おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

とあるOL民の感慨

 こんばんは。今宵も閲覧いただきありがとうございます。

 今日は七草ですね。うちは正月のご馳走もなかったし、お粥は作らんけれども。

 もうすっかりお正月気分も抜けきった頃でしょうか。



 さて、2018年の「おっさんずラブ」放映から4年が経とうとしている。

おっさんずラブ」が好き!なぞという非常にマニアックなタイトルをつけてこのブログを始めてから、同じだけの時間が経ったということでもある。

「5年経っても感想書いてるかもしれない」と自ら予言した通り、なんといまだに4話のレビューすら終わっていないという体たらくであるが、まあそんなことはどうでもいい。




 私が登録しているサブスクは二つあって、TELASAとAmazonプライムだ。

 TELASAは、登録した当時はauビデオパスだった。「おっさんずラブ」の動画を見られるのがそこだけだったので、一も二もなく登録した。出勤中、スマホでも見られて非常に便利であった。いつでもどこでも「おっさんずラブ」が見られて月600円くらいだったら全然惜しくない、と思った。

 ある日気がついたら、TELASAと名前が変わっていた。名前は変わっても、サービスの内容自体は同じだったので、特に異存はなかった。そのまま今に至る。いっときハマったタイBLもここで見た。

 Amazonプライムは、動画のためだけではなかったけど、結果的にプライムビデオをめちゃくちゃ利用している。サブスクの中ではコスパは最高にいいんじゃないかと思う。

 で、今やその両方で「おっさんずラブ」を鑑賞出来る。

 いつ見ても、変わらず、OLの世界は優しく、楽しく、せつなく、面白い。




 しかし、アレだ。

 「おっさんずラブ」放映当時と今とでは、随分変わった、と私は感じる。




 何かが世間で受けるとき、そこには必ず「ギャップの魅力」がある。

「めちゃくちゃいかついのに中身は乙女」(参考:デトロイトメタルシティ

「美少女なのに中身はおっさんorおっさんなのに中身は少女」(参考:パパと娘の7日間)

 この、「〇〇なのに△△」は、物語を作る上での鉄板セオリーでもあって、広く人口に膾炙した作品ではよく使われている手法だ。

 それで言うと、「おっさんずラブ」は「男同士なのに」とか「BLなのに」とかがついた上で、

「ドラマとして質が高い」「面白い!」「笑えて泣ける最高のラブコメ!」

と、その意外性が評価され、あの爆発的な人気を呼んだのだと思う。




 だけど、「男同士」を始めとする、LGBTその他性的マイノリティに対する風向きって、随分変わったと思いません?

 まず何より、「おっさんずラブ」以降、同性カップルを扱った作品が増えた。

 元々あったんだけど、OL以前より明らかに、「日の当たる場所」に出てきたと思う。

 そんで、その作品を「好き」と公言出来る雰囲気が出来てきた。

おっさんずラブ」のときはまだ、「『おっさんずラブ』が好きって周りに言えない…」という人も少なくなかったと思うの。

 けど今は多分、かなり減ったと思う。少なくとも、公言しても

「ええー、あれ男同士でしょ?」

とあからさまに揶揄するような向きは、結構少数派になりつつあるのではなかろうか。




 すべて「思う」とか「感じる」とか、私の主観のみで述べていて申し訳ない。詳しく統計を取ったわけでもデータがあるわけでもないので、事実とズレている可能性は大いにある。

 ただ、BLという言葉すらまだ知られていない、完全に日陰の身分だった時代から腐界に棲息している人間の、嗅覚と触覚と肌感覚で捉えた「時代の空気」である。

 この4年で、変わった、と思う。

 変えたのは、「おっさんずラブ」という一つのドラマのヒットである。

 …と断言するのは言い過ぎかもしれないが、一助となったのは間違いない。




 実を言うと、私自身の中にも偏見はあった。

 いや、当時は「ない」と思っていたんだ。男性同士の恋愛に対して、自分は特に偏見を持っていない、と自認していた。

 だけど多分、春田と牧とか、シロさんとケンジみたいに、

「外見はイケてる」

人同士じゃないと……という感覚はあったと思う。深掘りすると。

 あと、女性同士がつきあうことについて、(反対はせんけど、感覚的に分からんな)と思っていた。よくよく考えてみても、女性である自分が、同じ性に対して恋愛感情を抱く可能性はない、と思っていたので。

