30代40代の女性の中で、子宮筋腫持ちの人はそう珍しくはない。
婦人科系の病気の中では、多分一番ポピュラーな病気なのではなかろうか。
こないだNHKでやってたけど、現代女性は100年前と比べて、婦人科の病気がめちゃめちゃ多いんですってね。
昔の女性は、16歳くらいから適齢期で、相手を見つけて嫁にいき、20歳ともなれば二人の子持ちなんてザラだった。
そこからさらに3人4人と子供を産むのも珍しくないわけで、妊娠中も授乳中も生理は止まっているから、生涯で生理がくる回数は50回とか60回とか、そんなもんらしい。
それが今では、未婚独身で生涯子供を産まない私のような人も多いし、結婚したとしても晩婚化で、30歳過ぎて結婚、子供を産んでも1人か2人で…となると、生涯における生理の回数はなんと400回を超える。
私も計算してみたことある。450回くらいは生理が来る勘定になって、げんなりしたものだった。
生き物としての人間の身体は、本来、そんなに生理が来ることを想定して作られていないらしい。…という表現が正しいかどうかは分からないけど、番組を見ての私の感想はそうだった。
本来の機能を果たさないまま、毎月毎月月経を繰り返すうち、子宮のトラブルが起こりやすくなるんだそうな。
上記の内容はうろ覚えで書いております。
詳しく知りたい方はNHKの公式サイトをご確認ください。
筋腫があることは知っていたけど、他には特に症状もなかったので、そのままにしていた。
筋腫によるトラブルに初めて見舞われたのは……あれ、いつだっけな。えーと、確かコロナの前の12月だ。
出勤中、電車の中で急にお腹が痛くなってきた。さっきまで何ともなかったのに、ぐぐっと差し込んで、どんどん痛みが強くなる。
(あれ、何だろ? 冷えたのかな?)
と思いながら、職場には辿り着いた。辿り着いたけど、お腹の差し込みは引かず、床にうずくまってしまった。
むかむかして気持ち悪い。冷や汗が出て止まらない。
「こりゃダメだ。医者に行ってきて」
ということで、急遽近所の内科を探して駆け込む羽目になった。
「便秘ですね」
と言われた。
「え?」
「便秘。今日、出ました?」
「……いえ…」
「昨日は?」
そう言えば出てないけども。
「べ…便秘ですか?」
「そう。これ見て」
年配の男性ドクターは、レントゲンの画像を示しながら、
「ココ、これね。ぜーんぶ便。それがホラ、この一か所で詰まっとるやろ」
「はぁ……」
自分の腸内のウ〇コを見せられながら解説を聞くというのは、何とも言えず気まずいというか、恥ずかしいんだけど、それが原因なんだから仕方ない。
「ここ、アレでしょ。子宮筋腫かなんかじゃない」
「あ、そうです」
「これねぇ、かなり大きいよ。ここまで大きいんだったらもう切った方がいい」
「はあ……」
「ま、それはまた婦人科のかかりつけのお医者さんに言って聞いてください」
そのときは、整腸剤とか色々、ともかく便秘の解消のための薬を処方してもらって帰ったのだった。
職場の上司に、実はこれこれで……と報告し、筋腫を切るように言われたことも話した。
「そう……だからと言って、ハイそうですか、と切れるもんでもないしねぇ……」
「そうなんですよね」
そう、そのときは本当に、他に困った症状はなかったのだ。日常的に便秘に苦しめられていたかというとそんなこともなかったし。
若い時には随分重かった生理も、30を過ぎてから嘘のように落ち着いて、PMSもなければ、始まってからも大した痛みもなくなった。きちんと来るし、何のトラブルも感じていなかった。
その状態で、
「筋腫が大きくて便秘になりやすいから手術して切りましょう」
と言われて、
「ハイ、切ります!」
と思える人がどれだけいるのだろうか。
少なくとも、私は思えなかった。
私が決意したのは、
(筋腫がお腹を圧迫しているのは分かったから、気をつけて腸内環境をよくしておこう)
ということだった。
折から「腸活」ブームが来たのもある。繊維質を摂り、水分をこまめに取り、炭水化物も適宜取り、タンパク質は摂るけど質と量に気をつける。乳酸菌のサプリも欠かさず飲むようになった。
一応、かかりつけの婦人科クリニックにも行って診てもらった。
「確かに、普通は切るのをお勧めする大きさですが、他に自覚症状がないのと、年齢的に閉経が近いかもしれないので、もうしばらく様子を見てもいいかもしれませんね」
という診断だった。
「筋腫を小さくしてくれるかもしれない漢方のお薬があるので、それを試しますか?」
「あ、お願いします」
ということで、漢方薬を飲むことになった。
そこから、腸活の努力が奏功したというか、「出なくて困る」ことはほとんどなかった。
それから間もなくして生理が来なくなった。
(よっしゃ! 逃げ切った!)
と思ったのはこの時。
お腹にしこり感はあれど、それだけのことで、毎日元気に過ごすことが出来ていたのと、
「閉経すれば筋腫は小さくなる」
と信じていたので、それほど思い煩わず、筋腫のことは忘れて生きていた。
ところが、そうは問屋が卸さなかったのだった。
続く!