おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

腐女子、うっかりゲイに告る。

 どうでもいいけど、「こくる」と打って、ちゃんと「告る」と変換するのね。いまどきのパソコンは。

 へえー。

 と本当にどうでもいい感心はおいといて。

 

 このドラマも、評判がいいのは知っていた。マロ役の金子大地くんが主演だしね。

 しかし、最初は見るつもりがなかったのだ。

 なぜかと言うと、

 

・他にも見ている番組が少なからずある

・テレビ鑑賞にかける物理的な時間には限りがある

・同じ時期にあまり複数のドラマは鑑賞できない

 

 等の理由で、特に大きいのは三番目。「おっさんずラブ」の余韻が1年経過しても全然冷めやらぬ状態で、後から後から新しいドラマを視ても、「入らない」状態が容易に想像できたからだ。

 だがしかし、放送が始まってさらに、高評価の声があちこちから聞こえてくる。

 これまでにも、2話目3話目から視聴して(しまった…!)と地団駄踏んだことが何度もあったしな…と、試しに1話の再放送を見てみたのだった。

 案の定ハマりました。

 後悔はしていない。

 

 このドラマ、NHKらしい意欲作ですね。ゲイの少年が腐女子とつきあうんだけど、そうなると避けては通れない性の問題を、真っ向から描いている。

 安藤純くんと腐女子の三浦さん、めっちゃキュートなカップルなんですよね。お似合いだし、意気投合している感じの会話、どんどん近づいていく親密感なんかが、見ていて微笑ましい。

 しかしつきあいたての高校生カップルとなれば、おのずとたちはだかる次の関門がある。

 クラスメイトの男子が囃し立てる通り、

「いつ、どうやっていたすか」

 ですよ。

 

 実のところ、これは切実な問題だ。

 BLでお約束のパターンとして、

①親友だと思っていた男友達に告白された

②自分も相手に好意を持っているが恋かどうか分からない

 さてどうするか、というシチュエーションがある。

 それに対する明快な答えとして、「相手に性欲を感じるかどうか」が分かれ目であることにノンケ主人公が気づいて、まあ大抵チューされても触られても「気持ち悪くない…」てなって、なんやかんや色々ヤッてうまいこといくんですわ。BLってね。純くんの言う通り恋愛ファンタジーだから。ちなみに、「おっさんずラブ」2016年度版の終盤でハセにキスされた春田が「へ、へーきかも」というのも同じパターン。

 でもね、リアルだと、いざそういう行為に及ぼうとして「ゴメン、やっぱ無理」てなることも多いと思うんだ。

 だってそこは人間だもん。性的に興奮する対象って、自分でコントロールできないもんね。

 

 だから、「おっさんずラブ」ではそこら辺の問題は言及されなかったけど、春田と牧がうまくいったのは、

「春田が潜在的にバイあるいはゲイだった」

からだと思う。

 ちずの言う、「好きになるのに男も女も関係ない!」という名言は美しいけど、人間の恋愛はそれほど理想通りにはいかないことが多い。

 

 純が三浦さんを自分の家での勉強に誘ったのち、意を決してエロ動画で「予習」しようとする場面、可笑しいんだけど、(いやでもそうだよなー、大事なところだよ)と頷いてしまう。

 2つ並べた肉まんをモミモミしながら、「その時」を思い浮かべて、必死に盛り上げようとする純。しかし残念ながら、彼の「センサー」はピクリとも反応しないのであった。

 これ、男性ならではの悩みでもある。女子はまあ、身体の構造上、その気でなくともなんとかなっちゃうからなあ。

 男性諸君にとっては、「〇つか、〇たないか」は非常に大きな問題ですよね。

 

 おうちデートでいい雰囲気になり、三浦さんも受け入れ体勢OK!だったのに、「…純」と呼ばれたとたん、年上の彼氏のことが脳裏をよぎり、萎えてしまう。

 この場面、切なかったですね。

 

 同性を愛する性嗜好の持ち主でありながら、「世間に後ろ指を指されないごく普通の恋愛」も喉から手が出るほど欲しい純。

 家庭を持って、子供を持って、お母さんを安心させてあげたいという彼の望みは真面目で切実だ。

 三浦さんのことだって可愛く思っているし、好きなのに、身体は純の思うままにならない。

 自己矛盾に引き裂かれる純の苦悩。

 

 いっそ、もう三浦さんに自分がゲイだとカミングアウトした方が、三浦さんは喜ぶんじゃ?と言う気もするけど、どうなんだろう。

 今後もこのカップルの行く末を見守りたいと思います。

 

 にしても三浦さんの腐女子っぷり、「真性」ですね。。。

 私はBL作品はBLとして好んで読むけど、そうでない作品までキャラの関係性を妄想したりはしないし、非生物まですべて受けと攻めをあてがって考える嗜好に至っては、まったく理解が出来ない。

 〇んだらけのBLコーナーに行くと、少年コミックの二次創作は言うに及ばず、子供向けの〇ン〇ンマンまで薄い本が並んでいておののく。

 まあ、数字の0と1は(あ、なるほど…)てちょっと感心しちゃったけどさ。

 いやでも、嗜好は人それぞれなので、そこはいいんだけど、腐ってない普通の男子(と三浦さんは思っている)純くんにその妄想を垂れ流すのは如何なものかと。

 ヲタなのはいい。いいけど、人としての慎みは忘れちゃいけないと思います、ハイ。

 

 あ、あともうひとつ。

 1話で三浦さんが買ったBLコミックをぱら読みした純くん、「ファンタジーだな…」という感想を呟きますが、それはその通りなんだけど、それ言ったらAVだってハーレクインだってぜーんぶファンタジーですからね。

 性的な娯楽として提供されている作品は、ほぼ100%ファンタジーだと考えて差し支えない。

 そこんとこ、誤解なきよう。

 

 金子大地くんは、ゲイである自分のアイデンティティをどう確立すればいいのか悩み、模索する高校生安藤純を、繊細な演技で表現している。

 この演技の振り幅にも驚かされた。

 

 というわけで、質の高い、見るべきドラマでした。

 未見で迷われている方がいらしたら、是非ご視聴をおすすめします!