(もし同性の友達が、好きだと告白してきたら、どう感じるだろう)

と、「おっさんずラブ」を見ながら想像してみたことが何度もある。

 でも、実際に体験したことがないから、なかなか想像しづらかった。

(もしかすると、やっぱりちょっと嫌悪感とか覚えるのかな……そうでない、と言い切る自信はないな…)

と、その時は答えが出なかった。



 まあこの辺は、自分自身のセクシャリティの他に、趣味嗜好もあるし、多分ルッキズムの問題とかもあるんだろうし、一概に「LGBTへの偏見」と括れない気もするんだけれども。

 ともかく、自分で考えてみて、(答えが出ない)(正解が分からない)ということが、結構あったんです。




 ただ、当時「回答不能」と出た、こうした色々な問題は、その後ずっと頭の片隅にあり続けた。

 何かにつけ引っ張りだして、ああでもないこうでもないと、頭の中でこねくり回して考えることをやめなかった。

 そのうち、それらの問題に対する自分の感じ方も変わってきた。

 クマさん系の中年ゲイカップルを見ても、特に何とも思わない…というか、微笑ましく応援する気持になったし、女の子同士でつきあっていることをカミングアウトしているカップルも(色々大変だろうけど負けるな、頑張れー)と、親しみを感じるようになった。

 ある日ふと、

(……前はこうじゃなかったよな?)

と気づいた。

 時間をかけて考えているうちに、ゆっくりと私自身が変わっていったんだと思う。




 セクシャリティについても、ですね。

 生まれ持ったものは変わらん、と思ってましたね。ハイ。

 だから、春田は牧を好きになったということは、潜在的にゲイかバイだったのだ、と思っていた。

 だけど、今や180℃違う意見になってしまった。

 ストレートであろうと、同性に恋することはある。人の恋愛って、それほど単純じゃない。

 私だって、女性を好きになる可能性はあるぞ、と思うほどに、変わってしまった。




おっさんずラブ」から4年経った現在、目に映る景色はかなり違ったものになった。

 そしてそれは間違いなく、「おっさんずラブ」が変えたものなのだ。

 このドラマが我々の社会にもたらしたインパクトは、やはりただならぬものだったなあ、と思う。




 ところで、「チェリまほ」は再放送が決定して嬉しいんですけど、「おっさんずラブ」もぼちぼちしてくれませんかね? もちろん2018年のですよ。春田と牧のやつ。天空不動産編ね。(くどい)

 一挙放送でも、深夜に週1でもいいから、やってくれないかな。

香川照之の昆虫すごいぜ! 2022年お正月スペシャル

 去年の年末、術後の傷の痛みにうんうん唸りながらも、私はあるテレビ番組を気にかけていた。

(冬休みに入ったのに『昆虫すごいぜ』やらねーな……)

 だが大丈夫。

 お正月早々、スペシャルを放送してくれました。

 もちろん録画しましたとも。




 NHKの他の番組みたいに、晴れ着でこそなかったが、一応お正月らしくあのお琴のBGMが流れて、それっぽく始まってましたな。

 いや、違うか。カマキリ先生はあれが正装なんだわ。

 いつも通り、番組冒頭から出力全開のカマキリ先生。

「最近ドはまりしてるものがあるのよ!」

と、レモンの木とみかんの木をチェックしている理由について熱をこめて語りだす。

※ここから話が長くなります というテロップを流すスタッフの温度差もいつも通り。笑

「お正月なのでノーカットでお送りしております」と断っておきながら、1分くらいでアッサリ

「ここでまとめに入ると…」

とばっさり切っていて、これもお約束通りで笑った。




 いや、でも今回は見ているこちらも熱が入った。

 サブタイトル、見ました? 完全変態ですよ。

 そう。蝶こそ完全変態の生態を持つ生き物。

 

