この頃巷で流行るもの、その名はコロナ。テレビをつけてもネットを開いても、どこもかしこもコロナコロナ。「コロナ」の三文字を聞かない日はない。文字通り一日もない。
しかもそのニュース、いい話とは到底言えない。
曰く、今度は〇〇県で患者確認。
曰く、陽性患者が発症後も飲食店やジムに出入りしていた。
曰く、〇〇で開催されたイベントでクラスターが発生していたことが分かった。
国内だけではない。
感染が確認された国は世界で80カ国を超え、患者は10万人超。
買占め騒動は日本だけかと思いきや、欧米でも同様の現象が起こっているそうな。
今朝、起きたとたん滂沱の鼻水だった。目を開けた途端襲ってくる目の痒み。
花粉症だ。症状を抑える薬は毎日使っているけど、重症化しているみたい。
それはいいんだけど、続けざまに10回くらいくしゃみが出た。
「ハークション!」「ハークション!」「ハークション!」「ハークション!」
止めたくても止められない。衝動のままにくしゃみしていると、次第に焦りが出てくる。
(これ、隣に聞こえないかな…)(全然関係ないけど、もしかしてコロナと疑われないかな…)
電車では、マスクをした上、くしゃみは極力ガマンしている。
でもなんか、アレですってね。ちょっと咳したら
「もしやお前、コロナか?」
と疑われて糾弾されたりとか、実際起こってるんですってね。
そんなバカな…とは思うものの、改めて自分の周りの状況を確認すると、
(……さもありなん)
と思える。
日本列島全体、どんよりとした雲が覆っているような気がする。
晴れていても、全体に暗い空気が立ち込めている。
あらゆるイベントが中止になってしまった。苦労してチケットを手に入れ、万障繰り合わせてイベントに参加する手はずを整えていたのに、全部がパァになってしまった人も少なくなかろうと推察される。時節柄仕方ないとは言え、やるせないことこの上ない。
この状況、いつまでと決まっているならまだいい。終わりが見えないから、余計に不安がつのる。
前記事でも書いたけど、WHOがまったくアテにならないと露呈してしまったことも、地味にダメージが大きい。
「パンデミックとは言えない」って、これをパンデミックと言わずして、何をそう呼称するというのだ。
日本に限って見ても、「国難」と言っていい。
しっかりした指導者に、この未曽有のピンチをどうにか導いて欲しいものだが、アテに出来る組織がどうやら「全然ない」らしいことも、不安をさらに増大させる。
こんな中、皆さん時間のあるときはどうされていますか?
私ですか?
もちろん、「おっさんずラブ」を見ていますとも。
いや、「おっさんずラブ」だけではない。
最近お気に入りの録画ストックは、こないだ地上波でやっていた「翔んで埼玉」。あと、「映像研に手を出すな!」
前からルーティン的に見ている「シン・ゴジラ」「サマーウォーズ」「君の名は。」は、変わらず見ている。
エンターテインメントの意義はまさしく、こういうときにこそあるというのが、以前から私の持論だ。
非常時、不安や恐怖に押しつぶされそうな心を救ってくれるのがエンタメだ。
向き合うのが辛い現実を、いっとき忘れさせてくれる。鑑賞している間は物語世界に心を持っていかれ、心から笑うことが出来る。
優れたエンタメ作品は、見ている間、その世界こそがリアルだと錯覚させてくれる力を持つ。
遠く奈良、平安時代に思いを飛ばせば、疫病が流行ったときも、内乱で都中が騒乱になったときも、市井の人々は同じように現実逃避をして、心と身体の健やかさを保ったのではないかと思う。
だからこそ、歌舞音曲が今に伝わっているのだろう。
文字が伝わる前にも、石器を使っていた時代も、幾たびとなく訪れる自然災害・疫病・戦などの危機を、人類はそうして乗り越えてきたのだ。
米と文字が伝わる頃には、
「だからその時アマノウズメが岩の前でさ、躍ったわけだよ」
「うんうん」
「そうすると固く閉じた岩の戸が少しだけ開いた!」
「そら開くわな。俺でも開けるわ。絶対見たいわ」
とかやってただろうし、政情が不安定だった平安の宮中では
「ちょっと、『源氏物語』の新しい巻、お読みになった?」
「読みましたわ。昨日徹夜しちゃったわ。明石の君が不憫で……」
「そうよね……ちなみに明石の君のモデルってどなたかご存知?」
「え、モデル? いらっしゃるの?」
「いるらしいのよ。あのね、ここだけの話……」
とかやってたかもしれん。
そして令和の今の時代、コロナ禍にあえぐ我々には「おっさんずラブ」がある。
もうすぐ劇場版の円盤も発売ですよ! イエイ!!
待ちきれないわー。
でもいい子で待とう。
玄関で正座待機。
こんな情勢なので、大勢が集まる観劇は難しい。エンタメ業界にとっても厳しい状況が続いている。
しかし、彼らが作ってきた作品のお陰で、どれだけ心の安寧を得られていることか。
不安を忘れ、笑いを取り戻し、生きる活力を新たに得るのに、エンタメの力は必要不可欠だ。
事態が収束したら、これまで以上にエンタメ業界にお金を払おう…!と決意を新たにしたのでした。
文中に登場した「翔んで埼玉」「映像研」、いずれ感想を記そうと思っております。
あと、この記事には書かなかったけど思い出したのが「一万年の旅路」。
いずれも名作であります。おススメ。