一気見、録画しといたやつを見ました。
半日かかった…。笑 でも、これでなんか「お正月終わり!」という気分的な区切りがついたような。
リアルタイムでも見ていたけど、やっぱり面白いですね。そして、よく出来たドラマだ。
亜希子さんが素っ頓狂すぎて、「日常」に置くと激しく浮くキャラなんだけど、演出といい綾瀬はるかの演技といい、んまあ絶妙な匙加減。
クソ丁寧な敬語や、しゃっちょこばったお辞儀や、事態打開の必殺技・土下座に至るまで、見ているうちにしっくりと馴染んでくるから不思議だ。
いやー……面白かったです。
綾瀬はるか、シリアスを演じてもコメディを演じても巧いですね。このドラマ、台詞回しがかなり難しいと思うんだけど、「ビジネス一筋でバリバリやってきたキャリアウーマン」と「ド天然で時々人の度肝を抜くような勘違いをする」キャラを、うまいこと混ぜ合わせていた。
5話や6話になる頃には、
亜希子「(ハッ)(何か盛大な勘違いをしたらしき気配)……まさかみゆき…!?」
てなると、
「違うよ! それ多分絶対違うから!」
と画面のこっちから声をかけてしまうくらいでした。
でまた、脚本がうまいんだ。
パン屋の店長麦田くんも、頭が痛くなるほどおバカでトンチキなキャラクターだけど、ここぞという場面でぶっ飛んだ台詞を言っても、麦田ならまあ言いそうだし、なんならちょっといい台詞…てなる。同じことが亜希子さんにも言えるし、高校生になったみゆきちゃんにも言える。
計算され尽くした台詞の応酬。すごいなあと感心しながら見ていたけど、そんな見方をするようになったのも、「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューを書いている副産物だと思う。
でもやっぱり、優れたドラマは、「ここぞ」という肝を外さない。
父が娘を、娘が父を、義母が娘を、娘が義母を思う気持ちがきちんと描かれているから、盛り上がる場面では感情がぐっと高まるし、きっちり泣かされる。
あらすじ知ってるのに、良一さんが亡くなる直前やお葬式の場面では、またアホほど泣いてしまった……
瞼が腫れてしまって、夕方の買い物行かれへんかったやん。もー。
リアタイで見ていた当時、そう言えば今まで、「義母」と「娘」を描いたホームドラマはなかったよなあ、と原作を含め着眼点に感心させられたものだった。
亜希子さんや麦田店長がマンガ的に素っ頓狂ではあるけど、みゆきの周りの友達関係や、PTAが絡むエピソードなんかは、きちんと現実的に描かれていて、それもこのドラマを骨格のしっかりした作品として成立させていた。
あれだけ揉めた相手とめちゃめちゃ心を許し合う間柄になるとか、あまりなさそうにも思えるけど、そこを不自然でなく作ってくれていて、お話を楽しむことが出来る。
そう、細部に手を抜かず作ってくれていれば、視聴者は制作者の思うとおり、まんまと感情を動かされるんですよ。
それが「騙し」というのなら、騙しでいい。
気持ちよく騙されたいんですよ、人は。
それがフィクションの効用ってもんでしょう。
脚本、役者の演技、演出、そして音楽。
そのどれもが揃った、素晴らしいドラマでした。
全話と新春スペシャル、堪能いたしました。
ご馳走様。