完全変態とは

 卵➝幼虫➝蛹➝成虫と、ライフステージによって全くその姿を変えながら成長していく生態

 

 これがいかに凄いことかについては、私は以前も熱をこめて記事を書いた。

 

ktdmtokttn.hatenablog.com



「これは奇跡ですよ。どれだけ凄いことか」

と、カマキリ先生が熱弁を奮う気持ちはよく分かる。

 これはもう、全くもって仰る通り。

 もう一度書くけど、蛹になって、その中で「一度全身をドロドロに溶かして再構成する」んですよ?

 芋虫が美しい羽の生えた蝶に生まれ変わるんですよ??

 凄すぎん……??(震)



 幼虫の姿から蛹になるとき、身体の中の水分を全部出すんですね。水分が残ってると、蛹になったとき腐っちゃうんだって。

 最初は柔らかかった蛹が、徐々に硬くなって、殻になる。

 そのまま、冬の寒さを数か月耐え忍んで、じっと春を待つ。




 子供の頃、蝶の幼虫を捕まえてきて、かごで飼ったことが何度かあるから知ってるけど、あれ、ちゃんと羽化して飛べる蝶になるの、難しいんですよ。

 まあまあな確率で失敗するんだ。孵っても、羽が伸びきらなくて対称にならず、飛べなかったり、触覚が奇形だったり。

 別の虫に卵を産み付けられて寄生されてしまったり。

 それこそ、水分が残っていて、腐ってしまう個体も少なからずあるだろう。




 生き物の生存戦略としては、決して効率がいいとは言えない。

 けれど、その中で生き残った個体が子孫を残して、今まで命を繋いできたのだと思うと、それだけでなんかもう、

「……ぐだぐだちっちゃいことで悩むの、やめよう!」

てなる。

 この番組、サブタイトルが

「人間よ、昆虫に学べ!」

なんだけど、ホントその通りだと思う。




 もう、アレですね。私はかなり、カマキリ先生寄りの視点で見ちゃってますね。

 気を抜くとすぐ脱線するカマキリ先生、バッサリ切られた映像がてんこもりあるだろうと思っていたが、今回はその未公開場面も見られて楽しかった。

 ルリボシカミキリの回でタマムシ見つけちゃった先生が大興奮でタマムシに没頭しちゃうくだり、わかるわー。

 だってタマムシだよ?

 タマムシこそ奇跡の虫じゃない?? 何をどうやったら、あんな七色に光る生き物が生まれるんだろう。

 うーん、うーん、ホント、昆虫見てると、(命ってなんだろう)とか、(進化ってどうなってるんだろう)とか、そういうことを考えさせられる。




 虫好きのまま大人になった人間としては、昆虫マニアの中でもド変態を極めた香川照之が、こうして昆虫の番組を担当していることが非常に心強く感じる。

 しかも今年は「完全変態の凄さを伝えていく」ときた。

「蝶推しで行く!」ですってよ。素晴らしい。

 多分、カマキリ先生のことだから、途中でどうせタガメとかカミキリムシとか他の虫に心を奪われて年頭の発言も忘れちゃいそうだけど、番組のディレクターさんには是非、この路線を忘れず、1年貫いていただきたい。




 今も蛹の中で変態中の昆虫がたくさんいるだろう。冬枯れの山で、沼のほとりで、土手の草むらで、静かに寒さに耐えながら、命の灯を燃やしている。ドロドロに溶けた身体をゆっくりと作り替えながら、成虫になって飛び立つ日をじっと待っている。

 それを考えると、手術でちょっとくらい痛いからって、2カ月もすれば治ってしまう傷なんかかすり傷でしかねーな、と思えてくる。




 というわけで、今年は「変態が送る変態に関する変態番組」が爆誕することになりそうだ。

 今年もついていくぜ! カマキリ先生!!

