おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

映画「君に届け」感想

 「おっさんずラブ」はコメディであると同時に正統派ラブストーリーでもあって、そこにハマってドえらい長いド変態感想ブログをこうして続けている私だけど、普段恋愛ものを好んで鑑賞するかと言えば、答えは「否」一択になる。

 映画の録画ストックは「オーシャンズ11」「探偵はBARにいる」「レッド・オクトーバーを追え!」「シン・ゴジラ」と、見事に恋愛「以外」ばかり。後はジブリ

 200冊ばかりのささやかな蔵書も、並んでいるのはクリスティ・クイーン・ドイルの海外推理ものや、池波正太郎の時代小説や、松本清張の歴史もの、比較的最近の作家だと東野圭吾伊坂幸太郎。後はエッセイが多いかな。まあともかくも本当に恋愛「以外」。

 がしかし、恋愛ものが嫌いなわけではなく、「イタズラなkiss」をずーっと持っていたりする。

 よく出来たお話なら、コテコテ・ベタベタな恋愛ものでもなんでもどんと来い、だ。



 というわけで、表題。

君に届け」、原作コミックも好きです。実写映画も好き。よく出来てると思う。

 可愛くて爽やかな、青春恋愛映画。

 久しぶりに地上波でやったので、録画して見てみたけど、「やっぱり好きだなあ…」と感慨を新たにしたことでした。




 まあでもこれ、三浦春馬ありきの映画だよね。三浦春馬をちょっとでも好きな人なら、公開当初漏れなく観に行っているだろうね。

 主人公・爽子のセリフに、彼が演じた風早翔太を指して

「爽やかから出来ている人なんじゃないかと…」

というのがあるけど、まさに言い得て妙。

 爽やか成分120%、「爽やか」が制服を着て歩けば三浦風早になるんじゃないかと思うくらい、非の打ちどころのないキラキライケメン。

  ヒットした王道少女漫画の実写化でヒロインの相手役を張るに相応しい容姿と技量の持ち主と言えよう。

 リアルなら「かぜはや」という苗字はちょっと呼びにくいので、もっとライトなニックネームがつくんじゃないかな…とは思うけど、それはまあ些末な話。



   ヒロイン爽子を演じた多部未華子ちゃん。この人、容姿に関してああだこうだ言う向きもあるけど、私は可愛くて実力もある、いい女優だと思う。前から好きな女優さん。

 この爽子、匙加減が難しいキャラなんじゃないかと、素人ながら感じる。

 女子高生に「貞子」のニックネームがついてるって、まあまあキツイと思うんだけど、人と話すときに上目遣いの三白眼になってしまう爽子を見ると、

「あ、まあ、これは確かに……」

とビビってしまう同級生の気持ちも分かってしまう。けど、一方で(シャイで緊張してるんだな)と爽子側の事情もなんとなく見てとれる。

 肝試しの罰ゲームに「貞子と1週間付き合える権利」を設定するあたりも、なんというかイジメギリギリなんだけど、爽子のコミュ障ぶりが度を過ぎているので、

「おバカな盛りの男子高校生なら仕方ないか」

と看過出来るレベル。

「それほど美人というわけではない、普通の範疇の女の子が、クラスあるいは学年(時には全校)で有名なハイスペックイケメンを射止める」

というのが、古今東西あらゆる少女漫画が描いてきた永遠のド定番路線だけど、その「普通の女の子」がハイスペックイケメンに好かれるのも道理だ、と鑑賞者に納得させなければならないし、なおかつ、物語の主人公として共感と好感を得なければならない。

 その点でも、真面目で素直、周りの人のためになることをしようと「一日一善」をモットーに毎日を過ごす爽子、見ていてハラハラするくらい不器用で、でも天然で可愛らしい。これらの条件を難なくクリアして、初々しい爽子を演じてくれた多部未華子、やっぱりすげー実力派女優だわ……と唸らされるが、見ている間はそんなことは考えず、

「爽子、がんばれ…!」

と駆け寄って背中を押してあげたい気持ちで応援してました。

 

 

 まあでも、罰ゲームのくだりで、悪ふざけで囃し立てるクラスメイトを前に、真正面から

「やめろよ! 黒沼に失礼すぎるだろ」

「なんだよ…単なるジョークじゃん」

「笑えないんだよ。黒沼は女の子なんだぞ」

と制止するあたりは、イケメン無双だよな…と思わされましたけどもね。

 他にもちょいちょい、ただしイケメンに限る という注意書きが脳裏をよぎる場面があって、二次元と違って三次元はやっぱ強いな、と感じました。



 恋愛だけじゃなくて、友情もちゃんと描かれているのがいい。

 爽子と仲良くなる千鶴もあかねもキャラが立ってていいんだけど、あかねを演じた夏菜が印象的だった。

(あれ、すごく知っているはずの顔なのに誰だか思い出せない…)

てなって、(あっ、夏菜か!)と気づくまで時間がかかった。メイクの力もあるけれども、抑えた声音でクールなあかねを演じた夏菜の演技力の賜物でしょう。

 直情径行型の千鶴を演じた蓮佛美沙子もよかったです。

 この3人の友情がね、泣けるんですよ。。。ピュアホワイトでさ……

 なんかさ、お互いを思いやって、二心(ふたごころ)がない無私の友情って、いいよね…!と、遠い目になってしまうのは、高校時代がとんと昔になってしまったBBAの感慨というものだろうか。




 学年の人気者風早くんなので、当然ライバルがいて、当然美少女なわけだ。テキはなかなか頭も回るタイプで、爽子を応援している身からすると(んまー、姦計をめぐらしちゃって、猪口才な…!)と憎たらしくなるんだけど、そこはそれ、腐っても「君に届け」。ライバルの胡桃ちゃんも全然可愛いのだった。だって桐谷美玲だもん。あの顔と口調で

「爽子ちゃんなんか大っ嫌い…!」

て言ったって、あーハイハイ可愛い可愛い、ですよ。

 で、結局根はいい子で、最後は爽子の後押しをしちゃったりするんですよ。

 いいねいいねー。悪いキャラが出てこない優しい世界。

 メインのキャラの中で唯一の大人であるはずのピンは、高校教師の分際で「貞子の呪」の噂を真に受けるわ、生徒手帳を失くすわ、しかも謝らないわで、相当ウザいんだけど、まあ最後ピンもキューピッド的な役割を果たすからいいとしよう。

 井浦新(超好き)だし。



 ヒットした少女漫画の学園ラブストーリー、一定の集客が見込めるからか、1年のうち雨後の筍のごとくモリモリ実写化されるけど、多すぎてどれがどれか分かんないし、印象にも残らない。(出てる俳優大体似通ってるし)

 その中で、この「君に届け」はなかなか成功している作品だと思う。

 私は好きです。



 浮き世で汚れてしまった心を洗い流したい大人にはおススメ。