おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

巨大子宮筋腫全摘手術&入院レポ⑤入院当日

 さて、やってきた入院の日。

「あっという間だった」

 と書いたけど、(本当にそうだったかな?)と記憶のおさらいをしてみたら、そうでもなかったと思う。

 多分、お腹の痛みが悪化していって、(早く手術して取ってしまいたい)と、しまいには手術の日が来るのを指折り数えて待っていたくらいだから、

「ようやく来た」

というのが実感として正しい。




 朝、入院のための備品を詰めたスーツケースを持って、母親と一緒に自宅を出発。時間通り病院に到着した。

 私だけ別室に通され、PCR検査を受ける。付き添いの母親はこの検査は不要。

「入退院受付」という窓口に行き、今日の入院予定であることを告げる。ここで、提出する書類をチェックしてもらい、看護師と薬剤師のチェック(本日の体調や普段飲んでいる薬等)を受ける。

 そこから外来へ行って、主治医の話を聞くんだけど、名前を呼ばれて診察室へ入るとき、母が

「私は外で待ってる」

と言い出したので、

「遠いところを遥々何しに来たんや」

と全力でツッコんでしまった。この、「手術の説明」を一緒に聞いてもらう必要があるから呼んだのだよ。

 事前に聞いてはいたけど、ここでもう一度、詳しい説明をしてもらう。術式、考えうる合併症など。書類にすべて目を通し、1枚1枚署名していく。

 そこから病棟へ上がった。今度は、麻酔科ドクターによる麻酔の説明。まだ若いドクターだったが、話が分かりやすくてよかった。

 全身麻酔と、硬膜外麻酔というのをすること、硬膜外麻酔は、背骨の間から針を通して髄膜にどうのこうの、

「針はこのボールペンのペン先くらいな太さで…」

と、素人にも分かるように、丁寧に教えてくれる。

 想像すると痛そうだが、そんなに痛くないとのこと。

 ここでも、稀に起こる神経麻痺などリスクについて説明される。気胸、アレルギー、肺血栓塞栓症、等々。「2万人~7万人に1人程度と極めて稀な確率ですが…」と書いてある。

 極めて稀な確率のロシアンルーレットになるわけだが、極めて稀なのと「確率」の問題なので、事前にくよくよしてもしゃーない、と開き直るしかない。それでも、その極めて稀な確率に当たってしまった人たちが、今までにいたからこのように注意書きがあるわけで。

 膨大な数の犠牲の上に今日の医療の発展があるのだなあ……と、ちょっと遠くに想いを馳せてしまった。

 このリスクの説明で、唯一(それは当たったらいやだなあ)と思ったのは、輸血の際のクロイツフェルト・ヤコブ病。絶対になりたくない病気のひとつだが、幸いにも輸血はなかったです。



 ここでも同意書にサイン。

「理解しましたので、納得の上、その実施を受けることに同意します」

 という項目にチェックを入れるんだけど、

「理解しましたが、実施には同意できません」

 という項目もある。こっちにチェックを入れる人はどれくらいいるんだろうか、入れたらどうなるんだろうか…と好奇心が沸いたが、仕事熱心なドクターをわずらわせたくないので、黙っていた。




 麻酔の説明が終わると、翌日の手術の日程を確認する。始まる時間の15分ほど前に、母に病院に来てもらって、病院内で待機してもらうことになる。

 ここで、私は病棟へ移動して、しばらくお世話になる病室へ入る。

 母とはここで別れる。




 病室に着いたのがお昼前だった。3人部屋だが、他に人がおらず、私1人。

 ベッドの横に、クローゼット付きの戸棚があるんだけど、これがまあとっても機能的で感心した。収納がたくさんあって、持ってきたものはすべて納まった上に、余裕があった。

「入院必須アイテム」とされていた道具の一つがS字フックで、これは確かに持って行ってよかったけど、なくても足りたかもしれない。

 病室は南向きで、陽が差し込んで明るく、温かかった。

 暗くじめっとした部屋じゃなくてよかった、快適に過ごせそう、と安心した。




 10分ほどして、看護師さんが来た。造影剤を入れるのに、点滴の針を刺さないといけないんだけど、血管を探すのに苦労していた。

 そう、術前検査のときも、健康診断の採血のときも、皆さん私の腕のどこに差したらいいか、結構悩んでいて申し訳なかった。血管が細いらしい。

 左腕をこすったりもんだりして、

「……右見てみますね」

「ハイ」

 今度は右腕の肘の内側を指で押さえて、探って、こすって、

「………もう一回左見てみますね」

「ハイ」

 私はベッドの上に横たわり、なされるがまま。

 結局、15分ほどかかって、

「……やっぱり左でいきます」

 と宣言して、看護師さん、えいっと針を刺す。

「痛いですか」

「痛いです」

 痛くたってしゃーないやないか。と、無の境地で寝転がって待ってたんだけど、なんか血がどばっと出ちゃって、ベッドの下のシーツまで血がついてしまったらしく、ベッドチェンジになった。

