おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

となりのトトロ

 みんな大好きジブリ映画。

 中でも、特にトトロは、全国民の熱い支持が集まるだろう。

 もはや宮崎駿監督の手がけたジブリ映画は、日本人のDNAに染み込んでいると言ってもいいくらい浸透していて、見ていることは当然の前提とした上での

「どのジブリ映画が一番好き?」

という問いがありますが、トトロを挙げる人、多いんじゃないかな?

 ちなみに私は不動の一位が「風の谷のナウシカ」、二位が「天空の城ラピュタ」で、三位が「耳をすませば」ですね。

 でもジブリの場合、どれもこれも水準が高いので、「全部好き!」になる。

 トトロももちろん大好きですとも。ていうかトトロ嫌いな人いる?くらいに思ってる。

 これももう、何十回となく見てるけど、やっぱり録画しちゃいました。

 こないだ録画ストックが失われたところだったのでちょうどよかった。




 これホントさ、「子供の動き」の表現が見事ですよね。何度見ても。

 書斎で執筆に励むお父さんと、庭で一人遊びするメイの場面。アニメーションのキャラの芝居と、声をあてている坂本千夏さんの芝居が両方素晴らしい。

 あの、自分のペースで話す子供と、相手に合わせる大人との、独特のテンポ感とか、自分の世界観に没入してごっこ遊びする感じとか、興味のある対象をロック・オンしたときの集中力とか、

「そうそうそう~! 子供ってこうだよね!」

に溢れてて、見てるだけで満たされる。

 



 私が生まれ育った時代の故郷はドがつく田舎で、自動車が通る道路でまだ舗装されていない地面があった。私が小学校に上がった頃、通学路はまだ未舗装だった。

 まだ温暖化なんて言葉自体がなかった頃で、冬はちゃんと冬らしく寒かった時代だ。11月にもなるともうかなり冷え込んで、朝にはよくそこら辺の雑草に霜が降りていた。土中の霜柱を踏んで、ばりんばりん音と感触を楽しんだりする遊び、今時の子供はどれくらい知っているんだろうか。

 学校へ向かって歩き始めると、道に牛の糞が落ちて、凍っていた。5分くらい歩くとまた落ちていた。等間隔に落ちている糞は、凍結度が徐々に下がっていき、ラストは世に生まれ出て間もないと思われる湯気を立てていて、そのフレッシュな物体の落とし主である牛本人と出逢えたりした。

 そういうド田舎だったと思ってください。

 一人っ子のばあちゃん子だった私、小さい頃はまさしくメイのような一人遊びをしていた。庭に広めの畑があって、そこが遊び場だった。

 春はメイと同じように、庭に出て、雑草の花を摘んだり、地面に開いた穴を観察したり、思いついてトンネルを掘ってみたりと、なかなかアクティブに過ごしていた。

 小トトロが使った逃走経路のひとつである「床下」の空間、私も覚えがある。格子の向こうに広がる薄暗がりが、何とも言えず子供の興味をかき立てるんですよね。で、あそこにはよくアリジゴクの巣があった。そこら辺で捕まえてきたアリをそのすりばち状の巣に入れてみたり、すりばちの底をほじくってアリジゴクを引きずり出したり、まあ、5歳くらいの子供ってろくなことしませんよね。放っておくと。

 メイが庭でひとりで遊んでいる場面を見ると、何十年も前のそんな記憶が、記憶庫のどこかから浮かび上がってこぼれ出す。あの春の日のぼやっとした温度や、草の匂いや、周りをヒラヒラしているモンシロチョウの白なんか、思いがけないくらい鮮やかな記憶だったりして、時に戸惑うほどだ。

 つまりはそれほど、メイの造形と演技と表現が素晴らしいということだと思う。




 それまで、アニメに出てくる子供がメイほど「リアル」でなかったために、メイのキャラクターが鮮烈に印象に残るが、さつきのキャラも繊細に描かれている。

 ききわけがよくて、物事の道理をわきまえていて、小学校5年生ながら既にTPOに応じた態度をとることが出来るさつきは、大人びた「良い子」なんだけど、やっぱり歳相応の幼さも持っている。

 入院しているお母さんの一時帰宅を楽しみにしていたのに、延期になってしまった。自分もガッカリして泣きたい気持ちなのに、幼い妹をあやさなければならず、さつきが感情を爆発させる場面、なぜか何度見ても好きだ。

「うわぁーーーーん」

という、身も世もない泣き方。さつきがまだ子供時代にいることが十分伝わる泣き方だ。大人になると、あんな泣き方はしたくても出来なくなる。

 まだ子供なんだけど、メイとは違って、思春期の手前にいることも随所で描かれていて、繰り返し見ていても、丁寧な描写に感じ入る。




 この作品については、恐らく詳細な考察も分析も山のように世間にあるだろうから、ムズカシイことは本職の方々にお任せする。

 というか、今更私が感想を書くまでもない名作なんだけど、こないだ見たのがやっぱり胸にしみたので、書いてみた。




 こないだ見た「聲の形」も、期待以上の良作だったので、感想を書きたいんだけど、素材が難しく、手をつかねている。

 まとまりそうになったら感想を書きます。