいに言わないでくれる」
と冷静にツッコむ北代さん、ナイスなキャラでした。
北代さんとみやびさんの友情も長く続いていくといいなあ。
そんでまた、4人でヲタ旅行とかして欲しい。
今やヲタとして立派な自覚があり、ヲタ生活を捨てるつもりはさらさらなさげなかのちんだけど、実はヲタを捨てた過去があったのですね。かの自身が「出戻り」であったのだな。
エマージェイソンのVHS視聴をきっかけに、(やっぱり好きなものは好き…!)と熱い思いを取り戻した自分の過去を回想する場面は感動的でした。
人がどう思うとか、年齢がどうとか、男だからとか女だからとか、そんなのぜーんぶ関係ない。
心がときめくもの、理由が分からないけど胸が熱くなるもの。それは、その人にとって絶対に必要なものを本能が察知した証だ。
そして、誰もがそういう対象に出逢えるわけではないのだ。一生出逢わないままの人だって大勢いる。
出逢ったなら、それ自体が奇跡。
捨ててはいけない。
昔、某アイドルグループの追っかけをやるレベルのヲタの人たちについて、私にも偏見があった。「キモヲタ」と呼ばれるのも仕方ない、自分とは相容れない存在だと思っていた。
その後、魂のど真ん中を撃ちぬかれる出逢いがあって、私の中のヲタ心が目覚めたあとは、(私と彼らとの間に何の違いがあろうか…! 追っかけずにいられないほど好きな対象があるって素晴らしいことだ)と180度考えを改めた。
今でもそれは変わっていない。
ただまあ、もちろん「越えてはいけない一線」というものはある。犯罪は言語道断だし、周りの人に迷惑をかけるのもNG。「迷惑をかける」というのは、「見ているだけで気まずい思いにさせる」行為も含む。
TPOをわきまえずコスプレしたり、電車で堂々とエロめのヲタ同人誌読んだり、といった行為は厳に慎んでいきたいものです。
お母ちゃんとの関係にも歩み寄りが見られて、よかった。
そもそも、家族だって考えが1人1人違うんだし、2人いれば必ず軋轢が生じるものなのだ。だから、ケンカに慣れておく方がよかったと思う。
ケンカ慣れしてないと、ネガティブな感情の表出を自分でコントロールできず、相手を攻撃しすぎてしまうキライがあるからだ。
「アンタのことがキライだからだよ!!」
はちーと言い過ぎだったんじゃないかね、かのちん。もちろん、やり過ぎたのはお母ちゃんの方だけどね。
「キライ」という言葉は、攻撃力が強い分、発した本人をも傷つける。
内心で強く思っていても、積年の恨みがこもっていようとも、口にするときは、よくよく考えてからにした方がいい。
「もう関わらんとって!」
とお母ちゃんに言い放ってしまったかのちん。自ら実家に赴くのは相当勇気がいる行為だっただろう。
でも、お母ちゃんと向き合うために、実家に戻ったかのちん。
偉い。偉いぞ…!
お母ちゃんの好きそうな、ピンクのうさぎのぬいぐるみをお土産に差し出すかのちん。
かのちんの精一杯のメッセージがこめられたグッズ。
「私はこういう可愛いものが好みじゃないけど、お母ちゃんが好きなものを否定する気はないよ」
「だから私のことも否定しないでね」
というメッセージ、お母ちゃんに伝わっただろうか。
伝わっていると信じたいな。
かのちゃん、これからも、心の中のヒーローたちに励まされながら、ヲタとして邁進していきそうだ。
「非実在甥っ子作戦」でもってちびっこ雑誌「テレビきっず」を堂々とレジに持っていくかのちん。
店員さんが宮内洋でビックリしたよね!笑 いや、貫禄ありすぎやろ!
途中、スーアク界の神様岡元次郎さんもちらっとカメオ出演してたりして、随所に遊び心の見受けられる演出でした。
いやー、面白いドラマでした。
制作スタッフの皆さん、キャストの皆さん、ありがとう!!
ご馳走様でした。
合掌!