おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

令和で公式砲! 

 平成が終わり令和がスタートしました。

 明けましておめでとう…という挨拶でこの場合ふさわしいのかどうなのか。

 テレビを見る限り、日本中そんな感じで、若干戸惑いつつも、「まあでも、めでたいんだよね」と周りをうかがいつつ、祝賀ムードに乗じている感があるような。

 なにぶん誰にとっても初めての経験なので、それも無理ないことだと思われます。

 

 

 が、平成から令和へと元号が変わるのに合わせて、「おっさんずラブ」公式さんが祝砲を連発してくれてますね!

 

 

 

  インスタでもあの人が動きを見せております……

「この思いは平成に置いていこう」だなんて、そんなことが出来るのか? 令和で部長の新しい恋が発動するのか?? もしやまさかのあの人と…?? なーんて妄想が弾けそうになりますが、まあそれは8月23日までじっと我慢の子で待つべし。待つべし。

 

 

 「おっさんずラブ」のドラマ本放送から1年経って、沼はこうして活況を呈しているのが、本当に幸せなことですね。

 「令和んだほう」という新しいOL用語がアッサリ誕生したりして。いいですね、この軽さ。嫌いじゃない。

 

 

 さて、このブログを始めてこの記事が100本目になります。合間合間がどーんと空くこともあって(笑)、それが新元号最初の記事と重なりまして、うーむ、どうしようか…と若干悩んだものの、やはり「おっさんずラブ」の記事を書くことにいたしました。

 ふらふらと気ままな更新を続けておりますが、新しい元号でも皆さま、よろしくお付き合いいただければ幸いでございます。

 

平成の終わり

 平成最後の日とあって、各地で様々なイベントが催されているようですね。

 テレビ各局も特集を組んでおります。

 

 人間がどう名前をつけようと、時間は連続で、今日の一日と明日の一日が違うわけではない。

 そして元号をいただくこの国と、西暦を使用している他国との間で、時間の流れ方が違うわけでもない。

 なのに、「平成最後の日」と言われると、ああ、一時代が終わるなあ…という気にさせられる。

 日本に滞在しているよその国の方々には、一体どういう風に映っているんでしょうね?

 

 平成はどういう時代だったか、と振り返ると、やはり未曽有の災害に見舞われた時代であったな、と真っ先に思ってしまう。

 地下鉄サリン事件とか、JR福知山線の大事故とか、大きな事件が記憶にくっきりと残っている。

 でも、昭和との大きな違いはやはりなんといっても、「戦争がなかった」ということだ。

 今振り返るとバカみたいだけど、私たちの世代には「ノストラダムスの大予言」によって1999年で世界が終わるのではないかという恐怖と諦念がうっすらとあり、無事2000年を迎えられた段階で、「あ、なんかクリアした」という感じがあった。

 それまでは「第三次世界大戦」がそのうち始まってしまうのではないかという予感が社会全体に漂っていた記憶があるが、そこからはいつの間にか、ささやかれなくなりましたね。

 

 昭和49年生まれの私からすると、昭和という時代はなんとなく、学生運動の怒りのエネルギーだったり、狂乱のバブルのエネルギーだったり、何かと「過剰」な時代だったという気がする。

 それに比べると、平成も色々あったけど、平和な時代であったな、と思う。

 

 何かと「日本は…」と言いたがる知ったか日本人にはなりたくないけど、それにしても、太古の昔から連綿と続く「天皇制」を未だに守り、天皇が自らの意思で退位するのが二百何年振りということで識者が出てきてテレビでコメントし、「平成」から「令和」に変わるのを国をあげてお祭りする、日本という国は、古風で奇妙な国だな、と思う。

 昭和の終わりは重々しく、当時の天皇の体調が毎日新聞のトップに書かれて、陽気に騒いでは怒られるような、暗く沈んだムードが国全体に立ち込めていた。

 それと比べると、こうして天皇陛下の退位を労い、新しい時代をみんなで歓迎するこの迎え方、平和で明るくて、私は好きです。

 

 さあ、あと数時間で平成が終わる。

 新しくやってくる「令和」の時代、どうかこのまま平和で、戦争の恐怖がなく、この国に住む色んな立場の人たちが、等しく心安らかに幸せに生きていける時代となりますように。

エロスとジャスティス

 いよいよ公式砲の投下が本格化してきました。

 追加メンバーも発表されましたね。

 しかしまー……エロ男爵こと沢村一樹氏と、今をときめく志尊淳くんとな。

 5人並んだ画像を見ると、「あー…」と、あたかもドラマのときからいたかのようにしっくりくる並び。さすが、OL制作陣のキャスティングは相変わらず冴えてますね!

