わんだほうから帰っていく春田がすれ違う黒澤部長のソックリさん、似てますね。
わぁ、こんな似てる人いるんだ?と思ったら、吉田鋼太郎さんの物真似をしている芸人さんだそうで。
春田が家に帰ってくると、遅くなるはずだった牧がいて、掃除機をかけている。
疲れてるのに、着替えもそこそこに掃除機かけるって、相変わらずマメな男だね、牧くんは。まあ、掃除機をかけずにはいられないほど汚かったんだろうけども。
「牧、遅いんじゃなかったの?」
声をかける春田は嬉しそうだ。だけど、「春田さんは?」と聞かれて、
「わんだほう行ってた」
と素直に答えた春田、
「…飲んでたんですね」
という牧の声のトーンダウンには気づいていない。
牧は責めてない。責めてはいないんだけど、若干、イラッとしてる。これはもう結婚生活あるあるなのかもしれないけど、牧にしたら、せっかく早めに仕事を切り上げて帰ってきたのに、春田はいなくて、部屋はいつものごとく散らかしている。そこへ帰ってきて、「飲みに行ってた」と言われたら、(…こっちは帰ってすぐ掃除してんのに飲みかよ…)てなっただろうなあと、この一瞬で想像出来てしまう。
だけど、春田は春田で言い分があるわけだ。帰ってきたなら、せっかく作っておいたオムライスを食べて欲しい。なのに、
「会社のコンビニで…」
と言われたら、(えー……)てなっちゃう気持も、分かる。超分かる。
新婚生活始まってからずっと、牧が仕事で帰りが遅いの、我慢してたもんね。
牧もそこのところ、分かってるから、春田が文句言っても、最初は言い返さないし、片づけない春田を責めもしない。
「そういう余裕なくて…すみません」
ちゃんと謝ってるのに、春田が
「時間は、作るもんだろ!」
とかって言っちゃうもんだから、ガンッ!と手に持ったハンディ掃除機を床に叩きつけたくもなっちゃうわけだ。
「春田さんが散らかすの片づけてるうちに俺の一日が終わるんですよ! 春田さんがもうちょっとちゃんとやってくれたら、その分俺の時間が出来るんですよ!!」
そうなんだよ。貴重な家での時間食っちゃってる当の本人に、「時間は作るもんだろ」とか言われちゃうとね。これは、キレると思います。
でまた、春田の反論がダメダメなんだなあ…。
「お、お、オレだって、ゴミ出しとか手伝ってんじゃん!」
「ゴミ出し!?」
ああ、牧のボルテージがぐぐっと上がっちゃった。
「ゴミ出しって言うのは、家じゅうのゴミを集めるところから始まるんですよ。春田さん、まとめたゴミを持っていくだけじゃないですか」
ハイ、「ミステリと言う勿れ」で久能くんも池田刑事に言ってましたね。三角コーナーの生ゴミを回収して、その後汚れたシンクや排水口なんかも綺麗にして、新しくゴミ袋設置するところまで普段からやっていれば、こんな風に言われることもなかろうに。
「つか、手伝ってんじゃんって何ですか。『手伝う』って概念何なんですか!?」
そう、それな。近年SNSでもよく見かける論争ですよね。家事を、育児を、「手伝う」って、あくまで主体は自分じゃないってことだもんね。
この、にわかに勃発した諍い、おっさんずチームが世間の動向をよく見ていることが伝わってくる。
「な、なんでそんなに怒ってんの…?」
これ、春田がよく言う台詞だ。
私なんかは、(それ、言う前に自分で考えてみようぜ)と思ってしまう。なぜ相手がこんなに怒っているのか。なぜならそれは、普段から牧が我慢しているからだ。毎日少しずつ溜め込んできたから、今吹きこぼれたのだ。
で、春田みたいに、細かいところに気づかない人は、代わりにやってもらっていることにも気づかないし、このときみたいに、掃除している牧を見ても、(あっ、俺がやっとくべきだった。牧、ごめん…)みたいな思考回路にはならないのだよ。私は一人暮らしだけど、こないだまでそういう思考回路の人と一緒に働いていたから、この辺はよーく分かる。で、この手の人って、指摘されても「え、そんなこと、大したことないじゃん」とか言うから、余計こちらの気持に火に油だったりするのだ。
