おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

君の名はジョン

 週刊ザ・テレビジョンの話です。

 がっつりネタバレしてますんでご注意。



 各方面で次々と記録を打ち立てているおっさんずラブ、関連雑誌も毎週のように出るので、正直全部買ってたら身が持たない。だから、買ってないのもある。

 でも、沼のあちこちで「ジョン……ジョン…」と木魂のように声が響いて、うっすら内容も察することが出来てしまうと、どうしても欲しくなった。

 というわけで、買いました。週刊ザ・テレビジョン。



 買いましたと言っても、私の場合、簡単な話じゃなかった。

 今ちょっとわけあって身体が不自由なんですよね。なので、元気なときのようにひょいひょいそこら辺の本屋やコンビニに立ち寄れない。

 最初は「今回は無理だ、諦めよう」と思っていた。けど、気になり始めて、立ち寄ることが出来る範囲のコンビニでつい雑誌棚をチェックするように。

 5軒見たけど5軒とも売り切れていた。ジョンだけ。



 テレビの週刊誌は元々、それほど配本数が多くない店がほとんどだ。だから、欲しい号なら発売日当日か翌日には買わないと、手に入らない確率が高くなる。

 それを知っていたので、やっぱりダメか…と諦めかけていた、のだが。

 

(……待てよ、私元書店員じゃん?)

と閃いた。なんで雑誌を手に入れるのにコンビニを1軒1軒回るなんて効率の悪いことをしているのだ?

 餅は餅屋。本は本屋じゃないか。

 ダメ元で古巣の書店に電話してみました。

「週刊ザ・テレビジョンですね? ハイ、在庫ございます」

(あったーー!! やっぱり大きい書店にはあったーー!!)

 考えてみれば簡単な話であった。

 アレ、不思議ですね。やはり現場を離れて何年にもなると、忘れちゃうんだね。こんな当たり前のこと。



 というわけで、取り置きを頼み、なんとか今日、無事にお迎えにあがれたわけです。

 やっと……やっと会えたね……感涙。



 これは買って正解でしたね。「買うべき!」と推してくれた沼民の皆様に感謝。

 

 

 いっとき、ツイで「がっつり」という形容詞が溢れていたことがあったけど、それはこういう理由だったのだな。

「僕からもがっつりキスしてます」

とな。勿論、最後の春田と牧のキスシーンのことだ。

 あれ、2016年度版のラストもそうなんだけど、春田からキスを仕掛けて、寸止めでカットアウトという演出になっている。私はあの演出が好きで、見るたび「ニクイ演出だなあ!」とワクワクする。

 もちろん、2人ががっつりキスしているところを見たい気持ちもあるけれども、寸止めということは、そこから先は「あとは皆さんでご自由に…」ということじゃないですか。つまり、その先の展開は我々に委ねられたということと同義なわけだ。

 2016年度版も、多分あの後「も、もっかい…」て春田からキスして、さあその後家に帰ってハセは春田をどうしたかな!!と想像が膨らむし、多分なんだかんだあの春田はハセにほだされてそのままああなってこうなって今頃こんなことになってるかもしれないし、なーんていくらでも脳内でストーリーを紡ぐことが出来る。

 そんで今回の連ドラで、3話くらいからは巷の反響が制作側の耳にも入っていたということだから、ラストで春田から牧へのキスシーン、「見たい!」という要望が多いのは分かっていたと思うんだよね。でもあえてあのまま踏襲したというのがまたニクイじゃないですか。

 私はあの演出、すげーお洒落だなあと思います。まああのスピードで覆いかぶさってればあのままキスしちゃってるだろうなあ、とは思ってましたけどね。

 あ、勿論カットがかかってもキスをやめない2人の未公開場面を円盤に入れていただくことについてはまったくもって異論はございません、ハイ。



 私は結構な腐歴を持つ腐女子ではあるけれど、このドラマに関しては「BLじゃない」と思ってるし、なんなら腐的な観点からはあまり見ていない節がある。

 BLが悪いとか劣っているとか一部のヲタの狭い世界に過ぎないとか、そういうことを言ってるんじゃなくて。

 4話くらいだったかな、見ていて、はっと(あ、これはBLじゃないわ)と思ったことがある。

 説明が難しいけど、BLとかゲイとかストレートとか、そういうのを超えたな……と、それこそ天啓が下るように「感じた」瞬間があるんですよね。

 だから、BLに詳しい人が制作側に一人もいなかったと聞いて、不思議に感じなかったし、むしろ(だろうな)と思っていた。

 これについては、言語化できるようになったらまた書きます。



 まあでもホント、TVドラマというものの底力を見せてくれた作品だと思う。OL民には30代40代が多いと聞く。その忙しい年代を、土曜日の11:15という時間、テレビの前で正座待機させたんだから、テレビというメディアはまだまだ訴求力を持っている、と実感した。

 そして、「ラブストーリーが受けない」という定説が正しくないことも証明した。視聴者が飽きていたのは、「ありきたりなラブストーリー」だったのであって、まあ少なくとも私はそう。今まで色々面白い恋愛ドラマ見てきてるもん。言い方が悪いけど、手の内が読めてきちゃうわけだ。だから、人気のある俳優をこれでもかと並べてみたところで、ストーリーに新鮮味がなければ、見る気にはなれない。

 おっさんずラブは、そのすべてを覆したと言っていいと思う。ありきたりどころか、最初からまったく先が読めなかった。ばかりでなく、純粋に「人を好きになる」気持ちが丁寧に描写されていて、ドラマを見て恋愛のときめきを思い出したのなんて久しぶりだったもんね。

 だから、「上質」で「本物」の恋愛ドラマなら、いつだって見たいんですよ。特に女性は。

 そこんとこ、業界の常識とか関係なく、今後ともひとつよろしくお願いします。



 さて続編が熱望される本作ではあるが、もちろん私も作られるなら是非見たいと思っているけれども、一方で

「ないならないで潔い」

とも思う。

 私が好きなUVERworldというロックバンドは、ライブで滅多にアンコールをやらない。何故なら、ライブ本編ですべてを出し尽くすからだ。ライブのアンコールって、ちょっと様式美と化しているキライもあるじゃないですか? でもUVERは、そんなおざなりなアンコールは決してやらない。

 で実際ライブに行くと、本編で燃え尽きるんですよ。観客の方も、アンコールに余力を残してないから、もう十分満足なの。

 おっさんずラブも、7話という短さで、貼られた伏線はすべて回収して、美しいラストを迎えた。物語として綺麗に完結している。ここも私が好きなところだ。小説でも漫画でもドラマでも、そうでない作品の方が山のようにある中、ここまで完璧にまとまっているドラマも珍しい。

 だから、続編がなくても不満には思わないな。それならそれで自家発電で足りるかも。



 とはいえ、あのおっさんずラブチームだ。春田がプロポーズしたら続編の可能性をつぶしてしまうかも、と悩む徳尾さんに、漢気溢れる貴島Pは「続編なんか作ろうと思えばいくらでも作れます!」と檄を飛ばしたという。 

 そうですよねー。このチームならきっと、「要望がすごかったので作りました」みたいなとってつけた感のない、またしても視聴者の予想斜め上を行く続編を作るに違いない。



 我らが座長は、「キャプテンがGOを出せば僕らはついていきます!」と公言している。

 さあ、貴島キャプテンがGOを出すのはいつかな。



 今後もこの沼の賑わいは続きそうだ。