2022年、始まり。

 皆さま、明けましておめでとうございます。
 お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。



 うちは、何分私が手術後の養生中ということもあり、ほとんど家から出ず、ヒキコモリの寝正月でございました。
 寝て起きて、ごはん食べて、空いた時間はずーーっと動画サイトで動画見てた。
 状況が状況だから仕方ないんだけど、
「中高年のヒキコモリが社会問題って言うけど私らのことじゃね?」
と母と二人で笑っちゃうくらい、家にいましたな。
 動画サイト、ヤバいね。見ても見てもまた次のがおすすめに上がってくる。
 沼にハマって出られない。笑



 まあしかし、「明けましておめでとう」と言い合える人がいるありがたさ。
 去年、大変だったことは大変だったけど、それも考えよう一つ。
 事故の怪我は痛かったけど、軽症だったし後遺症もゼロ。
 コロナもしんどかったけど、やっぱり軽症のうちだったし、これまた後遺症はなきに等しい。
 入院手術もね、もちろん大変と言えば大変だ。だけど、切れば治る。再発のリスクもない。後はもう日にち薬で、時間の経過と共に完治する。
 結果オーライで、どれもラッキーだった。



 傷の方もお陰様で、クリスマスの頃と比べたら格段によくなってきた。
 もう、日常の家事なら普通にこなせる。
 年末からぼちぼち料理もしていて、本当はせっかくだからちょっとだけおせちっぽい料理も作りたいと思っていたのだけれど、そこまでは身体の回復が追いつかなかった。
 野菜の飾り切りとか手綱こんにゃくとかね、元気なら何てことない作業だけど、地味に立ちっぱなしの作業なので。。



 おもちは食べたけど、後はほぼ普段どおりの食事。
 こんな程度は作れるようになりました。


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 ・雑穀ご飯(麦多め)
 ・野菜ごろごろ味噌汁
 ・豚肉と玉ねぎのソースソテー
 ・さつまいものダイスサラダ
 ・白菜の柚子びたし
 ・納豆


 栄養をきちんと摂って、身体を元に戻さねばならぬ。
 あ、出来る範囲で筋トレもしております。
 その辺のことはまた改めて。


 それでは、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 2022年も頑張って生きましょう。
 ね。

2021年、終わり。

 こんばんは。いつの間にか大晦日ですね……

 いつにもまして今年は、

「えッ……!? いつの間に……?? ついこないだ8月だったんじゃ…?」

という驚きが拭えませんが、まあまあともかくも、2021年が終わろうとしております。

 

 

 この1年、くどいほどに言ってますが、有体に言って非常に大変な年となりました。

 交通事故にコロナに手術。

 もうこれっきりにしたい。

 

 

 とは言え、何事も、悪いだけのことはないのでして。

 非常時ゆえ、母に田舎から出てきてもらって、入院のときも退院後も世話になってます。そんでそのまま年越しすることになりました。

 コロナ以降、帰省出来なかったので、2年ぶりに会ったんだけど、まさかこんなに濃密に水入らずで過ごすことになるとは夢にも思ってなかった。笑

 ということで、まったりと過ごしております。

 

 うち、ファミリー向けの物件ではあるんだけど、狭い中に親と二人いるので、なかなかこうして文章を書く時間がまとまって取れない。

 ブログの更新は、三が日以降にしたいと思います。

 

 

 こんな過疎ブログですが、読みに来てくださっている皆さま、どうもありがとうございました。

 皆さまにとりまして、今年はどんな年となりましたでしょうか。

 多分、「今年は大変だった……」と首を振っている方も少なくないのではないかとお察し申し上げます。

 

 

 毎年、年越しの際には、

「来年こそは…!」

と望みをつなぎたくなる。

 そうそう人間の願い通りにいきやせんのだけれども、それでも、コロナ出現以降、もうずっと我慢我慢の日が続いている。

 来年こそは、特にめでたくなくてもいいから、平凡で穏やかな、「ごく普通の」日々を送れるようになるといいな。

 

 

 ということで、今年も一年、お世話になりました。

 皆々様におかれましても、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

祝!チェリまほ映画化決定&座長主演映画来春公開♫

 さて、退院の前後、色々と悲しいニュースだったり、衝撃的なニュースだったり、世の中の動きに心を揺らされつつも、嬉しいお知らせもありました。




 その一つがもちろんこれ!!