 なんというか、クセというか濃さというか、そういうのがちょうどいい塩梅の2人だと思います。

 おっさんずラブの世界に合ってる。

 

 で、そうですか。五角関係ですか…

 ということは、もしかするとあの人がこうなって、まさかの彼があの人と…なんてことがあり得るわけだ。

 そしてそして、エロス爆発のエロ男爵投入で、ピュアで爽やかなラブストーリーが、アダルト成分多めになる…なんてことも考えられる。

 

 いや……しかし……あーーー!!!

 てなって、通勤途中にさまざま思いを巡らせていたら、耳から煙が出そうになったので、とりあえずやめときました。

 身体がもたんわ。

 

 サブタイトルが「Love or Dead」。ほっほーう。いや、おっさんずラブらしい攻め方だと思うよ!

 座長曰く、

爆破あり、笑いあり、涙あり、そしてアクションありのスペクタクル超大作!

だそうですよ。民のみんなが予想していた上海編の希望をほぼ踏襲している路線!!笑 

 これでチャイナドレスに身を包んだ女装牧くんとか出てきた日にゃ、またしてもバタバタと倒れる民の屍でおっさんずラブロードが埋め尽くされるであろう。。。

 はるたんにも是非ここぞというところでばばーんと服を脱ぎ捨てて、謎のイイ身体をこれでもかと見せつけていただきたい。

 

 にしてもこの5ショット、神々しいまでに顔面偏差値が高い画像ですよね……あー、いつまででも見ていられる。

 プリントアウトして神棚に飾りたいくらいだ。

 

 

 そして私はこのブログ記事を、「きのう何食べた?」の録画を見ながら、ワイン飲みながら、書いているわけだ。はぁ~、おっさんまみれの日々。

 幸せ~。

 

 さて、やっと順番になったので、次は「きのう何食べた?」の感想を書きます。

 面白いドラマ、いいですよね。次の放映日が楽しみで仕方ない。

 このドラマも可愛いおっさん2人に毎度癒されてます。

海辺のカフカ

 美容院に行ってきた。

 今日はカラーとパーマで長丁場になると分かっていたので、文庫本を1冊選んで持って行った。

 「海辺のカフカ」(上) 村上春樹著 新潮文庫

 読み返すのは久しぶりだった。

 この本はなんというか、私にとってちょっと特別な本で、論理だてて感想を記せないんだけれども、改めて読み返すと、示唆に満ちた箇所が複数あったので、それについて書くことにする。

 

 家を出たカフカ少年がたどりついた甲村記念図書館の大島さんは、初対面のカフカ少年に言う。

 

「昔の世界は男と女ではなく、男男と男女と女女によって成立していた。つまり今の二人ぶんの素材でひとりの人間が出来ていたんだ。それでみんな満足して、こともなく暮らしていた。ところが神様が刃物を使って全員を半分に割ってしまった。きれいにまっぷたつに。その結果、世の中は男と女だけになり、人々はあるべき残りの半身をもとめて、右往左往しながら人生を送るようになった」  ―p79より抜粋―

 

 この文章はもちろん以前も読んだはずだ。というか、この本は何度となく読み返しているから、おそらく50回程度は読んでいる勘定になる。

 それでも、今読むと、(おお、そうか)と新鮮に感動する。この理屈なら、異性愛者も同性愛者もどちらも同じように存在するのを自然に納得できるからだ。

 もちろん、今や性別の欄が「男 女 その他」となっている通り、どちらともつかない性の持ち主も少なからず存在するわけだけど、大島さんがその人たちを勘定に入れていないわけではないことは、本を読み進めると分かってくる。

