おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

聖☆おにいさん

 聖☆おにいさんのドラマ感想を書こうと思っていたのだった。

 漫画原作、もちろん読んでいる。私がハマったのはちょっと遅くて、面白そうだなあと思いつつも手を出す機会がなかったんだけど、ブームに遅れること数か月、友人から借りて読んでみて、ゆる~いギャグセンスにまんまと心を掴まれた。

 そんでこのドラマ、これもまたマンガ原作としては成功と言えると思います。

 

 

 マンガ原作の実写化に親和性のある役者というジャンルがあって、今作の主役を務める松山ケンイチ染谷将太はまさしくそこに当てはまると思う。

 特に松ケンの安定感よ。デスノートのLもそうだけど、デトロイトメタルシティといい、この人が出るとハマるよね。

 二次元のよさは、平面の絵と字で構成されているので、その後のキャラクター造形や台詞の感触は、読む人それぞれの想像に任されるところだ。だから、同じキャラの同じ台詞ひとつとっても、読者が100人いれば100通りの解釈がある。

 松山ケンイチが演じるキャラは、それを邪魔しない。セリフをしゃべっても、うまい具合の「紙感」があるというか、そのキャラのその台詞として過不足なくて、余計な深みとかがない感じ。聞く人によってどうとでも取れる「余白」のようなものを感じる。

 松山ケンイチという役者についてそれほど詳しいとは言えないので、当たっているかどうかは分からないけど、L・カイザー様・そしてイエスと、これだけ振り幅のあるキャラクターを演じわけるのだから、そこはやはり役者の力量というものではなかろうか。

 染谷将太は、あの怪作「寄生獣」の映画で私にはおなじみだけど、あのシンイチもよかった。キャラとビジュアル的に似ているわけではないんだけど、原作世界を壊さない、むしろしっくりと寄り添うシンイチになっていた。

 余談ですが映画「寄生獣」は、余貴美子とか深津絵里とか、脇を固める俳優が鉄壁の布陣でしたよね。見ごたえのある作品でした。

 

 

 で、「聖☆おにいさん」ですよ。

 こうして映像として見ると改めて認識させられるけど、これ、2人が暮らすアパートの中で展開されるお話なんですよね。いわゆる「四畳半〇〇」というカテゴリにあてはめるなら、「四畳半ドラマ」だなこれ…と思いながら第一話を見ていた。

 いやー、イエスブッダが連れ立って天界からバカンスに来てて、それが日本の立川で、って設定がホントぶっ飛んでるわ。中村光の頭の中、どうなってるんだろう。

 天界から支給される月給が26万円というところもなかなかシビア。笑 この世を救った偉大な2人なんだから、そこはもう少しあげてもよかったんじゃないか?

 だからブッダはお金の管理に厳しい。真面目なブッダ、消費のバランスをちゃんと考えてるんだろうな。

 一方イエスは無邪気な子供キャラだから、欲望に忠実で、欲しい!と思ったら買っちゃうのね。おうちで出来る陶芸セットを通販で。

 マンガも第一話から笑わせてもらったけど、2人の役者が原作世界を壊さず体現してくれて、ドラマもおんなじユルさで笑えました。

 

 

 感想書こうかなー、と録画を見ても、ゆるゆるのドラマ世界に和んじゃって、ついフツーに最後まで見ちゃって、あれ?まあいっかー、てなる。

 「ナイスアガペー!」という掛け声、こんなに軽やかにわざとらしくなく言える人、他にいないんじゃないかなあ?

 ちなみにこれ聞くと、ボディビルの大会で聞かれるらしき「ナイス二頭筋!」という掛け声を連想してしまって、余計に可笑しくなる(某検事モノドラマの影響です)。

 

 

 原作だと、ブッダに何かとちょっかいをかける天部の梵天さんとか、ぼっちのツンデレキャラマーラとか、自己愛の強いイエスの弟子たちを統率するミカエルとか、面白キャラがたくさんいるんだけど、ドラマでは大家の松田さんくらいしか登場しないみたい。イエスを「兄貴」と慕う893の竜二さんも出てこないのかな。ちょっぴり残念。

 

 

 お天気はじめじめ鬱陶しいし、テレビをつければあまり聞きたくないニュースが連日報道されているし、とかく生きづらさとか世知辛さを感じてしまうけど、そんな中、いっときの癒しになってくれるドラマと言える。

 エピソードを繋げて30分とか1時間のストーリーにせず、ショートストーリーとしてオムニバスで見せている演出も、さすが原作の大ファンを名乗る山田孝之。心得ている。

 今後、どのエピソードをやってくれるか、楽しみに見ようと思います。