おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

黄昏に向かって走れ!

 私には走る趣味がある。

 コロナによる休業で「よかった」と思えることの一つは、走る時間を十分に取れることだ。

 上司に本日の作業内容をラインで報告した後、ランニングウェアに着替える。

 軽くストレッチした後、近所に走りに出かける。



 と書くと、元からスポーツ大好きなアウトドア派と思われるかもしれないが、全然そんなことはない。球技は好きだけど器械体操なんかは苦手な方だし、運動会は毎年(大雨が降ってくれないか)と天に祈ったクチだ。運動系の部活は、体育会系のノリがどうにも合わなかったので、入ろうなんて1ミリも思わなかった。

 それが何故、大人になってから走るのが趣味になったのかと言えば、ひとえにこの本の影響だった。

 

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

 

 



 箱根駅伝を目指す大学生の話なんだけど、主人公の走(かける)が走るときの描写が、それはそれは気持ちよさそうなんですよね。

 アルプスの少女ハイジとか、ルパンとか、アニメで出てくるチーズや塊肉って異様に美味しそうに見えるじゃないですか。(うわー美味しそう。食べてみたい)って思うじゃないですか。

 それと同じ感じで、この小説を読んでいると、(……走るの、気持ちよさそうだな…)と思えてくる。

(じゃあちょっと、走ってみようかな?)

と思ったわけです。

 何かを始めるとき、形から入るのって大事だと思う。(よーし、まずはシューズだ!)と靴を買いに行った。店員さんに相談しながら、ランニング用のシューズを購入。

 あとはスポーツ用品店に行って、ウェアも一通り買った。

 いつものウォーキングコースを走ってみると、思ったよりイイ感じだった。いや、苦しいんですよ。すぐ苦しくなって、息もあがっちゃうんだけど、走るのをやめて歩いてると、また走りたくなるんだな。

 そうやっているうちに、徐々に走れる距離が伸びてくる。伸びてくると、もっと伸ばしたくなる。

 そして実際、走るのは気持ちよかったのです。なんとも言えない爽快感がある。

 それ以来、すっかりハマりました。




 と言って、今でも本当に軽いジョグ&ウォークですけどね。走る趣味の人にも色んなタイプがいるだろうけど、私は割と頭で考えて走る方だ。

 あまり蹴り出さず、軽くジョギングして身体を温めながら、(そろそろ心拍数を上げようかな)とペースを速くしてみる。息があがってくると、心肺への負荷を感じながら、(もうちょい負荷をかけてみよう)と思う。

 (あ、ダメ、苦しい)と思うとアッサリ走るのをやめてウォーキングに切り替えるんだけど、続けてると、(苦しい)と思うまで時間がかかるようになってくる。

 身体のあちこち触ってみて、肉が取れたところや筋肉がついたところを確かめるのも楽しいです。




「風が強く吹いている」の走が走るときの描写、本当に美しい。孤独な世界で、自分の体力と時間と戦い続ける孤高のランナー蔵原走。誰も見たことのない、美しい世界を、彼だけが見ることを許される。

 クライマックスの駅伝のシーンは、何度読み返しても胸に迫って泣いてしまう。

 自分で走っているときも、走が見た世界の美しさのほんの一端でも見られたら…と想像すると、頑張って走ってしまいますね。

 息があがって、胸が大きく上下して、走った後の筋肉は熱を持って痛んでいるのに、(気持ちいい…!)と感じるあの独特の爽快感。走ってみないと分からない世界だった。

 走り始めた多くの人がハマっていく気持ち、今ならよーくわかります。



 映画化されたとき、走を演じたのが林遣都だった。

 人とつきあうのが下手で、よく衝突してしまうんだけど、走りに対しては誰よりも純粋で貪欲な主人公を、林遣都は体現していた。

 よくこんなピッタリな役者を見つけたな……と、当時も驚嘆しながら見た記憶がある。

 遣都くんの走りも美しかった。

 

風が強く吹いている

風が強く吹いている

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 



 紫外線を無防備に浴びたくないので、日は落ちてから走りたい。ここら辺は夜真っ暗になるから、完全に暗くなってしまう前に走り終わりたい。

 なので、日没時間を睨んで、夕暮れ~夕闇くらいな時間帯に走ることにしてます。



 空が刻々暮色を濃くしていく黄昏どき。雲が出ていると、西からの夕陽を受けて、オレンジ色に染まっていくのが本当に綺麗。川沿いの散歩道は、今はほとんど人がいなくて、何も考えずに頭をカラッポに出来る。時々防護服か?と思うくらいきっちり身を固めた老婦人がミニチュアダックスの散歩をしていたりする。

 温かい日もあるけど、それくらいの時間には肌寒いくらいの気温になっていて、走りやすいのもありがたい。




 あ、そんでね、走ってると立ちっぱなしの仕事なんかも各段に楽になります。多分、足底筋が鍛えられるせいだと思う。

 というわけで、ランニングと「風が強く吹いている」、どっちもおススメです。