おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

おっさんずラブ第四話⑨ わんだほうの危機(ピンチ)

 半年ぶりの「おっさんずラブ」レビューですが、物語の本筋からは一部逸れます。

 あと、微毒注意。




 武川主任と牧のひそかな手繋ぎを目撃し、それに悶々としてしまう春田。

 自分の心の中で何が起こっているかも分かりかね、仕事も手につかないのだが、息をつくヒマもなく次の事件が起こるのが「おっさんずラブ」だ。




 鉄平兄から呼び出され、急ぎ「わんだほう」に向かう春田と牧。

 カウンター内から次々に調理道具が運び出される様子に、わけが分からず目を白黒させていると、

「どうしよう、オレ、騙された!!」

と鉄平兄が飛び出してくる。

 タワマンのテナントとして新生「わんだほう」になる予定が、そもそもタワマンが建つこと自体ウソだった、と。

「オレ、自分の店をタダ同然の値段で売り渡す契約にサインしちゃった!」

と青くなる鉄平。

「やっぱり…おかしいと思ったんですよね」

と、薄々契約内容に疑問を抱いていた牧が、周囲の店への聞き込みを行って、ある程度正確な情報を掴んでいたことがここで明かされるが、契約は終わっており、今更どうすることも出来ない。

 さあどうする、という場面。



 正直、ここら辺はツッコミどころ満載というか、おかしなポイントだらけではある。

 一番(???)てなったのが、

 

・鉄平兄の本名が「鉄夫」だった

 

 ということだ。

 本当は鉄夫なのに「鉄平」と名乗る理由、相当考えてみた。

 例えば、子どもの頃に「なんとかペイ」という名前の主人公にめっちゃ憧れた、とか。「ダッシュ勝平」みたいな(古いね!)。

 そんで、

「オレ、今日から鉄平だから。みんな鉄平って呼べよ」

とかって言って、幼い春田やちずが(変なの~…)と思いながらも

「鉄平兄ちゃん」

と呼ぶうち、通称として定着したとか。

 んー、ただそれならそれで、一言説明があってもよさそうなものだけれども。

 ただ、自分の名前が嫌いで、全然違う名前で呼ばせている人、リアルの知り合いで2人いるのも確か。

「和子」なんだけど「シズコ」みたいな(仮名です)。

 だから、アリかナシかで言えば「アリ」なんだろうけど、唐突だし、キャラクター紹介でもエンドロールでも「荒井鉄平」になってるし、この第四話のエピソードのためだけに思いついた感が否めない。

 



 あと、この回、不動産の知識が多少なりともある人からすれば、かなりツッコミ所満載な回だと思う。

 不動産の取引においては、契約書と並んで「重要事項説明書」が必ず用意される。大事なのはこの「重要事項説明書」で、ここに取引条件の全てが記されている。

 なので、業者は取引の際、この「重説」の内容を説明しなければならない。その場には必ず宅建士が同席して、記載の内容に虚偽がないよう、お互いの認識に齟齬がないように行われることになっている。でないと、契約後のトラブルを招きかねないからだ。

 いざ契約となったとき、不動産業者がまず取り掛かるのがこの「重要事項説明書」の作成で、これは非常に時間と手間と神経を使う作業になる。もちろんフォーマットはあるんだけど、面積も条件もその物件それぞれで異なるので、調べられるだけ調べることになる。

 水回りは殊に大事で、役所に行ってその設備周辺の上水道と下水道は必ず調べる。古い物件だと、今使ってない古い下水道管が埋もれていたりすることもあるからだ。

 あと、近くに河川がないか、あるとしたら過去に氾濫したことがないか、土砂災害警戒区域にかかっていないか、近所に悪臭を発生させるような施設がないか、買主がその物件を購入して不利益をこうむることがないよう、調べられることは全て調べる。で、その全てを「重説」に盛り込む。

 不動産業者にしたって、取引金額が大きい分、出来るだけ何事もなく平穏に取引を終えたいわけだ。

 なので、普通に名のある不動産業者の仲介で売買するのであれば、よほどのことがなければ詐欺行為等の入り込む余地はないと思う。

 私も、業界にいたのはほんの一瞬なので、そんなに知識が豊富なわけではないけれども。




 だからね、春田も牧も、契約書を一生懸命めくって見てるけど、本当は「重説」の方が大事なんだ。重説のない不動産契約はないはずだから。

 舞台が「天空不動産」である以上、不動産関係者の監修が入っているはずだと思うんだけど、よくこれでOK出したな?と思う。




 まあ、この展開は、

 

・春田と牧が暮らす家にちずが転がりこんでくる

・牧が春田のために力を尽くす

 

 という二つの要素を満たすために必要なのであって、細部の作り込みは特に要らない、と判断されたのであろう。

 そう、もちろん視聴者側だって、本筋に集中したいのだ。「引っかかりなく本筋を追う」ために、やはり背景はきちんと作っておいて欲しい。

 この点、この第四話はだいぶ雑だと思います。

 




 ちなみに、こういうトンチキ展開って、割と第四話あたりで発生する率が多いような気がする。

 なぜかというと、物語の中盤に差しかかって「次」へと繋げるハプニングが要るからだ。

「ドクターX」とか「半沢直樹」とか、その仕事そのものが主軸であるドラマは、がっつりプロの監修が入ってるから、同業者が見ても(?)とはならないように作ってあるんだろうけど、そうではなく、主軸はあくまで「恋愛」で、オフィスはその添え物であった場合、監修があまくなるからじゃないですかね。

 まあでも、「鉄夫」と「鉄平」のくだりもそうだけど、徳尾さんの脚本て、結構この辺が適当であることが多いような。

 物語のスピードと演者の演技の勢いに押されて、リアルタイム放送時には(ん?)と思ったものの流されちゃったけど、こうやって何回も見てると、やっぱ気になるっちゃ気になりますね。




 ……ふー、やっと書いたぞ。

 実はこの「鉄夫」と「鉄平」の件と、不動産契約の件は、リアルタイム放送時からずーっと気になっていて、アラには出来るだけ目をつぶろうつぶろうとしてきた私からしても、見過ごせない点のひとつだった。

 いわゆる「喉に刺さった魚の小骨」のような。

 書けてスッキリした(笑)ので、次からは本筋に戻って、楽しいレビューを続けます。

 ハイ。