 まだ若い看護師さんで、この後先輩看護師さんになんか指導されていた。




 で、点滴をぶらさげたまま、ガラガラを押して(点滴スタンドというんですね)歩いてレントゲン室へ移動。

 ここが結構長かったなあ。冷たい金属の台の上に、自分でのぼって仰向けに寝ると、私の身体や、台の位置を技師さんが細かく調整した後、モニターを見ながら指示をする。

「ハーイ、息を深く吸いまーす。そして吐きまーす。ハイ、そこで息止めてください!」

 バシャッと音がする。で、私の乗った台の下の何か板みたいなやつを出し入れして交換する。見えないから想像。それをやりながら、右腕は血圧を計られ、親指にはパルスオキシメーターがつけられ、左腕は相変わらず点滴。なんか忙しい。私はじっと寝ているだけだけど。

「緊張してますか?」

等、時々付き添いの看護師さんが声をかけて、和ませてくれる。緊張は特にしてなかった。途中、うとうとしちゃって

「息止めてくださーい!」

を聞き逃し、フツーに撮影されてしまって、(ああ、しまった)と思ったが、もうそれで終わりだった。

 台からは自分で降りるんだけど(結構高さがあって降りにくい)、そこからは何故か車椅子だった。

「何で車椅子ですか?」

と聞いてみたらば、

「造影剤の投与で気分が悪くなる人がたまにいらっしゃるんですよ」

とのこと。

 幸い、私はピンピンしていた。車椅子を押す看護師さんが、エレベーターとか病室で割と車椅子をガン!とぶつけていて、(不器用だな…)と思ってちょっと面白かった。



 病室に戻ると、遅い昼食が運ばれてきた。白いご飯、チンゲン菜ときのこのおひたし、肉豆腐とサツマイモの煮たの。全部冷たくて驚いたが、そらそうか、決まった時間に作って供するのだから、診察の都合で遅くなってもチンなんかせんわな、と納得。ここは病院で、レストランじゃない。

 ごはんは薄味で美味しかった。自分以外の誰かが、栄養バランスを考えて、適正カロリーで美味しいごはんを作ってくれて、後片付けもしなくていいなんて、めちゃくちゃありがたい。腹8分目の量もちょうどいい。

 レストランじゃないと言えば、箸がなかったのがビックリだった。「そういう病院もある」とYouTubeで見て、念のためマイ箸セットを持参していたのが、早速役に立った。YouTubeで予習しといてよかった!

 

 

 その後、主治医のドクターの内診。明日手術だからもう内診はないかと思っていたので、ちょっとビビる。

 朝もだけど、若い男性ドクターが内診に立ち会っていた。股を大きく広げながら普通に会話もしているので、妙な感じだけど、向こうは医者、私は患者。ドクターにとっては単なる日常の一コマに過ぎない、と言い聞かせる。

 そんでそのまま、

「じゃあテイモウしますねー!」

と看護師さんが明るく声をかける。

「ハーイ、大きな音しますよー」

 ちゅいーんバリバリバリバリ。もうどうにでもしてくれ、の心境。

 ここでもつい、好奇心が刺激されてしまって、

(今脱毛してる人も多いんだろうな……)(つるつるの人ってどれくらいいるのかな……)

と疑問に思ったんだけど、黙っていた。



 その後、シャワーを浴びる。これでしばらくは身体を洗えないので、念を入れて洗っておく。

 左手に刺された点滴の針と管はそのままなので、痛いのと、手が使い辛くてちょっと苦労した。この点滴は、術後4日目くらいまでは刺しっぱなしになる。多分、いちいちまた血管を探して刺し直すのが面倒なのと、患者にも苦痛なので、「刺しっぱなし」になるんだろうけど、これはこれで厄介だな…と不便に思う。

 シャワーの後、髪を乾かして身支度を整えると、また看護師さんが病室に来た。

 今度は、「入院診療計画書」と「入院のしおり」というのを貰い、看護計画について説明を受ける。

(『看護計画』と言えば、『イタズラなkiss』で琴子が苦労してたやつ…)

と思うと、ちょっと可笑しくなった。




 18:00に夕食を食べた後、21:00から絶食。22:00に下剤を貰って飲む。

 

 この間、何をしていたかというと、ノートに日記を書いていた。

 私は大体、何かあると記録をつける。旅行には必ず日記とスケッチブックを持っていく。

 初日から細々したことを記録していたので、そのノートを見て、今この文章を書いているわけです。



 この後はもう寝るだけ。邪魔な腫物とおさらばできるかと思うと、

「あー明日の今頃は~♫」

と鼻歌歌いたい気分だった。

 手術に対する恐怖は特になかった。私はすやすや寝ている間に全部終わるはず。怖いのは、麻酔が覚めてしまう「術中覚醒」だけだ。(これこそ、ごく稀に起こるらしいのと、実例をインスタの漫画で読んだので)

 ただ、時々カミシモちょんまげ姿の侍が脳内に現れて

「お腹(ハラ)を召される覚悟は出来ましたかな?」

 と仰々しく囁くのが謎だった。

 いや、お腹を召されるわけじゃないんだけど。なんだこの妄想は。

 とか考えながら、23:00すぎに寝た。