おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

きのう何食べた? 

 今季、もっとも楽しみにしていたのがこのドラマ。

きのう何食べた?

 よしながふみの原作コミック好きで、よく読んでいたからだ。

 ドラマ化の話は随分前から聞いていたような気がする。なんとなく、本当になんとなくだけど、このドラマはうまくいくんじゃないかなーと思っていた。

 多分、制作サイドの本気を感じ取っていたからだと思う。

 

 期待は違わなかった。

 面白いですね!

 もうさ、なんと言っても、ケンジがケンジなんですよ。キャスティングした人天才。

 ゲイであることを隠さない美容師ケンちゃんの、なんというか、絶妙な「それっぽさ」を、内野聖陽が見事に体現している。

 おネエじゃないんだよね。オカマっぽいわけでもない。男性なんだけど、どこかフェミニンな感じ。その匙加減がうまい。テレビ見てると、「わあー、ケンちゃん!」と唸らされる。

 シロさんが西島秀俊と分かったときには、んー、シロさんて見た目はもうちょっとクールビューティな感じかな?と私は思った。違和感とか、キャスティングに物申すとかではなく、あくまで私の中ではの話。西島さんて目が二重でくりっと可愛くて、どっちかと言うと仔犬系じゃん?

 いやでもこれが、シロさんの中身が外見に滲み出る、これまた見事なキャラ造形となっていた。ドライなようでそうでもなく、本人が思っている以上に人情に弱いし、仕事は出来るけど意外と要領が悪い。見た目とは逆に、ケンジよりシロさんの方が不器用で、人間関係においては結構失敗もやらかす。…という、愛すべきシロさんを、西島秀俊が好演している。

 

 主役はこのゲイカップルなんだけど、これはBLではない。恋愛ドラマでもない。

 ホームドラマなんですよね。

 出だしのテーマミュージックを聴いて、あーこの作り手はこの作品の肝をよく分かってるなー、と感心した。

 シロさんは弁護士という職業柄、そして隠れゲイという身分(?)からしても、身辺で色々とちょっとした事件が起こる。でもそれはお話のメインではない。

 いろーんなことがあっても、シロさんは定時に上がり、毎日ごはんを作る。そしてそれをケンジと食べる。極言すれば、それだけのドラマだ。

 でもそれがいいんですよ。

 それだからこそ癒される。

 

 よしながふみ作品には、美味しそうな料理が非常にしばしば登場する。作者本人が食べることが大好きで、美味しい店を発掘するのに情熱を傾けてもいるようだし(『愛がなくても食ってゆけます』他参照のこと)、このコミックでも紹介されているように、料理すること自体を愛している人種のようだ。

きのう何食べた?」でシロさんが料理するシーン、私はとても好きなんだけど、読んでるとホント、料理に対するスタンスが自分と重なるんですよね。

 

 毎日料理をする人は、仕事帰りにスーパーで食材を選んでいるとき、同時にたくさんのことを考える。

 安くて新鮮かどうか。となると自然と旬のものを選ぶし、食卓に季節感も欲しい。

 動物タンパク、植物タンパク、葉物野菜、根菜、海藻、その他栄養のバランス。デザートに果物をつけるかどうか。

 ごはんと汁物、メイン、副菜の味と彩り。

 お弁当があるなら、弁当のおかずになりやすいものをチョイスするし、たくさん作って冷凍できるかどうかも考慮しなければならない。

 そしてもちろん、一緒に食べる人が好きな食べ物かどうかだ。

 

 料理が好きな人間は、こういうことを考えること自体が好きで、苦にならない人だと思う。

 一度献立を決めると、あとは出来るだけ時間と手間を節約するために、段取りと手順も考えなければならない。

 私もルームシェア時代はこの作業を何年も毎日続けて、全然苦じゃなかった。

 1時間くらいで一汁三菜か四菜か作って、同居人が帰宅する直前にご飯が炊きあがったりすると、(よっしゃあ!!)と非常な達成感が味わえたものだ。

 シロさんの料理仲間カヨコさんが言う通り、「その日のストレスがリセットされる」感じもある。

 で、タイミングよく帰ってきた同居人が、私の作った料理を

「美味し~」

と食べてくれると、それだけで心が満たされたものです。

 

 私は、人間の生活において、「食事」が占める重要性はとても高いと思っている。

 人は食べたもので出来ている。きちんと栄養が摂れているか、不摂生を続けているかは、外見にもそれとなく反映されていることが多いような気がする。

 そして、好き嫌いとか、三食きちんと食べるかどうか、食卓でのマナー等々、食に対するスタンスが合うか合わないかは、一緒に暮らせるかどうかのキーポイントだとも思っている。

 シロさんとこは、シロさんのこだわりにケンちゃんが柔軟に合わせられる人だったからうまくいったんだと思う。

「まったく好みのタイプではない」ケンジとシロさんが、3年一緒に暮らしているのは、こうして2人で囲む食卓が楽しいからだという理由も大きいはず。

 

おっさんずラブ」もその辺の事情はまったく同じでしたね。

 春牧と、シロさんとケンちゃん、そしてかつての我が家、共通していることは、「作る人」と「食べる人」の役割分担が決まっていることと、「食べる人」がこだわりなく(好き嫌いはあるにせよ)、出された料理を喜んで食べること、だな。

 

 同じテーブルで、同じ料理を美味しいと言いながら食べる食卓が毎日あれば、家庭は平和だと言えると思います。

 

 各話のエピソードや料理そのものにも触れたいところだけど、ぼーっとしているうちにもう4話まで進んでしまった。笑

 それはまた項を改めて書くことと致しましょう。気が向いたら。

 

 シロさんとケンちゃん、単体でもそれぞれ可愛いのに、2人揃うとホントにキュート。超癒される。

 毎週、この可愛いゲイカップルのお話に癒されております。

 西島さんのスケジュールが空くのをじっと待ったテレ東さん、ありがとう!!!