 

 チェリまほ映画化決定&来春公開

 おめでとうございます…!!

 

 




 コミックはその後もずっと続いていて、各SNSでフォローして追跡しています。

 多分二重に課金しちゃってるのもあるけどいいの。それくらい豊田先生に還元されるのなら全然惜しくない。

 そっかー、安達と黒澤の「その後」をスクリーンで観れるのかー。しみじみ嬉しい。

 柘植と湊の「その後」も楽しみ。




 チェリまほと言えば、来春早々にテレビ東京で再放送してくれるのも嬉しいニュースであった。

 そう、私はずーーーっと再放送のお知らせを待っていた。ようやく……!(涙)

 あ、各動画サイトで配信も始まりましたね。オッホッホ。

 それももちろん見るけど、録画もするよ!

 

 

 そしてもう一つ。

 

 田中圭が『女子高生に殺されたい』主演決定

 

www.youtube.com



 いい。これは期待できる。

 私は原作未読だけど、主人公はクズみとサイコパスの特性を持ち合わせているみたいだし、となれば座長の十八番。

 いいねいいね。「普通の人に見えて実は闇と狂気を秘めている」役者・田中圭の顔を、私はずっと見たかった。

 これまたスクリーンで観られるのね。

 絶対に観る…!




 両方、2022年4月に公開予定とな。

 そのころには私の傷も癒え、万全の体調を取り戻しているであろう。

 2021年は苦難の連続であったが、厄は全て落としたと信じたい。

 来年、暖かな春の風と共に、この2本にお目見えするのが今から楽しみです。

巨大子宮筋腫全摘手術&入院レポ②痛み

 腹痛で内科に駆け込んだ後、子宮筋腫のことを「忘れていた」と書いたけど、正確に言うと「それどころじゃなかった」です。

 2021年は、年明けて間もなく交通事故に遭った。その怪我が完治するのに1カ月半、普通の生活に戻るのに2カ月かかったかな。

 と思ったらコロナに罹った。これまた、元の生活を取り戻すのに2カ月近くかかってる。

 なんかもう忙しかったんですよねー。ホンマにー。




 異変を感じたのは夏。

 お腹に、変な痛みがあるな…?と時々思っていた。けど、(あ、痛…)と思ってからしばらくするとおさまるので、

(……気のせいか?)

くらいで済んでいた。

 ところがある日、はっきりと痛みを感じた。仕事帰りの電車の中。

(あれ、痛い……なんかすごく痛いぞ…?)

 痛いのが子宮の辺りというのは分かっていた。じゃあ生理痛みたいな痛みなのかと言えば、そうではない。内側ではなく、外側の痛み。

 痛みの説明は難しい。感じ方は人それぞれなのと、多分誰であれ、自分が経験した痛みしか想像も理解も出来ないからだ。

 子宮の外側の、しかも下側が痛かった。何の痛みかは分からない。ともかく、ギリギリギリ……と、ペンチか何かではさまれてぎゅうっと捩じられてでもいるような、ただごとでない痛みだった。

 自宅まで何とか帰りついたけど、冷や汗が出るほどの痛みが続き、

(これはもしかしたら救急車を呼ぶことになるかも…)

と危ぶまれるレベルだった。

 ロキソニンを飲んで、なんとかそれはおさまったんだけど、翌朝起きてからも痛かったので、仕事は休んで病院へ行くことにした。

 

 

 さてここからが、実はあまり覚えていない……というと語弊があるけども、仕事の合間にバタバタと病院に行ってるのと、多分(この先どうなるんだろう)という不安もあって、「思い出したくない出来事」に分類されているのだと思う。

