おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

おっさんずラブ第三話① 道を聞かれる男

 さて、ようやく第三話のレビューに着手することが出来ました。

 第二話ラストの「KISS」を書いたのが9月だから、わあ! 知らん間に半年も経ってる!!

 いや、次書こうという気はずーーーっとあったんですけど、劇場版の鑑賞と感想を書くのに忙しい上、あの続編発表でOL沼激震。「KISS」の日付が9/23なので、927OL事変以前であることを考えると、まあ、やむを得ない中断とも言える。

 私も事変以降ここで書く記事が増えて、そんでこないだも書いたように劇場版レビューだけで今28本あるからね。特に「おっさんずラブ考察」のカテゴリにまとめた10本は、私なりに頑張って精魂傾けて書いてるからね。その分時間も労力もかかっている。

 一区切りついて、さてそろそろドラマレビュー再開するかね…と思っていた矢先にコロナショックですよ(劇場版感想追記「牧くんのグレープフルーツ」書いたのが1/12)。

 いやー……なんだかんだ、忙しい半年でしたね……(遠い目)。



 まあいいや、とりあえず色々大変だけど、私は元気で、家でOL見てレビュー書くことも出来る。

 今そこにある幸せに感謝しつつ、第三話のレビュー参りたいと思います!



 さて第三話は、春田の「お人好し」属性と、「周りに振り回される」属性が全開の面白回だ。

 長年一緒に働いてきて、尊敬できる上司だと信頼していたのに、突如として

「はるたんが、好きでぇぇーす!!」

と告白してきた黒澤部長。

 気の合うシェアメイトで、仲の良い後輩だと思っていたのに、いきなりシャワー浴びてる真っ最中に突撃してきて

「好きだ」

と壁ドンチューをかましてきた牧凌太。

 それぞれ好意をぶつけてくるだけでなく、はるたんを巡ってバトルも繰り広げているから、春田としては悩みが尽きない。

 そこへ、黒澤部長の妻・蝶子も参戦してくる第三話。

 物語がいよいよ混迷を深め、はるたんがますますおたおたする、ヲタの心鷲掴みの必見回でもあります。

 あ、あと、牧に対しては春田のクズさ炸裂で、私にとっては「はるたんクズ回」でもある。笑



 二話のラストで、天空不動産のサイトを覗き、社員紹介ページの春田の欄を見て、何やら不敵な笑みを浮かべていた蝶子奥様。

 天空不動産へやってきて、応対した春田の名札を読み、

「春田…創一、さん。あなたにお聞きしたいことがあるの」

と話しかける。

 何か感づいた…!?と視聴者をミスリードして、ドラマの泥沼化への期待を煽る終わり方でしたが、そうではなかった。

 何をしに来たのかと言えば、夫の不倫相手を探るため、使えそうな若い社員を一人自分の味方につけて、内部から調査しよう、ということだったんですね。

 怖!!

 げに恐ろしきは行動派の妻であるよ。



 しかし、一話でも二話でもこの黒澤夫妻に突然生じた恋愛問題については深く触れなかったけど、蝶子さんにとってはここ、ド修羅場真っ最中だ。

 一話の冒頭で、あんなに仲睦まじい様子を見せていたのにね。それが突然の

「離婚したい」

という申し出。理由を聞いてもただただ謝るばかりで、何ひとつ具体的に答えない夫。

 

 ところで、私は独身で結婚経験もないのでアレなんですが、

 

Q.夫が突然離婚したいと言い出しました。心当たりはまったくないのですが…

A.女です。99%不倫です。

 

 というやり取り、某掲示板で死ぬほど見たことがあります。

 一話の終盤、離婚を切り出された蝶子さんが一瞬で

「女!? 女がいるの!?」

てなってたの、よく分かる。

「離婚 切り出されたら」

というワードでネット検索かけていた蝶子さんなので、もしかすると私と同じように、巨大掲示板の鬼女板(既婚女性専用スレッド・通称キジョ板)とか気団板(既婚男性専用スレッド・通称キダン板)に親しんでいたのやもしれぬ。

 そこから顔認証で部長のスマホを盗み見したり、天空不動産にやって来たりと、蝶子さんは行動が速い。11年ぐずぐず片思いした挙句、ようやく妻に離婚を切り出した夫とはエライ違いだ。

「はる…tn」

と、誰かの名前を呟く夫の寝言を聞いて

(! ハルカ…!?)

