先日「スキマの沼」というタイトルで記事を書いた。
それからものの数日。見事にハマりました。
Revivalじゃないんだ。スキマスイッチの名曲「奏」の方。
「ハマった」とは、好きが嵩じて「んもうめっちゃ好き!」になることを指して使われる形容だと思うけども、「好きになる」と「ハマる」は明確に違う。少なくとも私の場合。
今「奏」にハマってどういう現象が起きているかと言うと、
・1回聴く→すぐにリピート→延々と続ける
・聴いていないときは脳内で歌が鳴っている
・聴いていないと耳が寂しい→状況の許す限り聴いてる
と、こうなる。「好き」より「中毒」と言った方が近い。
摂取していないと手が震える勢い。
「聴く」というよりは「入れる」感じ。歌を構成する言葉も音も隅々まで全部自分の中に取り込んで、血肉にする、みたいな感覚。
何もなくても頭の中で曲が完璧に再生出来るくらいになるまで聴き込む。
そうしないと気が済まなくなる。
ハマるきっかけはイントロかなあ。メロディラインと通奏低音とが、違う方向に向かっていくんだけど、間の一瞬の不協和音が解決して、落ち着いてから歌が始まる。これが実に心地よい。
そして先日も触れた大橋卓也の伸びやかな歌声。この声、独特ですよね。聴いているうちに癖になってしまった。簡単に歌えそうで、普通だと出来そうにない発声。
歌詞も好き。歌詞を読んで、情景が浮かんでくるというか、物語になっている方が私は好きだ。中島みゆき系と言おうか。
奏は、切ないんだけど、温かくて、じんわりと心にしみる。
言葉をメロディに乗せるリズムもしっくりくる。日本語のリズムをちょっとはずしてメロディに乗せるタイプの歌は、聴いていて面白いけど、歌いにくい。米津先生はこっちだな。
スキマスイッチはその点、素直に歌える。広く愛される歌って、やっぱり歌いやすいことも重要だと思うの。
歌の沼もなかなか深いんだ。一度足を取られると、ずぶずぶそのアーティストの沼にはまり込んでいって、抜け出せなくなる。
人生で一番衝撃的だったのはUVERworldの「激動」。友達が持ってきたDVDを見て、全然知らないグループだったけど
「え、ちょっとカッコいいんだけど。も、もっかい見ていい?」
てなって、2回目見て、
「え、もう1回見ていい?」
てなって、その場にいた全員が心を鷲掴みにされたという稀有な体験であった。
その先どうなったかと言うと、「激動」のシングルを買って、「激動」が収録されたアルバムを買って、デビュー当時まで遡って手に入るCDはほぼ網羅、全曲ウォークマンに入れて朝から晩まで時間の許す限りずーっと聴いていた。その生活が、えーと……1年以上は続いたな。「激動」はだから、多分1000回をくだらないと思う。聴いた回数。
UVERworldは5人グループだったので(今は6人)、まるっと箱押しになって、ライブも行くようになりましたとも。ぼっち参戦? 全然平気。
ロックバンドのライブに行く楽しさはUVERで知ったな。
その次はフジファブリック。これも、親しい人のおすすめだった。
「若者のすべて」という有名な曲で、知っている人も多いだろう。
私は当時書店の雑誌担当だったので、フジファブリックの名前も知っていたし、ボーカルの志村正彦が急逝したというニュースも知っていた。ファンが多そうだったので、追悼のポップも作った。
決して歌がうまい歌い手ではないんだけど、志村の声と歌い方は心に刺さって、いつの間にかすっかり私の中に入り込んでいた。
後追いでフジの歴史を追いかけて、亡くなって半年後、その死を悼んで号泣する羽目になったのだった。
今でも志村がいないのは悲しいけど、数々の名曲を残してくれたのは感謝しかない。
歌の才能を愛でて神様がそばに召したのだと、半分本気で思っている。
さあ、そしてスキマスイッチですよ。
もうおおよそ、この後どうなるかは見当がつく。どうせアルバムを買うことになるだろう。全曲アイフォンに入れてハードリピートするようになるだろうな。
いやもう正直、おっさんずラブだけで財布の中身がかなりアレなので、今更別の沼とか勘弁して欲しいんだけど、足を踏み入れてしまったものは仕方ない。
ひとつのものを深く愛するようになると、こうして派生的にどんどん好きなものが増えていく。
嬉しいけど時間がない。時間がないけど「好き」が増えて心が潤う。
出逢ってしまったからには、全力で愛そうと思います。
でもとりあえず試験終わってからね。笑