おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

27年目の117

 少し日は経ちましたが、先日、1月17日は阪神淡路大震災の日でした。



 

 私は、18で実家を出てからずっと関西に暮らしていて、震災の当時もよく覚えているけど、大阪在住だったので、「震災を経験した」とは言えるかもしれないけど「震災の当事者だった」とは言えない。

「隣で起こった災害」というのが、実感に近いかもしれない。

 すぐ隣で、大変なことが起こってしまった。酷い目に遭っている人がたくさんいる。

 ただ当時は、その「隣」がめちゃくちゃ遠かった。道路は毎日大渋滞していたし、電車も止まっていた。今みたいに、スマホでどこの情報もすぐキャッチできるという時代でもなかった。

 毎日毎日、流れてくるニュースに気をもんでいた。決して他人事ではなかった。

 でもやっぱり、私は安全な場所にいて、暖房のきいた温かい部屋で、テレビで見ているに過ぎなかった。




 最近になって、何故だか、YouTubeで当時の映像をひたすら見る……という作業をしている。

「何故だか」と書いたけど、理由は明らかで、私が今このすぐそばにいるからだ。

 あの日、早朝つけたテレビ画面に映っていて仰天した、「倒壊した高速道路」の図。

 勤め先が、まさにこの場所の近くにある。




 この映像にも、知っている場所が出てくる。

 今の同じ場所を知っていると、重ね合わせてしまって(うわー……当時こんな有様だったのか……)と、食い入るように画面を見てしまう。

 

www.youtube.com





 この映像、あまり編集の手が加えられていない。感動をあおるBGMもないし、スタジオでコメントする識者もいない。

 ただひたすら、当時どうだったかという取材の映像が流れ続ける。

 倒れた道路のすぐ脇を、出勤の車が走っていく。大地震の翌日から、復旧作業が粛々と進められる。その作業員たちも皆被災者だろうと思われる。

 日常と非日常が隣り合わせで、並行して進んでいく。




 映像から伝わってくるのは、地震という現象が引き起こす、圧倒的な「事実」の数々だ。

 我々は普段、編集し、綺麗にまとめられた映像を見ている。何を見ても、すぐに意味づけをしようとしてしまう。

 大地震で横倒しになった高速道路。都市部に人口が密集することのリスク。建物や鉄道施設の耐震性。地震大国日本に住む意味。

 だっていつもそのように編集されたテレビ番組を見ているから。

 だけど、地震というのは地殻の変動であって、自然現象にすぎない。

 そこに人間の思惑なんか一切関係ない、入り込む余地のないことが、この記録映像を見るとよく分かる。




 自然災害は、いつだって人の予想を遥かに超える規模で起こる。

 予想すること自体、恐らく意味がないのだ。この地球という天体の活動が、何千年、何万年というスパンで起こるのに対して、我々人類の知恵なんかせいぜい数百年の蓄積でしかないのだから。

「災害」という言葉自体、ちょっとアレだよね。住んでいる人間にとっては災いで害だけど、地球からすれば、ちょっと身震いした程度のことであって。




 じゃあ私たちに何が出来るのか、と言えば、やはり、

「こういうことがあった」

と覚えておくしかないだろうと思う。

 このとき、兵庫県がこんな地震に見舞われることを、予想した人はほぼいなかった。関西のこの辺といえば地震が少ないことで有名なくらいだった。

 で、この震災後、30年と経たないうちにもっと大規模な地震災害が起こることを予想した人も、いなかったんじゃなかろうか。

 我々は未だ地震を予知する能力を持たない。過去のデータから予測を立てても、大体裏切られる。

 おまけに忘れっぽい。「喉元過ぎれば…」じゃないけど、時間が経つと、酷かった記憶も薄れてしまう。

 それはいいことでもあるんだけど、自分の子供や孫の世代に、悲しい思いをさせたくないのであれば、受け継いでいかないといけない記憶もある。




 それが、こうして「映像」という何より説得力を持つ証拠として残されているのは、そしてそれを誰でも、いつでも見られるというのは、今という時代の強みだなあ、と思います。



 そんなことを考えていたら、九州で地震が発生した。

 大分に住んでいる知人によると、揺れたけど家具は固定してあったので家の中は大丈夫だった、とのこと。

 やっぱり防災って超大事。

 トンガの海底火山の噴火もあったしね。




 今年も防災に気をつけようと思います。

 皆さまもどうかご安全に。