 

 性差というものはある意味厄介なもので、男性と女性の間に違いがないかと言えば、そらもう明確に違う。「違う生き物」と言っていいくらい違う。骨格、骨密度、筋肉量、脳の働き方さえ異なる。だから、同じ作業を同じように出来るわけはないし、場合によっては、それぞれ向いた仕事を選んで棲み分けする必要がある。

 ところが、その「差」が得てして「差別」になってしまうんだな。でこの「差別」も、何がどうなると差別なのか、人によって感じ方が違う。もしかすると、細かい部分では、1人1人まったく違ってしまうのかもしれない。

 ただ、様々ななりゆきを経て、「男女同権」が法律上確立(一応)されることになっているわけですね。

 どうもこの、セックスというかジェンダーというか、この辺の事情って、公にきちんと議論されていないというか、本当の意味での性差をなくす考え方、まだ熟していないキライも大いにありますね。この国は。

 

 熟していないというよりも歪になってしまっているのが、行き過ぎたフェミニズムだ。そして甲村記念図書館にもそんなフェミニストらしき女性2人がやってくる。

 勝手にずかずか入り込んで重箱の隅をつつくようなアラを探し出し、一見もっともらしく聞こえる小難しい小理屈であげつらおうとする浅薄な糾弾を、大島さんはにこやかに、しかし辛辣に容赦なく論破して追い返す。

 

「ゲイだろうが、レズビアンだろうが、ストレートだろうが、フェミニストだろうが、ファシストの豚だろうが、コミュニストだろうが、ハレ・クリシュナだろうが、そんなことはべつにどうだっていい。どんな旗を掲げていようが、僕はまったくかまいはしない」

「差別されるのがどういうことなのか、それがどれくらい深く人を傷つけるのか、それは差別された人間にしかわからない。痛みというのは個別的なもので、そのあとには個別的な傷口が残る。だから公平さや公正さを求めるという点では、僕だって誰にもひけをとらないと思う。ただね、僕がそれよりも更にうんざりさせられるのは、想像力を欠いた人々だ。T・S・エリオットの言う(うつろな人間たち)だ。その想像力の欠如した部分を、うつろな部分を、無感覚な藁くずで埋めて塞いでいるくせに、自分ではそのことに気づかないで表を歩きまわっている人間だ。そしてその無感覚さを、空疎な言葉を並べて、他人に無理に押しつけようとする人間だ。つまり早い話、さっきの二人組のような人間のことだよ」  ―p383~384より抜粋―

 

 そう、例えばさ、ゲイの人を気持ち悪がる人って、(もし自分がそうだったら)とか一瞬でも想像しないのかな…て思うんだよね。

 だって、人を好きになる気持ちなんて、一番コントロールできない感情じゃん。同性を好きになってしまう自分に気づいて、悩まないわけないじゃないですか。

きのう何食べた?」でシロさんがゲイだと聞かされた佳代子さんの旦那が、

「それはさぞかしご苦労が多かったでしょうなあ…」

ていうけど、普通の想像力があれば、この程度の共感は誰しもすると思う。

 それもなく、ただただ「ヤダ! 気持ち悪い! 理解できない!」てなる人って、人としての想像力が致命的に欠けているとしか思えない。

 

海辺のカフカ」は、こうしたジェンダーとか差別をメインで扱った小説ではないから、言ってしまえば脇の話ではあるんだけど、「おっさんずラブ」を知って、今改めて読むと、色々感じ入るところがあった、という話でした。

 

 私は人より本を読むスピードが速いらしく、担当さんはいつも面白がる。

「ページをめくってから次にめくるまで時間計ってみたんですけど、朔さん、40秒でした!」

と言われたことがある。なんの報告や。笑

 ちなみに今日は、実質本を読んでいた時間は2時間ほどで、読んだ量は384ページでした。

 