と空を睨む蝶子さん、鬼の形相でしたな…。

 もしも、そこからさらに夫のスマホ検索を続けていたら、待ち受けのはるたん画像はともかく(バスでのハプニング後部長が別画像に変えた可能性アリ)、きっとはるたんフォルダがあっただろうし、スケジュールのアプリで「はるたんとミーティング♡」とかなってたかもしれないから、

(……え……なんでこんなにこの人の画像ばっか膨大に保存してあるの…?量おかしくない??)

からのー、天空不動産サイトの社員紹介で春田の顔を見て

(! もしかして、ハルカじゃなくてハルタ!?)

(えっちょっ待って待って待って、まさかの女じゃなくて男ー!? あ、でも夫を男に寝取られたサレ妻のスレッド見たことある…!)

てなって、物語の進み具合が迅速になっていたかもしれない。あ、その前に、部長がやってたインスタアカウント「武蔵の部屋」が見つかって、あの夜のうちに黒澤家の寝室で爆弾低気圧が発生していたかもしれない。

 ……が、実際はそうならなかったので、「ハルカ」という女の名前に当たりをつけた後は、そっとスマホを戻したんですね。蝶子さん。

 まあ、浮気疑惑が浮上したとき、伴侶のスマホを覗き見する行為って、限りなく黒に近いグレーですからね。

 そこはまだ、理性が勝っていたのでしょう。

 でもさあ、離婚切り出しておいて、妻を最大にモヤモヤさせておきながら、自分はベッドでぐーすか眠っちゃって、あまつさえ想い人の名前を寝言で呟くって、控え目に言っても相当イイ気なもんですよね。黒澤部長。

 そんで、奥様が天空不動産に乗り込んできてるとき、屋上ではるたんを巡るキャットファイトを繰り広げてるんだから、蝶子さんに肩入れしながら見ると、(うわー、本当にイイ気なおっさんだわ…)と思えてくる。

 誰視点で見るかによって、全然見え方が違ってくるところも面白いですね。

 これも「余白」のなせるワザ。



 春田を内見で連れ回しながら、「一人暮らし用の部屋を探している」という自分の設定をちょいちょい忘れてる蝶子さんが可笑しい。

 まあ、ね、夫の不倫相手が誰かという問題で頭がいっぱいだっただろうから、そこは仕方ない。

「お一人様」とか「安らぎの郷」というワードに過剰に反応しているのも、

(ハルカ……どれだけ若い娘なの……)

(あの人ったら『妻とは離婚して君と一緒になるから』とか不倫男の常套句言っちゃってんのかしら……冗談じゃない、この年になって今更お一人様になってたまるもんですか)

とか、仮想の「対決相手」にフツフツと敵意を滾らせていたせいかもしれぬ。

 もちろん、本当に部屋探しをしているわけじゃないから、物件にはさして興味がない蝶子さん。

「職場はどちらの方で?」

という、不動産の営業としてごく真っ当な春田の質問に、

「何で?」

とあからさまな不審の態度を見せる。

 それなのに、

「他にも見せてくださる?」

と申し出ているということは、やはり部屋ではなく、この春田という男が信用できるかどうか、じっくり見定めていたのでしょう。



 対して春田はいつも通り。

 蝶子さんを案内している最中なのに、通りすがりのお婆ちゃんに

「あの、北武蔵野公民館って、どこですかねェ?」

と道を尋ねられ、

「北武蔵野公民館はね、そこの広い道路に出てもらって、左にちょっと歩いていくとバス停があるんですよ。で、そこのバス停から、72番系統の天体科学センター行の…」

と懇切丁寧に教えてあげる。だけでなく、この込み入った説明じゃ絶対お婆ちゃん迷っちゃう!と思ったんだろうね。

「…一緒に行きましょっか。ね」

と、自ら申し出てしまう。

 んまあこのときのお婆ちゃんのイイ笑顔といったら! こんな可愛い顔でニコッ!とされたら、そりゃ私でも手を引いて案内してあげたくなっちゃうわ。




 ところで、私はずーーっと以前から、人間には二種類いる、と思っている。

 それはズバリ、「歩いていて通りすがりの人から道を聞かれる人」と、「聞かれない人」だ。

 そして私は完全に前者。今まで数えきれないほど道案内してきました。




 故郷にいる間はそうでもなかった。まあ人口が少ないのと、通学路も田んぼの脇だったりしたしね。街中に出てブイブイ言わせるタイプでもなかったし。

 大学進学と同時に大阪に出てきて一変した。何しろ、受験でやってきたその日に、梅田の繁華街のど真ん中で観光客とおぼしき老夫婦に道を聞かれましたよ。なぜだ。高校の制服のブレザーを着ていたのに。どう見ても田舎から出てきた受験生だろ。

