こんばんは。今宵も閲覧いただきありがとうございます。
今日は七草ですね。うちは正月のご馳走もなかったし、お粥は作らんけれども。
もうすっかりお正月気分も抜けきった頃でしょうか。
さて、2018年の「おっさんずラブ」放映から4年が経とうとしている。
「おっさんずラブ」が好き!なぞという非常にマニアックなタイトルをつけてこのブログを始めてから、同じだけの時間が経ったということでもある。
「5年経っても感想書いてるかもしれない」と自ら予言した通り、なんといまだに4話のレビューすら終わっていないという体たらくであるが、まあそんなことはどうでもいい。
私が登録しているサブスクは二つあって、TELASAとAmazonプライムだ。
TELASAは、登録した当時はauビデオパスだった。「おっさんずラブ」の動画を見られるのがそこだけだったので、一も二もなく登録した。出勤中、スマホでも見られて非常に便利であった。いつでもどこでも「おっさんずラブ」が見られて月600円くらいだったら全然惜しくない、と思った。
ある日気がついたら、TELASAと名前が変わっていた。名前は変わっても、サービスの内容自体は同じだったので、特に異存はなかった。そのまま今に至る。いっときハマったタイBLもここで見た。
Amazonプライムは、動画のためだけではなかったけど、結果的にプライムビデオをめちゃくちゃ利用している。サブスクの中ではコスパは最高にいいんじゃないかと思う。
で、今やその両方で「おっさんずラブ」を鑑賞出来る。
いつ見ても、変わらず、OLの世界は優しく、楽しく、せつなく、面白い。
しかし、アレだ。
「おっさんずラブ」放映当時と今とでは、随分変わった、と私は感じる。
何かが世間で受けるとき、そこには必ず「ギャップの魅力」がある。
「めちゃくちゃいかついのに中身は乙女」(参考:デトロイトメタルシティ)
「美少女なのに中身はおっさんorおっさんなのに中身は少女」(参考:パパと娘の7日間)
この、「〇〇なのに△△」は、物語を作る上での鉄板セオリーでもあって、広く人口に膾炙した作品ではよく使われている手法だ。
それで言うと、「おっさんずラブ」は「男同士なのに」とか「BLなのに」とかがついた上で、
「ドラマとして質が高い」「面白い!」「笑えて泣ける最高のラブコメ!」
と、その意外性が評価され、あの爆発的な人気を呼んだのだと思う。
だけど、「男同士」を始めとする、LGBTその他性的マイノリティに対する風向きって、随分変わったと思いません?
まず何より、「おっさんずラブ」以降、同性カップルを扱った作品が増えた。
元々あったんだけど、OL以前より明らかに、「日の当たる場所」に出てきたと思う。
そんで、その作品を「好き」と公言出来る雰囲気が出来てきた。
「おっさんずラブ」のときはまだ、「『おっさんずラブ』が好きって周りに言えない…」という人も少なくなかったと思うの。
けど今は多分、かなり減ったと思う。少なくとも、公言しても
「ええー、あれ男同士でしょ?」
とあからさまに揶揄するような向きは、結構少数派になりつつあるのではなかろうか。
すべて「思う」とか「感じる」とか、私の主観のみで述べていて申し訳ない。詳しく統計を取ったわけでもデータがあるわけでもないので、事実とズレている可能性は大いにある。
ただ、BLという言葉すらまだ知られていない、完全に日陰の身分だった時代から腐界に棲息している人間の、嗅覚と触覚と肌感覚で捉えた「時代の空気」である。
この4年で、変わった、と思う。
変えたのは、「おっさんずラブ」という一つのドラマのヒットである。
…と断言するのは言い過ぎかもしれないが、一助となったのは間違いない。
実を言うと、私自身の中にも偏見はあった。
いや、当時は「ない」と思っていたんだ。男性同士の恋愛に対して、自分は特に偏見を持っていない、と自認していた。
だけど多分、春田と牧とか、シロさんとケンジみたいに、
「外見はイケてる」
人同士じゃないと……という感覚はあったと思う。深掘りすると。
あと、女性同士がつきあうことについて、(反対はせんけど、感覚的に分からんな)と思っていた。よくよく考えてみても、女性である自分が、同じ性に対して恋愛感情を抱く可能性はない、と思っていたので。
(もし同性の友達が、好きだと告白してきたら、どう感じるだろう)
と、「おっさんずラブ」を見ながら想像してみたことが何度もある。
でも、実際に体験したことがないから、なかなか想像しづらかった。
(もしかすると、やっぱりちょっと嫌悪感とか覚えるのかな……そうでない、と言い切る自信はないな…)
と、その時は答えが出なかった。
まあこの辺は、自分自身のセクシャリティの他に、趣味嗜好もあるし、多分ルッキズムの問題とかもあるんだろうし、一概に「LGBTへの偏見」と括れない気もするんだけれども。
ともかく、自分で考えてみて、(答えが出ない)(正解が分からない)ということが、結構あったんです。
ただ、当時「回答不能」と出た、こうした色々な問題は、その後ずっと頭の片隅にあり続けた。
何かにつけ引っ張りだして、ああでもないこうでもないと、頭の中でこねくり回して考えることをやめなかった。
そのうち、それらの問題に対する自分の感じ方も変わってきた。
クマさん系の中年ゲイカップルを見ても、特に何とも思わない…というか、微笑ましく応援する気持になったし、女の子同士でつきあっていることをカミングアウトしているカップルも(色々大変だろうけど負けるな、頑張れー)と、親しみを感じるようになった。
ある日ふと、
(……前はこうじゃなかったよな?)
と気づいた。
時間をかけて考えているうちに、ゆっくりと私自身が変わっていったんだと思う。
セクシャリティについても、ですね。
生まれ持ったものは変わらん、と思ってましたね。ハイ。
だから、春田は牧を好きになったということは、潜在的にゲイかバイだったのだ、と思っていた。
だけど、今や180℃違う意見になってしまった。
ストレートであろうと、同性に恋することはある。人の恋愛って、それほど単純じゃない。
私だって、女性を好きになる可能性はあるぞ、と思うほどに、変わってしまった。
「おっさんずラブ」から4年経った現在、目に映る景色はかなり違ったものになった。
そしてそれは間違いなく、「おっさんずラブ」が変えたものなのだ。
このドラマが我々の社会にもたらしたインパクトは、やはりただならぬものだったなあ、と思う。
ところで、「チェリまほ」は再放送が決定して嬉しいんですけど、「おっさんずラブ」もぼちぼちしてくれませんかね? もちろん2018年のですよ。春田と牧のやつ。天空不動産編ね。(くどい)
一挙放送でも、深夜に週1でもいいから、やってくれないかな。