 そしてサブのスタイリストの男の子は、私が「おっさんずラブ」を推していたのを覚えていてくれて、

おっさんずラブ、映画化になりましたね~」

と話題を振ってくれる。

「そうやねん。ところで『きのう何食べた』ってドラマ知ってる?」

「や、知らないです~」

「かたっぽが美容師のゲイカップルなんだけど、内野聖陽がめっちゃ可愛いねん」

「へー!」

と話が弾んで、めっちゃ楽しい。

「今季イチオシドラマ。是非録画して見てみて」

と言ったら、

「分かりました!」

とマジメにうなずいていたので、一話は見てくれるであろう。

 もちろん、口に合わなければ、それ以上は関知するところではない。

 

 気を遣わずのびのびと楽しく会話ができ、お客の趣味にも理解を示してくれる、大変よい美容室です。

 これだから遠方でも通っちゃうんだよなー。

 

恋がヘタでも生きてます

 我らが座長、ケイタナカ氏が主演を務めるドラマ「あなたの番です」が始まるとあって、番宣活動が忙しい。

 再放送で以前の番組も放送してくれてありがたいのだが、おかげで録画を見るのに時間のやりくりをせねばならない。

 もちろん、贅沢な悩みであることは重々承知しておりますとも。

 

 リアルタイムでそんなことになっている折も折、なぜか血が騒いで、前々から気になっていた「恋がヘタでも生きてます」を見ました。

 最初GYAOで見て、前半六話しか見られないと知って、続きを見るために直ちにHULU契約しましたとも。

 

 高梨臨が演じる主人公、見る前は共感が薄かったんだけど、ドラマを実際見たら分かりました。

 周囲に愛嬌を振りまけない、「可愛げ」とは無縁のチーフ、いいですね。いるいる、こういう女性。自分にも共通項多々あり。

 素直じゃないし、男性から好意を寄せられると、喜ぶより(…なんで??)てなるの、分かるわー。でも、まっすぐで裏表ないし、見ているうちにその不器用さが愛しくなってくる。

 

 土村芳演じる美沙のルームメイト・千尋もいいキャラでした。

 千尋が恋する美沙の仕事仲間・橋本は、女性からすると天敵なのかもしれないけど、私にはこういう人、それほど悪く思えない。

「結婚するつもりはない」と言い切って、最初から遊び相手しか募集してないんだから、その言葉に嘘はない。誠実だと思うんだよね。

 それを十分分かった上で恋してしまう千尋が、ほわっとして可愛らしい天然の魅力で、結局橋本を落とすラスト、痛快でした。

 

 そんで、アレですね。ドラマの筋も、しばしば主人公が属している会社が制作している恋愛シミュレーションゲームになぞらえられるけど、その使い方が非常にうまい。

 困難なミッションが現れる度のゲーム妄想も楽しいけど、このドラマ自体がシミュレーションみたいなもの。

 だってさ、主人公が出会う異性(=田中圭)、

①犬を連れたイケメンに偶然出会う

②出逢ったかと思うといきなり自分に興味を示す

③色々すっ飛ばしてkiss

④元カノ登場

⑤元婚約者登場

⑥なんだかんだあって復活

 

 …と、リアルでは到底ありえないシチュを一通り体験できる。女子の妄想を疑似体験させてくれるドラマとなっております。

 途中、元婚約者が現れた辺りで、完璧と見えた社長がぐらつくんだけど、アレですね。優しさゆえに女性を傷つけてしまう、ナチュラルなクズっぷり、田中圭は実にうまい。優柔不断な男を演じさせたら天下一品。

 

 ともかく、最初から最後まで田中圭がカッコいい。

 田中圭がちょっとでも好きなら見て損はない。

 お仕事ドラマとしても楽しめる。

 

 おすすめドラマでした。

 面白かった、ご馳走様。

 

