おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

コンフィデンスマンJP ロマンス編

 今年は寒の戻りがきつい。暖かくなって、やれやれもうこのまま一直線に春だろうと思いきや、すぐにまた寒さがぶり返す。

 冬と春のせめぎ合いが激しいですね。

 今日は夕方からえらく冷え込んで、風が冷たかった。




 私は出不精だ。

 仕事が激務の上、殺人的な人手不足なので、休日は非常に貴重なプライベートタイムと言える。

 溜まった家事を片付け、買い出しに出かけて食糧を調達したり、ジョギングに出かけたり、アクティブに過ごすのが望ましいのは分かっている。

 分かっているが、ついつい(いやでも『休日』って休むための日だし…)と心の中で言い訳をしつつ、家の中でダラダラ過ごすことが多い。なんなら座りっぱなしでずーーーっとパソコンとテレビ見てる。

「絶好のお出かけ日和の休日に家から一歩も出ない」

なんてこともよくやる。よくやるが、「絶好のお出かけ日和」の日、日光を1秒も浴びないというのは、背徳感と罪悪感も感じざるを得ない。

 そこへいくと、がっつり本格的にざあざあ降ってくれると、(こんな雨ならわざわざ外へ出かける酔狂な人も少なかろう)と、外へ出ない正当な理由を得た気になれる。

 というわけで、こないだの休日、いちんち雨だったので、家の中でふんぞりかえってアマプラで映画鑑賞してました。



 コンフィデンスマンJP、面白いですね。

 テレビドラマが当たって劇場版を作った場合、失敗する例も数ある、と以前も言及したことがあるけど、この制作チームはその轍は踏んでいない。

 テレビはテレビの尺、映画は映画の尺を心得て、きっちりと起承転結を作ってくれている。

 ロマンス編も大変楽しめました。




 このシリーズの根幹は「コンゲーム」だ。

 詐欺師集団が相手を信用させて、陥れる。まあ言ってしまえば犯罪映画なんだけど、面白いんですよね。大好き。

 有名どころはオーシャンズ11・12・13のシリーズか。普段はピンで稼いでいる泥棒や金庫破りやハッカーが集まってチームを組み、大物を狙うやつ。

 騙し騙され、さっきまで笑っていた人間が次の瞬間どん底に突き落とされる。リアルオセロゲーム。

 プロの詐欺師であるダー子たちが、手強い敵に挑んで、次々に技を仕掛け、ようやっと成功目前になって、実はすべて見破られていて、周りは敵だらけということが分かる。八方塞がりの四面楚歌。

 ……かと思いきや、実は……という展開が、毎度お約束なんだけど、物語運びがうまいから、まんまと騙される。

 終盤のネタばらしで、「五カ月前」からもう一度振り返って、ダー子たちが仕掛けた「仕込み」を見るわけだけど、

「え、そこから!?」

てなって、ヤラレタ!感を味わえる。

 うまいこと騙してくれると、すかっと爽快に感じるのは何でだろう。



 ダー子を演じる長澤まさみはもちろんのこと、ボクちゃんはやはり東出昌大じゃないとダメだなあ、とこの映画を見ると思う。リチャードの小日向さんも、何かと雑な扱いをされがちな五十嵐の小手伸也も。

 このチーム、バランスがめちゃくちゃいい。抜群の安定感。




 私はこういう、辛気臭くない、カラッとしたコメディが大好きで、この映画も、

「あー面白かった!」

と笑って見終えることが出来た。

 多分、制作チームもそういう作品を意図して作ったはずだ。しんどいことがあったとしても、一時それを忘れて、心から笑って楽しめるエンタメ作品。

 だけれども、残念ながら、この映画に限っては、当分その楽しみ方は出来ない。

 なぜならメインゲストの2人が、三浦春馬竹内結子だからだ。



 画面の中の彼らは、演者として申し分なく、作品に彩りを添えてくれている。いきいきと動き回り、様々な表情を見せ、ビジュアルは映画に出るのにふさわしい美しさを備えている。

 メインもメイン、ずーっと出ずっぱりだから、途中でふと、

(あれ?)

と言う気になる。

 あの悲しいニュースはもしや夢の中のことで、やっぱり明日もテレビに出るんじゃ?

 だってこんなに元気そうで、表情豊かで、光り輝いているのに?

 ……と。



 見終わって、「面白かった!」の後に、どうしても、

(2人に何があったんだ……)

と思ってしまう。

 この映画に出ていたことは偶然なのか、春馬くんのニュースが、なにか引き金になってしまったのか、それともまったく個別にそれぞれ抱えきれない問題を抱えていたということなのか。

 死者は語らない。だから、この疑問に答えが与えられることはないのだ。

 永久に。




 この映画に携わった人たちにも、彼らの訃報は衝撃をもたらしただろうと思う。同じときを共有した共演者の皆さん、スタッフ、ショックはいかばかりだっただろうか。

 どの世代の人にも親しまれ、愛された2人だからこそ、私たちはこれからも、この喪失感に耐えていかなければならないんだな……と、そんなことも考えてしまう。



 ただ、その事実は事実としてあるんだけど、映画を見ている間は、お話にとりこまれてしっかり楽しめるから、それも凄い話だ。役者ってやつは……ホンマになあ。

 この2人がメインであるが故に、ずっと見ることが出来ないでいたんだけど、それでも腹を抱えて笑っちゃったもんね。

 見て損はなかったです。