 詳しく思い出そうとすると、抵抗感がある。

 クリニックに行って、受診して、別の病院を紹介されて…と色々ややこしかったんだけれども、そこを全部なぞっても特に面白いこともないので、割愛する。




 まあともかく、

「手術した方がいいでしょうね」

という診断になったわけだ。

 というか、

「手術しかないでしょうね」

という結論だった。




 子宮筋腫の手術には、いくつか種類がある。

 私の場合、大きさもかなり大きかったのと、これから先子宮を温存したいという願望もなかったので、全摘手術で異論はなかった。

 ただ、そうなると、しばらく入院が必要になる。

 こんなご時勢でなければ、実家に帰って地元の病院に入院しようと思っていた。ところが今はコロナのせいで、紹介状を貰えたとしても、実家とこちらを往復するのもはばかられる。

 ではこちらの病院で…となったとしても、高齢の親にわざわざ出てきてもらうには気がひけた。負担が大きいし、その頃はまだまだコロナの感染がおさまっていなかったからだ。

「1人暮らしの人で、入院して手術を受ける人もいると思うんですが…」

ということは、いくつかかかった病院で、都度相談してみた。

「ああ、いますよ。同意書は必要ですが、郵送でも構わないでしょう。今どき、そんな人たくさんいらっしゃいますから」

という意見もあれば、

「いえ、やはり全身麻酔の手術となれば、ご家族には必ず来ていただかないと…」

という意見もあった。

 最終的に、入院することになった病院が、やはり

「ご家族に来てもらってください」

という方針で、母に来てもらうこととなった。



 この辺、どうなんですかね。私は今回、幸いというか、親に来てもらえたけど、そうはいかない事情の人もたくさんいるだろうと思う。

 頼める家族・親族がいない場合、身元保証を請け負う企業があることも知っているけど、いずれはそういうところにお世話になるんだろうか。

 



 最初の受診から、手術の日程が決まるまでしばらくかかった。

 その間も痛みは続いているので、痛み止めを処方してもらっていた。

 処方薬は「ボルダレン」。薬局ではジェネリック薬を選んで、「ジクロフェナク」という薬を購入。

「最大、1日3回まで飲んでいいです」

と言われて飲んでいたのだが、これは痛み止めとしては一番強い薬だそうで。

 あとから罹った病院で、この薬を毎日3錠飲んでいると言ったら驚かれたくらいだ。




 子宮筋腫は良性の腫瘍で、無症状であることも多い。

子宮筋腫 症状」で検索すると、そのような記述が多くヒットするはずだ。

 だが、私のように、激痛に見舞われるケースもある。

 ロキソニンも効かない痛みに襲われて初めて、

(あ、やっぱり『病気』なんだな…)

という認識が生まれたのだった。

巨大子宮筋腫全摘手術&入院レポ①最初の症状

 30代40代の女性の中で、子宮筋腫持ちの人はそう珍しくはない。

 婦人科系の病気の中では、多分一番ポピュラーな病気なのではなかろうか。

 こないだNHKでやってたけど、現代女性は100年前と比べて、婦人科の病気がめちゃめちゃ多いんですってね。

 昔の女性は、16歳くらいから適齢期で、相手を見つけて嫁にいき、20歳ともなれば二人の子持ちなんてザラだった。

 そこからさらに3人4人と子供を産むのも珍しくないわけで、妊娠中も授乳中も生理は止まっているから、生涯で生理がくる回数は50回とか60回とか、そんなもんらしい。

 それが今では、未婚独身で生涯子供を産まない私のような人も多いし、結婚したとしても晩婚化で、30歳過ぎて結婚、子供を産んでも1人か2人で…となると、生涯における生理の回数はなんと400回を超える。

 私も計算してみたことある。450回くらいは生理が来る勘定になって、げんなりしたものだった。

 生き物としての人間の身体は、本来、そんなに生理が来ることを想定して作られていないらしい。…という表現が正しいかどうかは分からないけど、番組を見ての私の感想はそうだった。

 本来の機能を果たさないまま、毎月毎月月経を繰り返すうち、子宮のトラブルが起こりやすくなるんだそうな。



 上記の内容はうろ覚えで書いております。

 詳しく知りたい方はNHKの公式サイトをご確認ください。

 

www.youtube.com

 

 

 筋腫があることは知っていたけど、他には特に症状もなかったので、そのままにしていた。

 筋腫によるトラブルに初めて見舞われたのは……あれ、いつだっけな。えーと、確かコロナの前の12月だ。

 出勤中、電車の中で急にお腹が痛くなってきた。さっきまで何ともなかったのに、ぐぐっと差し込んで、どんどん痛みが強くなる。

(あれ、何だろ? 冷えたのかな?)