おっさんずラブ第二話③ 沼の始まり

 さて、場面は再び天空不動産営業部。

 皆が忙しく動き回っている中、マロが牧の机に近づいてくる。

「コレ、春田さんの机に置いといて」

と書類を差し出され、

「えっ…」

 戸惑う牧。そらそうだ。頼みごとというより命令。しかもパシリ。

 ていうか春田の机、すぐそこじゃん。自分で置けよ。

 ……と牧が思ったかどうかは分からんが、

「えっ?」

とイヤミたらしく繰り返してみせ、

「この営業所ではオレ、先輩ですよね」

と必要もない先輩風を吹かすマロ。

 いるいる。いるよね、こういう奴。

 仕事出来ない奴に限って、立場をカサにきて変にマウンティングしてくるんだ。けっ。くだらねー。

 栗林くん、営業成績は今はいいみたいだけど、クレームも多い(だろう)し、このままならいずれ問題児社員になっていたに違いない。

 しかし、賢い牧はそこで面と向かって逆らったりしない。言われた通り、春田の机に書類を置きに行く。

 会社で働いていると、こんな場面、いくらでも遭遇する。本社で再開発事業に携わっていた牧なら、頭の固いジジイに振り回されたり、現場で顧客のワガママに困らされたり、色々な経験を積んできただろうと思う。

 マロごとき小ワッパの空威張り、柳に風と受け流すのは屁でもなかったかもしれん。

 こういう細かい部分も、「会社あるある」で納得できるから、おっさんずラブが好きなんですよね。



 そして、マロが要らない先輩風を吹かせたお陰で、コトが動くことになる。

 牧が置いた書類が机の上のマウスに触れて、春田のパソコンの画面が牧の眼に触れる。

 春田が戻ってきたのに気づいて、慌ててその場を離れる牧。

 新着メールに気づいて、パソコンを覗き込む春田。

 そこにあったのは、

「明日ランチミーティングするお」

という、上司が部下に送る社内メールとしては些かはっちゃけた件名の黒澤部長のメールだった。

 目をぱちくりさせる春田はともかく、うっかり見てしまった牧はここからずっと気が気じゃなかっただろうね!笑

 「嫉妬」は、恋愛において物語を動かす重要な要素になる。

 小生意気モンスター社員マロ、GJ! 



 あ、そんで、副音声で「するお」の発音というかイントネーションに悩んでいらっしゃいましたが、これはいわゆる「ネットスラング」っちゅーやつなので、実際の会話で使う人はごく稀だと思われる。(黒澤部長は多分若い人の言葉だと思って使ってるんだろうなあ)

 ヘタに実生活で使うと、この言葉を知らない人には「?」て思われるし、知っている人には(うわ、実際に使ってるよ…)と痛々しく思われちゃう可能性大なので、使わない方がいいと思う。

 よって、悩む必要は全くありません!



 もうこの辺で既に、黒澤部長としては結構手応えを感じてそうだなー。

 部長の脳内では、

 

・ずっと心に秘めていたけど……思い切って告白!

・ドン引かれるかと思いきや、意外と好感触だった♡ 頭ナデナデしてくれたもん!

・よし!次のステップに進んじゃえ! ←今ココ

 

 こういう感じなんじゃないかと、春田からの「承知しました」という返信を見て、ほんわ~…と幸せそうに微笑む乙女な武蔵の表情を見ていると、読み取れるわけです。

 まあ上司から「ランチミーティング」と言われて、部下である春田に否やのあろうはずもないんですけど、お花畑状態の部長の脳内からは、そういう「会社人としての常識」が薄くなっていそうだ。



 余談ですが、前の会社のクソ上司は、「了解しました」という言葉を異常に嫌う人だった。「承知しました」じゃなきゃ絶対ダメ!上司に向かって「了解しました」なんていうやつは非常識極まりない!と、何があったか知らないが、神経質なくらいこだわっていた。

 「了解しました」というのは、「あなたの言葉を理解しました。言われた通りにします」という意味であって、別に失礼じゃないんじゃ? ていうか、そんなマナー、聞いたことないけど?と思ってたら、あるブログで書かれた記事が拡散するうち、いつの間にか「これが社会人としてのマナーだ!」みたいに誤解されて広まったんですってね。