「オレだってさ、苦手な家事やってるんだからさ、ちょっとくらい褒めてくれてもよくない!?」
ホラね。
春田の中で、「牧にかけている負担」<<「苦手な家事を頑張っているオレの労力」なのが、この無自覚の台詞で分かってしまう。
ここ、全国のご家庭で(うわー、うちもそうだわー…)と、頷きながら見ていた視聴者も多かったに違いない。
「なんだそれ!? 褒めるところなんて一つもねぇわ」
と、牧に一言のもとに切って捨てられる春田が、自業自得で当然!と思えるんだけど、一方で可哀そうでもあって、牧の切り捨て方が小気味よくて、何度リピートして見てもクスッと笑ってしまう。
ここ、ちょっとピリッとした場面ではあるんだけど、私は見ながら、(ああ、でも、よかったな)と思っていた。
牧くん、この段階で、春田に文句言えるようになったんだ。
前の牧くんだったらもっと、溜めて溜めて、一人で抱え込んで、どうしようもなくなってから吹きこぼれてたもんな。で、牧が吹きこぼれるときって、割ともう「終わり」だったりしたから。
一緒に住んでいれば、ケンカくらいしますよ。これくらい、コミュニケーションの一環でしょ。
ね。
ピーンポーン……とインターホンのチャイムが鳴って、現れたのは、救いの神のちずだった。
ここで急遽、三者会談がもたれるのもいいですね。そう、時には第三者に仲裁に入ってもらうのもいいと思うよ。
「つきあってるときは、楽しければいいけど、一緒に暮らしていくって大変なことじゃん」
「そう、そこを分かりあいたい、というか」
この牧くんのさりげない台詞、いいですね。「分かって欲しい」じゃなく「分かり会いたい」。
「分かってるけどさぁ! オレはもっと、明るーい家にしたい」
能天気に言う春田、絶対「一緒に暮らす大変さ」を本当には理解してないっぽい言い方なのが腹立つけど、それに対しても、牧くんは
「…これが一生続くと思ったら…」
「絶望するよね」
ちずと顔を見合わせるんだけど、(そっか、一生続くんだ。一生って覚悟してるんだ)と、全国のお茶の間で強火OL民たちの頬がほころんだに違いない瞬間でもある。
…とこのように、第一話から早々にケンカしてしまった春田と牧。
でも、春田ももう、以前の春田じゃない。
今日もまた仕事で遅いらしい牧のもとへ春田から電話がかかってくる。
「あ、…もしもし」
「すみません…今日も遅くて」
「仕事なんだから、しょうがねぇよ」
ホントに仕事が忙しそうな牧くん。大変だね。
「あのさ…牧が頑張ってること、世界で一番、オレが知ってるから」
「え……」
「だから、牧のことメチャクチャ応援してるけど、……無理はすんなよ。マジで」
「――」
牧が、「はい」と答えるまでに、数秒の間がある。その「間」で、春田の言葉が牧に沁みているのが伝わる。
「それだけ、伝えたくて。……仕事の邪魔して、ごめんな」
「あ―――は、はるたさん!」
「ん?」
「ありがとうございます」
「……うん」
そんなに長い場面じゃないけど、ここ、いいシーンだ。
牧は、溜め込まずにイヤな気持ちを言えるようになった。春田は春田で、相手に伝えたい気持ちを、ちゃんと言葉にして言うようになったんだな。
こういうの、改まって言うのって、くすぐったくて言いにくいもんですよね。心から思ってたとしても。
でも、多少の気恥ずかしさは捨てて、相手に「伝える」って大事なことだ。
ケンカしても、こういうやり取りを交わすことが出来るなら、大丈夫。2人で2人の時間を紡いでいくことが出来る。
さて、ここから5分間はヲタへのボーナスシーン満載ですよ…!
