始まりましたね。日テレの新しい音楽番組「MUSIC BLOOD」。
皆さんご覧になりましたか?
私は見ました!
いやー、想像以上によかった。
座長とばーちーの組み合わせと聞いて、「おっ!」と期待する気持ちもあったものの、一方で(音楽畑じゃない2人をMCにして、どういうコンセプトの番組を作るつもりなのか?)と訝る気持ちもあった。
過去にも色々な番組があったけど、かちっとハマらなかった企画もあったから。
それは出演者の力量云々ではなく、制作側の意図と視聴者の期待がズレたりとか、色んな理由だと思う。
役者としてキャリアもあり、バラエティ慣れもしていて、コメント力もある2人だから、大丈夫だとは思うけども、うーむ……と、正直一抹の不安はありました。
誰目線なんや。
「始まりました!」
「始まったよ。どうする?」
「でももう……どうしようもないですよね?」
スタジオに立つ2人のショットから始まったオープニング。
「音楽番組のMC」という、新しい役割に緊張している2人の様子が伝わるんだけど、そのあわあわしている言葉を、編集なしにダイレクトに放送する「生」感が、なんだろう、かえって安心な感じというか。
(あ、大丈夫そう)
(ていうかやっぱり面白そう)
と、見て3秒で安心した。
初回のゲストはsumika。
本人たちも
「この組み合わせが実現するとは…!」
と感慨深そうでしたが、そう、あの航空編のメンツですよ。
sumikaが流行っているのは知っていたけど、あのドラマで知ったがために、私にとってはネガティブなイメージがついてしまって、その後なんとなく聴くのを敬遠していたバンドだった。同じように感じていた沼民の人も少なくないんじゃなかろうか。
でも、この回はとても面白かった。
毎年、メジャーデビューするアーティストが数多くいる。でも、1年後残っている者は少ない。3年後、5年後、となると、もうデビューした数のほんの数%しか残らないと聞いたことがある。
だから、デビューから10年近くの月日が経ってまだ存続しているバンド、そして第一線で活躍している人たちは、「選ばれし者」なんですよね。実力と運とタイミングに恵まれた、音楽の神さまに選ばれた人たち。
だから、どのバンドも、本当によく出来た小説のようなドラマを持っている。私が好きなUVERworldもそうだ。
それにしても、
「ある日突然ボーカルの声が失われる」
というのはヘヴィですね。しかも公演を数日後に控えたタイミングで。
「音楽どころか普通の生活を送るのも難しいかもしれない」
と覚悟したという、片岡さんの語りは淡々としていて冷静なんだけれども、彼の当時の絶望や焦燥を思うと、胸がかきむしられそうになった。
で、それに聞き入る座長とばーちーの表情が豊かで、嘘がない。sumikaを襲った苦難に寄り添って共感しているのが見てとれる。視聴者と同じ目線に立って、彼らに感想を伝えてくれるから、それを見るだけでカタルシスを得られる。
あれ、もし台本があって、演技でやっているのだとしたら、それはそれでスゴイと思うけども、そうじゃないんじゃないかなあ。
「あるアーティストの血となった音楽を解き明かす」
というコンセプトなんだけど、つまりは、音楽にまつわる「ドラマ」を見せてくれる番組なわけですね。
sumikaを襲った絶体絶命のピンチについて。
それをどう乗り越えたか。
取り上げられた曲の歌詞の中にも、ドラマが詰まっている。
テレビドラマにも映画にも、物語には音楽が欠かせない存在だけれども、大勢の人が集まって作る音楽には、それだけで物語が内包されている。
音楽×ドラマをこういう取り上げ方で見せてくれるのは、今の時代にもハマる番組作りなんじゃないかと思いました。
となると、何故MCにこの2人が選ばれたのかということも、腑に落ちる。
田中圭は達者な役者だけれども、こういう場に置くと、「思ったことを正直に言う」キャラクターとしても知られていると思う。
目の前に展開するドラマを正確に読み取って、感じたままを言う。台本通りに進行するアナウンサーの司会と違って、お話が語られているスタジオへの距離感を近く感じる。
千葉雄大は、あざと可愛い男子として知られていて、無茶振りもなんなくこなしてみせる度胸もあり、こなれた感じもするんだけど、30過ぎても「少年」感が消えない、不思議な魅力の持ち主だ。
で、そつなくこなしてみせているようで、実は不器用さもあり、ちょっと読み違えて空回って恥ずかしがってみせる天然さが、
(くそーかわええ……)
てなるんだよな。
座長が突然「で雄大は」と無茶振りして、雄大がやってみせた後に
「初回から何この空気」
と半ギレ。笑
あ、そうそう、この2人を好きな人は(ていうか俳優が好きな人ならそうかな)、「アドリブ」が好きだと思うんだよね。
噛み合わなかったときの滑り感もアドリブの醍醐味というか、このわちゃわちゃしたかけあいを楽しんで視聴した人も多かったと思う。
でも、基本コメントがしっかりしているというか、勘所を外さない。
ていうか、この2人の組み合わせ、最強じゃね…?とも思った。
兄弟のようでもあり、親友のようでもあり、時に長年つきあったカップルのようなどっしりした絆も感じる。
「雄大、ちゃんと好きって伝えてる?」
「いつも言ってんじゃん、好きだよって♡」
「/// 違うの違うの、そういう軽いんじゃなくて!」
「人の『好き』を軽く見るな」
「仕上がってるな~w」
このやり取り、笑いました。
この片岡さんという人、語りがとてもうまいな、と感心してみていたんだけど、音楽雑誌「音楽と人」で連載も持っているんですね。文章も巧みなんじゃないだろうか。
スピッツの音楽を例えて「衣の薄い天ぷら」とな。「それを塩でいっちゃう」という例えが分かる。「タレに頼りがち」というのも、あーあるあるタレに頼ってるやつ!と、分かった気になる。笑
この回を見て、sumikaがちょっと好きになったし、他の曲も聴いてみようと思った。
初回がsumikaでよかったんじゃないでしょうか。
うーん、これまで見たことのないタイプの音楽番組で、初回を見る限り、その試みは成功していると思う。
他の誰かを参考にすることなく、座長は座長らしく、雄大は雄大らしく、そのまんまで楽しんでやっていって欲しいな。
来週も楽しみ。