昔の私は、いわゆる「ブランド」というものにとんと疎く、世の中のシャレオツ女子たちがこぞって夢中になるハイブランドの名前もチンプンカンプンだった。
さすがにシャネルやグッチの名前は知ってましたよ。でも、ブランドの価値云々よりも、そのハイブランドを有難がって、信仰のように仰いでいる女子軍団の狂騒や、全身同じブランドで固めた、オシャレとか似合っているとかそういう次元ではなくただただ「このブランドが好き!」「このブランドを身に着けている私が好き!」な、些か常軌を逸したマニア等が目について、自分とは無縁の世界だ、と感じて長い間過ごしてきた。
書店で働き始めたとき、世はもうちょい手に届きやすい価格帯のブランドブームが来ていて、特にブランドのグッズがおまけになった女性誌&もはやおまけがメインになったファッションムックが一大ブームになっていた。
となると、お客さんにそのブランドムックの置き場所を聞かれるわけです。
「あの、レスポートサックのバッグがついた〇〇はどこに置いてますか?」
「……………レ?」
と、最初「レスポートサック」の「レ」しか聞き取れなかった。
そんな私でしたが、お陰様でそういう問い合わせをこなすうちすっかりブランドの名前にも慣れ、有名どこは大方分かるようになりました。
老舗のハイブランドには、価格相応の値打ちがあることも知るようになりました。
「ドルガバ」というのが、「ドルチェ&ガッバーナ」というブランド名の略で、幅広い層に人気である、というのも、この書店勤めのお陰で得た知識だった。
なんでもかんでも4文字に略すの、どうかと思うけど、ドルガバはなんか略称になってもお洒落な雰囲気を失わないな、と思っていた。
さて表題はですね、知っている人は一発で分かるだろうけど、今巷で大流行しているこの歌ですよ。
聞きやすく、印象的なフレーズの繰り返しで、特にサビの耳残りは異常だと思う。
全体的に(いい歌だな)と思うんだけど、やっぱりこの歌の成功は、ひとえに
ドールチェ&ガッバーナ♪
ここのハマり具合によると思うんだ。
このMV見た後、しばらく脳裏に「ドールチェ&ガッバーナ♪」が回る。
QPの「たーらこ~、たーらこ~」に匹敵する中毒具合。
この歌、ついこないだまで存在を知らなかった。
「太田上田」という番組(爆笑太田&くりぃむ上田がゆるくトークを繰り広げる中京テレビのローカル番組)で、爆笑太田が
「え、お前知らないの!? この歌、YouTubeでエライことになってんよ?」
と言いつつ、
「ドールチェ&ガッバーナ♪」
というサビしか歌えなくて、その後本家を見てみたら(なるほど、確かにこのサビはすぐ覚えて印象に残る)と思った。
「ドルチェ&ガッバーナ」というブランド名と、このフレーズを組み合わせることを思いついた段階で、この歌の成功は決まったのだと思う。
「おっさんずラブ」は名言の宝庫ですが、第一話ラストのパワーワード、
「巨根じゃダメですか?」
は中でも至極、名言中の名言だと思う。
ここまで延々このドラマについて語ってきて、いいところは数えきれないほどあると知っている私でも、
「『おっさんずラブ』が成功したポイントは?」
と聞かれると、
(『巨根じゃダメですか?」というキャッチーな台詞を思いついたところかな)
と今でも考える。
時間にして、たった数秒。
そのフレーズが、広く受け入れられ、拡散し、浸透すると、メガヒットに繋がるわけだ。
ということで、「ドールチェ&ガッバーナ♪」というサビのフレーズを聞くたびに、牧くんの
「巨根じゃダメですか」
という台詞がオートで脳内再生されるのでした。