 それからもう聞かれる聞かれる。特にその場所に詳しいわけでもないのに聞かれる。

 出張で名古屋に行っても聞かれて、広島行っても聞かれた。大体(あーなんかそろそろ道を聞かれそう)というのが分かってくる。一応対策として、イヤフォンで音楽聴いてますオーラ出してみたりしたんだけど、全然効果なかった。お構いなしに聞いてくる。

 道だけじゃない。電車の中でも、突然

「私たちはココへ行きたいんだけどこの電車合ってる?」

と英語で聞かれたりした。韓国人のグループだったかな? 他にいくらでも人が乗っているのに、なぜ私をチョイスするのか。教えてあげたけど。

 そう、国籍も様々でしたね。欧米人3人連れのこともあれば、中国人観光客のこともある。何故か皆躊躇いなく私を選んで話しかけてくる。何でや。

 人畜無害な見た目のせいなのかと思っていたけど、あるとき電車の券売機の前で白杖を持ったおじさんに肩を掴まれて、小銭を渡され、

「すまないけれども〇〇への切符を買ってもらえないだろうか」

と頼まれたことがあるから、うーむ、私の存在自体が何かしら

「道のことならさあ私にお聞きなさい…」

的なオーラを放っているのかもしれない、と思うようになった。正確に言うと、このおじさんは行き先が分からなかったわけじゃないけども。

 そんでそのときはヒマだったので、

「あ、私一緒に行きましょうか?」

と申し出て、目的の駅まで連れて行ってあげた。

 そう、時間に余裕があって、私に分かる範囲なら、協力するのにやぶさかではありません。仕事で急いでるときには

「ごめんなさい、時間ないんで」

と割と容赦なく断るけどね。



 あるとき思い返してみたら、平均して月1の割合で道を聞かれていることに気づいた。

 それを友達に喋ったら、

「マジで!? 私、生まれてから今まで、街歩いてて道聞かれたこと一度もないよ」

と驚愕していた。その子、春田が好きそうなロリ系のアイドル顔(しかも巨乳)なのに。

 なんか、アレだわ、前世できっと何か罪を犯したんだな。私。

(ごめんなさいごめんなさい、来世では道行く人に必ず道を教えてあげます…!)

的な業を背負って生まれてきたのかもしれない。

 とでも思わないとつじつま合わないくらい、人に道を聞かれる人生でした。

 この、「人から道を聞かれる」エピソードは本が1冊書けるくらいあるので、また機会があれば書きます。



 その私から見ると、はるたんはもう、完全に同類。

 この場面見て、

(あー春田も散々人から道を聞かれてきた人種だッ…!)

と閃いた。

 だからね、お客様を案内中の不動産営業としては些か難ありな春田のこの対応も、(仕方ないな…)と思える。

 もう、癖というか習慣というかDNAというかね。



 で、結果としてそれがよかったんですね。

 最初(えええー私はー?)と言いたげだった蝶子さんの表情、お婆ちゃんを案内する春田の姿を見守るうち、ふっと緩む。

 春田の社員紹介欄に、「特徴 お人好し」とあったのを思い出して、(ホントにお人好しなんだなー)と得心した笑顔。

 で、よし、この人なら信用できそう、という安心に繋がっていく。

 

 

 

「趣味 寝ること」「資格 (空欄)」「特徴 お人好し」て、どんな社員紹介やねん、て思うけども。

 そんで、不動産の営業を10年やってて、宅建士の資格持ってないって、まあまあヤバいと思う。笑

 多分、牧にお尻叩かれてかどうか知らんけど、あの後は宅建の勉強してるだろうな。

 暗記に苦戦する春田と、叱咤激励しながら問題解くの手伝ってあげる牧とか、そんな小説も読んでみたいです。

 



 …と、ここまでで映像は3分57秒。記事の文字数は4870字。

 前記事のコメントに「2分に2000字かけて書く変態レビュー」と書きましたが、実際はもっと上行ってました。

 変態度はますます濃縮されている模様。

 マジでいつ終わるんだろうね、このレビュー。(他人事)