天気予報で、今夜冷え込むと聞いた春田、コートを着込んで出かける。
一方牧は、仕事をやっと片付けて、そそくさと会社を出る。
出たところで、白いものがちらついているのに気づく。上を見上げて、しばし降る雪に見惚れる牧。
この牧の顔が、何とも言えず美しい。季節は違うけど、劇場版、花火大会の夜の浴衣姿牧を想起させる。春田を想ってこの表情を見せる牧、遣都くん、さすがです。
そんでこの季節に必ず流れるCMの、「ふーゆーのkissは~、雪ーのよ~うな口ーどけー♪」と、メルティ〇ッスの歌が脳裏に浮かんだんだけど、まあそれはどうでもいい。
「まーきッ!」
大きな声が響いて、ダッフル姿の春田が走ってくる。
「イェーイ、お疲れ~!」
言いながら、牧に正面から抱きつく春田。
「寒いからカイロ持ってきた」
両手に持ったカイロごと、牧のほっぺたを挟みこむ。
「……それだけのために?」
うん、とうなずく春田の、タコみたいにとがらせた唇が可愛い。
「そうだ、俺も……」
春田の手を外して、手に提げた紙袋から、プレゼントの包みを牧が取り出す。
「え、え、え、まままままじで?」
「開けてください」
出てきたのは、赤いマフラーだった。
「え、マフラーじゃん! 超嬉しい!!」
「もう酔っ払ってなくさないでくださいね」
「……ありがと」
ちょちょちょ、ちょっと待って。ハァハァ、書いてて辛い。
2人が可愛すぎて辛い……!!
レビューを書こうと思って何度見返しても、見るたびにきゅーん……てなって、気がついたら額に手のひらを当てて悶えてるか、握りこぶしを胸に当ててなんか堪えてるか、大体そんなポーズしてる。
心拍数も血圧も上がってるヲタがおそらく300万人はくだらないであろう場面。
いや待て、もう少しだ。
ここからもまだまだ、〇万円払って手に入れた豪華版DVDの特典映像みたいなボーナスシーンが続くのだ。
公式がヲタを仕留めに来ている……!!
春田にあげたマフラーを、首に巻いてあげる牧。
またいいタイミングでスキマスイッチの新しいテーマソングが流れるよね…!
「春田さん。初詣、行きましょ」
「うん。……え、い、今から!?」
「今から」
春田、目を丸くして、
「行く行く行く行く行く!!」
牧が嬉しそうに笑って、自分から、そう、自分から春田の手を取って繋いで、ちょっと遅れての初詣に。
ぱんぱん!と拍手を打ち、2人並んで願い事。
「何お願いした?」
「ん? 健康」
「あー…健康、大事だもんな」
そう。ホントそうよ、と49歳の私、画面のこちら側でうんうんと頷く。
「春田さんは?」
「世界平和」
「一番大事」
そうね。これも本当にそう。今みたな時勢だと、心の底から思う。
で、こういうちょっとしたやり取りが全部可愛いんだけど、最後に春田がたたっと走ったかと思うと
「大好きな牧とー、幸せな家族になれますようにー!!」
とかって爆弾落とすからさ……心臓止まりそうになる。
ドヤ顔で振り返った春田を、「帰りますよ」と牧が促すんだけど、
「やれよ凌太」
「うるさい……創一」
からの、まあこのまま塩対応で帰るのかなーと思ったら、
「俺もー、一緒だよぉー!!!」
あああ、牧も叫んじゃった。
そして、腕を組んで神社を後にする春田と牧。
あああ、もう、こんな2人の姿を見ることが出来たなら、この世に思い残すことはございません。
皆さま、今までありがとうございました。(スゥ~~……)
………ハッ、また召されかけたわ。ヤヴァイ。この5年の願望がほとんど全部満たされた感が凄くて、第一話だけで何度も昇天しそうになる。
いやいや、なんかもう最終回みたいな満足度だけど、まだ第一話。始まったとこ。
まだ死ぬわけにはいかん……!!
もう、このラスト5分間、春田がともかく可愛い。言うことなすこと全て可愛い。
なにあの「可愛い」で出来た39歳。
そんで牧は、当然可愛い。あの「儚い」と「切ない」で出来ていた牧凌太が、こんな「幸せ」と「ニコニコ」で出来た牧凌太に生まれ変わるなんて……(絶句)
ああ、新年早々からいいもん見れた。(ぐしっ)
ということで、「可愛い」以外の語彙を思いつかなくなったところで、以上!