めっきり秋めいてまいりました。
と、ド定番の手垢がつきまくった定型文ですが、それでもこの台詞、言いたくなりますね。
今住んでいる場所は気候が穏やかで、季節の移り変わりも割とグラデーションで変化が感じ取れる。
朝晩の気温が低くなってきて、でもまだ寒いと感じるほどじゃない。夕方から吹き始める風が爽やか。そろそろ金木犀が咲いているみたいで、どこからか馴染んだ香りが漂ってくる。
いい季節になりました。
にしても、残りもう2カ月ちょっとだとはにわかに信じ難い。
やはり、今年の前半、ほぼ稼働していなかったという体感なので、なんかぼーっとしているうちにいつの間にか時間が過ぎてしまったという感覚が強い。
でも、2020年は色々と本当に変化の年だった。
こないだ、またカルディ的な店に行ったんですよ。ああいう店、ひやかすだけでも楽しいですよね。調味料にしても、レトルトカレーにしても、フリーズドライにしても、めちゃくちゃ品揃えがよい。そんで、割と日本全国のご当地ものも買えちゃう。
ほほう、こういうものがあるのね、ちょっと美味しそうだな……と、興味は持つんです。でも、例えばレトルトカレー1箱780円とかだと、(高いな)とスルー対象だった。
レトルトカレー、いくらまで出しますか? 私は、自分が普段食べる用だと、大体300円くらいまでですね。罪悪感なく買えるの。
500円のでも買える。買えるけど、なんとなくそれはレトルトカレーの価格帯じゃない、という感覚がある。うーん、レトルト=ボンカレーだった時代の記憶が濃厚な昭和世代だからというのもあるかもしれん。
その辺の金銭感覚って多分、生まれ育った時代と生育環境、嗜好、色んなものが関わってくるから、人それぞれで全く基準が違っていそうだ。
ワンコイン以上出すなら、レトルトじゃなく材料買って作った方が美味しそう、という理由もある。
ずらーっと並ぶ色とりどりのパッケージを眺めながら、いつもは思わない疑問がふと沸いた。
(これだけ美味しいものが揃っていて、買えるお金もあって、一度も試さないままでいいのか?)
と。
(もしかすると目からウロコの新発見もあるかもしれん。買わないということは出逢いの可能性を自らゼロにしてるわけだが、それでいいのか?)
これをもし、カルディマニアみたいな人に、上から目線で言われたのなら、
「別にいいよ」
と答えていただろう。
今まで生きてきて、それで困ったことは特にない。美味しいと知っているものを買い続けていたって全く差し支えない。
……が、
(ちょっとつまんねえな。その人生)
と、初めて思ったんですね。
「100日後に死ぬワニ」ってあったじゃないですか。あれ、私もフォローして読んでました。
最終回から続く展開がちょっとアレで、せっかく大勢いたファンにそっぽ向かれる結果になっちゃいましたけど、もしも余命が分かっていたらどうだろうとか、実際自分が100日後に命を失うと知っていたらどうするだろうとか、色々考えさせられる切っ掛けになりました。
そこからのコロナ禍。史上初の緊急事態宣言。相次ぐ有名人の訃報。
そんなこんなで、私の中で何か、今までと違う価値観が生まれたんでしょうね。
ひとつひとつは、本当に、取るに足りない些細なことなんです。
今まで手を出さなかった価格帯の旬の果物を買うようになった。
興味はあるけど今別にいいや…と買わずにいたお菓子とか、レトルト食品とか、〇〇のタレとか、(一回は試してみよう)と躊躇わず買うようになった。
(また今度)と思ったときに、「今度」が来る保証はないな、と思うようになった。
元々金銭欲が薄く、物欲もあまりない。外見に対するこだわりも特にない。
だから、ファッションに対する興味も、多分人よりないんだと思う。
でも最近、YouTubeで色々な動画を見ていて、プチプラで上手に着回ししているプロの動画なんかを参考にしているうち、
(まだちょっと枯れるには早いよな…)
という気になってきた。
ズボラでめんどくさがりの私が、休みの日にわざわざ「服を買いに行こう!」と思うなんて、滅多にない。ぐずぐずしていて寒くなってしまったら、それをいいことに出なくなるに決まっている。
ということで、出かけてきました。
ちょっと離れたところにある郊外のショッピングモール。
動画でプロが言っていたまんまを基準に服を選ぶ。もうちょっと身体を絞って、サイズを落としてから買おうとか思ってたけど、そんなん言ってたら一生服なんか買われへんわな。
今の私に合う服、ということで、吟味の末にベージュのテーパードパンツを購入。
それに合う靴も買った。
パンツ&靴で5000円て安くない? GUって素晴らしい。これなら失敗しても罪悪感ないな。
そして久々のショッピング、
楽すィ~!!!
て心から思った。笑
まあ、ね、全てを(死ぬときに後悔がないように…)という基準で選んで、興味のあるものを何でも買ってりゃ、お金がいくらあっても足りないので、もちろん時と場合にはよるのです。
でも、思い返してみると、いつの間にか「いつものやつ」「知っているもの」ばかりになっていたなあ、と、マンネリに陥っていた自分を反省することにもなりました。
せっかく生まれた人生、そして幸いにして健康に毎日を過ごせているので、もうちょい楽しむことに貪欲になってもいいかな、という心境になりました。
そんな2020年10月。