 一時期、記事を書くのを外注して、ともかくもヒット数を稼ぐために記事数を量産するキュレーションサイトが雨後の筍のように沸いたことがあった。(今はどうか知らない) そういうサイトのライターは、与えられたお題に対して「ネットで検索」し、適当に情報をかき集めて、「テーマは同じだけど書き手は違うよ!」というだけの内容の薄い記事を書き、文字数で報酬を貰うのが仕事だった。そういうことしてると、こうやって「たった一人が書いた意見」が、あたかも「世の中の大多数の意見」であるかのように書き換えられてしまう、ということが起こる。

 ネットは便利だけど、鵜呑みにせず疑ってみる知性を持っていないと、クソ上司のようにかえって踊らされる羽目になる。

 というわけで、春田の「承知しました」という返信の文句は、上司に対して敬意を見せた礼儀正しい言葉遣いではあるが、これが仮に「了解しました」であったとしても、別に間違ってはいない、という話。

 脱線失礼しました。



 閑話休題

 場面は変わって、「わんだほう」。ちずの転職がめでたく決まり、2人でお祝いしつつ飲んでいる。

「あたしは仕事に生きるから。そんでいつか、優秀なイケメン執事を雇う!」

「そうやって結婚が遠のいていくんだよ」

 シュシュシュ、とボクシングのマネしてじゃれ合う2人。いいねー、この距離感。ここではまだ、2人とも独身で、結婚を気にしつつも出来ないでいるという、同じ立場の仲良しの幼馴染だ。

 サバのヨーグルト煮をどーんと出した後、春田に酷評くらっても飄々として動じず、「あ!メロディ降りてきた」とにわかにギター抱えて歌い出す鉄平兄もいい感じ。

「…なんでヨーグルトで煮るの?」

という春田の問いに、

「料理も人生と同じ。どこに運命的な出会いが転がってるか分かんないだろ?」

と返す鉄平さんの言葉、名言だと思う。思うがしかし、よりによって臭みの強いサバをチョイスせんでも…とも思う。笑

 クセのない鰆あたりを、イタリアンな感じでオリーブオイルで炒めて、酸味を利かせた仕上がりにすれば、変わり洋風南蛮っぽくなったんでは…と考えてしまうが、まあそれは要らぬお世話ですね。すみません。

