これまで書いてきたレビュー記事の中には、度々「天空不動産の面々がきちんと仕事をしている」ことを評価する文章が出てきたと思う。
その通り、私は「勤労人が職務を全うする」ことはとても重要で尊いことだと考えている。
そしてそれは、我が家の家訓というか、暗黙の了解が多分に影響していると思われる。
年末年始、コタツでまったりしながらテレビ番組を見るじゃないですか。
うちでも、祖母とみかん食べながら団らんしたものです。
ある年のレコ大、大賞を獲った歌手が、胸が詰まってしまって、歌の途中で声が途切れてしまった。まあ、よくある光景ですよね。そして、視聴者の方もじーんとなっちゃったりするじゃないですか?
ところがうちのばあちゃんは、そんなお優しいタマじゃなかった。
「仕事なんだけん、しゃんとして歌わにゃあ!」
と画面に向かって厳しく檄を飛ばしていた。
ちょうどその年、私の友達が遊びに来ていて、それを聞いたとたん驚いて固まっていた。
友達の中にある、「優しくてニコニコしていて縁側で猫を撫でている」ような「おばあちゃん」像と、うちの祖母が、あまりにもかけ離れていたらしい。
この友達の「おばあちゃん」像を打ち砕くエピソードはまだある。
多分同じ年だったと思うけど、関東のどこかの川に、アザラシの子供が迷い込んだニュースが報道されていたと思う。
川沿いは、その可愛い姿を一目見ようと群衆で鈴なり、インタビュアーはそのうちの一人と
「どうでしたか?」
「可愛かったです! こんなところでアザラシの赤ちゃんが見られるなんて…」
「でも、可哀想ですよねえ。お母さんとはぐれちゃって」
などという予定調和のやりとりをしていた。
このニュースを見ていた祖母、
「ボーっとしちょうけんだわ!(ぼーっとしているからだ)」
と一言のもとに吐き捨てた。
我が家の不文律として、「子供には子供の『分際』がある」というものがあった。と思う。口に出して確かめたことはないけど。
その理屈で言えば、アザラシの子供の「分際」とは、「母親や群れからはぐれることなくちゃんとついていく」ことであって、言ってみればそれがその子供の「仕事」なわけだ。
途中で何か天敵の動物に襲われるとか、母親が死んでしまったとか、不測の事態に襲われたかもしれない…と、今なら反論を思いつくけど、まあともかく、そういうばあちゃんでした。
「グズグズしていると置いていくよ!」
と、靴をなかなか履けないでいる小さな子に軽い脅しをかけるなんて、よくあることだと思うけど、そんな祖母だったので、それは脅しじゃなかった。
もたもたしていると本当に置いていかれた。
靴紐が何度もほどけて、不器用な子供の指だからなかなか結び直すことが出来なかったりしても、待ってくれることはなかった。
…とはいえ、それは多分子供視点の私の記憶であって、走ればすぐ追いつくくらいの距離に保ってくれていたんだろうし、本当に何かあったら待ってくれてたんだろうけれども。
でまた、私が本当に超マイペースでボーっとした子供だったので、これくらいしないと言うことを聞かなかったのもあるかもしれない。笑
うちで数日過ごした友達は、
「世の中にはいろんなおばあちゃんがいるんだね…」
とカルチャーショックを受けた様子で帰っていった。
なので、「キャラがきちんと仕事をしているか」というのは、ドラマ鑑賞時においても、重要なポイントになります。
天空不動産は、まあ細かいツッコミどころは多々あれど、皆さんお仕事に邁進されていました。某P航空は壊滅的でしたね。何しろほとんど飛んでなかったし(←まだ言ってる)。
これまで見てきた「好きなドラマ」、色々あるけど、お仕事ドラマが結構占めているかもしれない。
「重版出来!」「HERO」「きらきらひかる」「リーガルハイ」……「相棒」もお仕事ドラマと言ってもいいかな。
今年も、キャラがきちんと仕事をしている、よいドラマに巡り合いたいものです。