おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

腐界の諸事情・3

 以前、こんな記事を書いた。

 

ktdmtokttn.hatenablog.com

 

ktdmtokttn.hatenablog.com

 

 「BL」というジャンルが何故生まれたのか、ボーイズラブを好む女性は何を求めているのか、私見を述べた。

 久しぶりにこのタイトルで記事を書く気になったのは、こんな動画を見つけたからである。

 

www.youtube.com

 

 

 知らない間に、腐界はエライ進化を遂げていたようだ。

 

 

 「腐男子」と呼ばれる、BLを愛好する男性が存在するのは知っていた。昔、もう10年以上前、腐男子を名乗る男性がBL作品をメインに紹介する読書ブログがあって、文章もしっかりしていて面白かったので、お気に入りに登録してちょくちょく読んでいた。

 ただ、そのブログ主はゲイであることをカミングアウトしていて、割と女性に近い視点で読んでいるらしかったので、そんなもんだと思っていた。

 

 

 インスタでも人気の、河内瞬というクリエイターさんがいるんだけど、この方は奥さんが働いて、自分の方が家庭に入って主夫をしている。その立場から、家事や育児に関する意見を発信していて、これも面白いのでインスタとブログの両方フォローしていてよく読む。

 漫画を描く人なんだけど、その作品がどこからどう見てもBLなんですよね。それが、ちょっと不思議ではあった。どういうマインドでBL作品を描いているのか?ということが。

 

 

 この動画を見ることで、その疑問への回答が得られたような気がする。

 

 

 ハライチ岩井、挙げる作品も的確なら、どこが面白いのかというポイントもまあ的確。ていうか好みが私とどん被りやし。中村明日美子を第一に挙げるなんて、ニワカじゃできませんよ。これは相当年季の入ったBL読みだね、と、同じく腐界に長く棲息してきた身なら分かる。

 彼が指摘することは、私が上に挙げた2本の記事で述べたこととほぼ同じ。

 ただ、私はそれが女性特有の感性だと思っていたんだけど、岩井さんは男性のマインドで、BLを愛でていらっしゃる。

 そこが、

「へええーー!」

と感心するポイントだったのでした。

 

 

 ノンケ=異性好きとして生きてきた男性が、何故か同性が気になるようになり、(え、なんで俺こんな気持ちになるんだろ……相手は男なのに……)てなって、手が触れ合ってトゥクン……とか、ペットボトル回し飲みで心臓バクバクとか、まあ色んなイベントを経てカップルになる(説明が雑)のがBLの王道中の王道である。

 岩井先生、

「そういうのが結構好きですね」

と仰る。

 

 

 そうか。それは、「女性だから」理解できることではなかったんだ。

 男性でも全然アリだったんだな。

 

 

 BLの作り手は主に女性だ。私はこれまでBL作品を好んで鑑賞してきたけど、BLというジャンルが「女子向け」だと思っていたのは、女性が考えて描く「男同士の関係」に、かなりファンタジーが入っているのではないかと疑っていたからだ。

 女性として女性を生きている限り、男性のリアルは分からない。

 一般的な感性を持つ男性が読んだとき、(こんな男いるわけない)と思うかもしれんな、と思っていた。

 だって、男性向けのエロ漫画読むとき、私だって思うもん。(こんな都合のいい女いるわけないべや)と。

 

 

 でも、違ったみたい。

 男性からしても十分楽しめるジャンルとして、「BL」は成長を遂げていたようだ。

 このジャンルも発生して久しい。昔は本当に、同人誌に毛の生えたようなレベルの作品を平然と商業誌に掲載していて、(よくこんな推敲もしてないようなの平気で載せるな……)と呆然とすることも多かったけど、洗練され、成熟して、規模は拡大したのだな。

 私が以前述べた、「女性の属性に嫌悪感を持つ人にとっての救いとなる装置」である、という解釈は、間違っていないと思うけど、そこと全く関係のない人にとっても楽しめる作品が多く出てきたということだ。

 BLが普遍性を獲得した、ということですね。

 

 

 考えてみれば、日本で発生したBLが、海外に普及して、だからこそタイで今BLドラマがもりもり作られているわけで。

 こんな事実に今頃気づくとは、腐女子として不覚であった。

 

 

 いやー、でも、これは嬉しい誤算だなあ。まさかBLがこんなに成熟するとは、思ってもみなんだ。

 そんで、誰が何を好きであっても、誰からも蔑まれず、からかわれもしない。

 好きなものを「好き」と堂々と言える世界。

 いいですね。

 この流れ、これからも進んでいって欲しい。