 そしてこの言葉通り、鉄平兄自身が運命的な出会いを果たすわけだが、これはまた後のお話。



「それで、あれから部長さんとはどうなったの?」

 ちずに聞かれ、一応

「何もないよ」

と答えたものの、

「諦めたのかなあ?」

とちずが深堀りすると、つい

「いや、…」

と身を寄せて本当のことを話しちゃう春田。

 そうだよね、「会社の上司に迫られて困ってる」なんてさ、なかなか自分一人の胸にしまっておくのは難しい。相談できる誰かに話すにこしたことはない。

 ただし、ちずの反応は、春田の予想とは違うものだった。

「今は奥さんがいるから、ちゃんとするまで待って欲しいって」

「え、めちゃくちゃ誠実じゃん!」

「いや、誠実ってさ」

「春田のことを大切に思ってる証拠じゃん? それ、真剣に考えた方がいいよ!」

と、まさかの部長推し。



「あのさあ、簡単に言うけど、お前、本当にオレが部長のものになっていいのか」

「えっ…」

 見つめ合う2人。

 ハイ、春田とちずの第1回目のフラグ、立ちましたー。視聴者も一瞬ドキッとする場面ではありますが、ここでのちずは色気もヘッタクレもありません。

「だって…玉の輿だよ?」

 台詞もだけど、ちずちゃん、手! そのジェスチャー、やめなさい!笑

「た、玉の輿…」

 春田もちずが指で作った輪っかを見て、

「な、なんかヤダそれ!」

と思わず大声を出す。

「やだ。やめて!!」

 と言いつつ、

「…玉の輿?」

と一瞬考える春田に、さらにちずが

「玉の輿!」

と押して、

「ええー!!」

と混乱の叫び。

 しかし春田よ、「玉の輿」で一体何を想像したんや。笑



 この場面、「ヤダ!」「やめて!!」の言い方が、強いんだけど、可愛くて、「拒否」ではあっても「拒絶」にまでは至ってない。もう絶妙に春田。

 その拒否も、「部長を拒否」というよりは、「この状況をまだ受け入れられない」という、春田の混乱が伝わってくる。

 演技論とか難しいことは分からないけど、この言い方ひとつで、全然違った感じになるんじゃないかなあと思う。

 この可愛らしいダメンズ春田を演じつつ、水川あさみちゃんとあーんなことしちゃう岩井先輩を演じるわけだから、田中圭という役者は本当に凄い人ですね。



 とそこへ、新着メールを知らせる着信音。

「もう家に着きました?まだだったら帰りに牛乳買っておいてもらえませんか?」

と牧からのメール。

 それを読んだ春田のしょっぱい顔がなんとも言えない。

「仕事?」

と聞いてくるちずにも、今度は答えず、無言で首を横に振って、

「鉄平兄、ビールお代わり!」

とオーダー。



 こうやって書き起こしてみると、牧くんの気持ちの動きがよく分かりますね。

 朝は忙しいフリでなんとかごまかした。会社でも極力接触を避けて、ほとぼりが冷めるのを待っていたけど、家に帰ったら顔を合わせなきゃいけないし、何より春田がどう思っているのか、本当は気になって仕方がない。

 だから、こうして業務連絡風の何でもないメールで、反応を見てみた。

 そんなところでしょう。



 部長とのことは隠さずちずに打ち明けた春田が、牧のことは言わない。

 本当に悩んでいることって、なかなか言えないですよね。気持ちを言語化するには、段階が必要なのだ。

 春田にしてみれば、上司から告白されたというだけでもアレなのに、一緒に住んで親しくなった友達から突然キスされたという、とんでもない状況なわけだ。

 キャパオーバーもいいところで、牧からのメールで否応なく思い出させられたんだろうな。(あー、こっちもあったわ…)みたいな。

 だからこの顔。心情は察するに余りある。



 だが申し訳ないが、春田が困っておろおろすればするほど、部長と牧に翻弄されればされるほど、視聴者は面白いんだよな。

 田中圭は、魅力的なクズを演じさせたら右に出る役者はいないが、「おろおろするダメ男」を演じても、日本屈指の可愛さを発揮する。

 そう、可愛いんですよ。

 困って途方にくれている春田、可愛くて仕方ない。



 なので、このドラマが続く間中、春田は何度も何度も困った局面に立たされる。

 春田がうわー!と髪をかきむしるたび、困り果てた挙句変なステップで踊るたび、画面のこちら側で1人、また1人バタバタと春田に落ちていったのが2018年の春だった。

 そうして発生した沼は、今や立派な底なし沼になりました。




 春田、困っているだろうが、めげるな。キミなら何とかなる。

 頑張れ。

OL小説まとめ

 ちまちま連載していた小説を一本にまとめました。

 

www.pixiv.net

 

 一気に読みたい!という方はこちらからどうぞ。

 一度にたくさん字を読むのはちょっと…と言う方は、連載の方で。

 

 

 続編の撮影に入っているということは、今この瞬間、同じ空の下で、春田と牧の時間がまた動き出したということだ。

 想像するだけでドキドキする。

 黒澤部長はまだはるたんに未練タラタラで、隠し撮りがますます絶好調かもしれないし、武川さんは何かの拍子で足ドンをかましてるかもしれん。標的はマロあたりだったりして。

 蝶子さんもマイマイもアッキーも、もちろんちずも鉄平兄も、みんなみんな元気で再会しているかと思うと、なんか嫌なことあっても色々吹っ飛びますね!

 

 去年の夏から書き続けていたOL小説、「ギフト」というタイトルにしたんだけど、「おっさんずラブ」こそ、時代の変わり目に天から私たちに与えられた贈り物だった。

 神様、貴島P様、徳尾様、その他「おっさんずラブ」に関わった沢山のスタッフとキャスト陣、改めてありがとうございました。

 5月から始まる新しい時代が、「おっさんずラブ」が描いた優しい世界に少しでも近づくといい、と心の底から願ってやみません。