話は全然違うんですけど、小学校のとき、全校朝礼というものがあった。
あれ、意識を失って倒れる子、必ずいたような気がする。
どたっとどこかで音がしたかと思うと、数人の先生たちが一か所へ集合して、なんやかんや騒ぎがあった挙句、誰かが倒れたようだという噂がさざ波のように広がってきた。
そして、くったりとなった女子生徒が体育の先生に抱きかかえられて連れて行かれるという光景、何度も目にした記憶がある。
あの「朝礼で倒れて運ばれる」ポジション、ちょっと憧れませんでした…?
私は憧れてました。ちょっとだけ。笑 なんか一瞬、スポットライトを浴びて、プリンセスポジションみたいになりますやん?
身体が弱い子供だったので、季節の変わり目はよくぜんそくの発作が起こって、遠足は大抵参加出来なかったし、何ともないのに突然発熱して寝込んだりした。
(そういう地味に苦しいやつじゃなくて、もっと花形のさあ…!)と、子供心に歯がゆく思ったりしたものです。
そんな浅はかな憧れも、中学生ごろには消えていただろうか。
大人になって分かるのは、
・人はよほどのことがないかぎり倒れない
ということだ。
インフルエンザに罹患して、短時間でがーっと熱が上がったって、意識を失って倒れるなんてことは滅多にない。
「倒れる」に近い症状を起こしたのは多分、たった一度だけ。お風呂場で、起立性のめまいに襲われて、本当に目の前が真っ暗になったことがある。
倒れる!と感じた瞬間、(この状態で昏倒するのは非常にヤバい)と判断して、とっさにその場にしゃがみこんで事なきを得た。
しゃがみこんだまま、しばらく動けなかったけど、本当に「倒れる」ことがいかに危険か身を持って知って、(おわー、朝礼で倒れなくてよかったぁぁ!!)とも思った。
……という経験を持つ私。
おっさんずラブの6話で、体調を崩した牧が突然倒れるシーン。
前後の脈絡から多分大ごとではないのだろうな、と察せられたので、
(まあこれはテレビ用というか、ドラマ的な記号だな)
と捉えることは出来た。
「巨根じゃダメですか」「春田さんから手を引いてください」「お前が俺をシンデレラにしたんだ」等々、数々のパワーワードで、このドラマのフィクション性に慣れていた、というのもあるかもしれん。
心の片隅で、ほんのかすかに(人はそう簡単に倒れやせんぞ…)と思いつつ、そこはあまりツッコミどころとしては捉えていなかった。
ところがこの牧くん、劇場版でまたしても倒れてしまった。
今度の理由は「過労」。しかも、入院したということは、そこそこ症状が重かったのだろう。
何度も繰り返して見た後だと、
・ジーニアス7の仕事で無理が続いていた
・春田とうまくいってなくてストレスが溜まっていた
・でも春田と花火に行きたくて根を詰めて仕事していた
・そこへもってきてサウナ(室温何℃だ?)なんて環境で頭に血を上らせて部長と大ゲンカ
とこれだけの事情が重なった場面だと分かるので、(倒れるのも無理はない)とも思える。
だから、本筋に影響するほどの瑕疵とは言えないんだけれども、帰り道に急に意識を失って道路(!)に倒れてしまう牧を見ると、
(よく倒れる男だな……)
と思ってしまうのは否めない。
ずっと前インフルにかかって39℃以上出たとき、自分でタクシー呼んで病院に行った。
診察してくれた内科のドクターが私を見て、
「元気やなあ。39℃も熱あるん?」
と気軽に言い、体温計を見て、
「…………あるな」
とビックリしていた。
小さいときから身体が弱いと、熱を出し慣れていて、39℃くらい割と屁のカッパなんですよね。
病院からの帰り、マスク装着の厳重装備でスーパーに買い物に行き、食材をしこたま買い込んでよろよろと帰宅した後、土鍋に野菜たっぷりのシチューをこしらえて、準備万端にしたのちに寝込んだ。
食べないと治るものも治りませんからな。
日本に帰国後、二人で結婚生活を送る春田と牧の家庭で、牧がまた重大じゃない病気で寝込んで、心配したちずや牧のママがやってきて…とか、そんなドタバタコメディも見てみたいですね。