と思いながら、職場には辿り着いた。辿り着いたけど、お腹の差し込みは引かず、床にうずくまってしまった。

 むかむかして気持ち悪い。冷や汗が出て止まらない。

「こりゃダメだ。医者に行ってきて」

ということで、急遽近所の内科を探して駆け込む羽目になった。




「便秘ですね」

 と言われた。

「え?」

「便秘。今日、出ました?」

「……いえ…」

「昨日は?」

 そう言えば出てないけども。

「べ…便秘ですか?」

「そう。これ見て」

 年配の男性ドクターは、レントゲンの画像を示しながら、

「ココ、これね。ぜーんぶ便。それがホラ、この一か所で詰まっとるやろ」

「はぁ……」

 自分の腸内のウ〇コを見せられながら解説を聞くというのは、何とも言えず気まずいというか、恥ずかしいんだけど、それが原因なんだから仕方ない。

「ここ、アレでしょ。子宮筋腫かなんかじゃない」

「あ、そうです」

「これねぇ、かなり大きいよ。ここまで大きいんだったらもう切った方がいい」

「はあ……」

「ま、それはまた婦人科のかかりつけのお医者さんに言って聞いてください」

 そのときは、整腸剤とか色々、ともかく便秘の解消のための薬を処方してもらって帰ったのだった。




 職場の上司に、実はこれこれで……と報告し、筋腫を切るように言われたことも話した。

「そう……だからと言って、ハイそうですか、と切れるもんでもないしねぇ……」

「そうなんですよね」

 そう、そのときは本当に、他に困った症状はなかったのだ。日常的に便秘に苦しめられていたかというとそんなこともなかったし。

 若い時には随分重かった生理も、30を過ぎてから嘘のように落ち着いて、PMSもなければ、始まってからも大した痛みもなくなった。きちんと来るし、何のトラブルも感じていなかった。

 その状態で、

「筋腫が大きくて便秘になりやすいから手術して切りましょう」

と言われて、

「ハイ、切ります!」

と思える人がどれだけいるのだろうか。

 少なくとも、私は思えなかった。

 私が決意したのは、

(筋腫がお腹を圧迫しているのは分かったから、気をつけて腸内環境をよくしておこう)

ということだった。

 折から「腸活」ブームが来たのもある。繊維質を摂り、水分をこまめに取り、炭水化物も適宜取り、タンパク質は摂るけど質と量に気をつける。乳酸菌のサプリも欠かさず飲むようになった。

 一応、かかりつけの婦人科クリニックにも行って診てもらった。

「確かに、普通は切るのをお勧めする大きさですが、他に自覚症状がないのと、年齢的に閉経が近いかもしれないので、もうしばらく様子を見てもいいかもしれませんね」

 という診断だった。

「筋腫を小さくしてくれるかもしれない漢方のお薬があるので、それを試しますか?」

「あ、お願いします」

ということで、漢方薬を飲むことになった。




 そこから、腸活の努力が奏功したというか、「出なくて困る」ことはほとんどなかった。

 それから間もなくして生理が来なくなった。

(よっしゃ! 逃げ切った!)

と思ったのはこの時。

 お腹にしこり感はあれど、それだけのことで、毎日元気に過ごすことが出来ていたのと、

「閉経すれば筋腫は小さくなる」

と信じていたので、それほど思い煩わず、筋腫のことは忘れて生きていた。




 ところが、そうは問屋が卸さなかったのだった。



 続く!