おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

いいね!光源氏くん

 今、ドラマも大変ですね。撮影中止で放送開始が延期になったドラマばかり。

 そんな中、NHKの「いいね!光源氏くん」は撮影が間に合ってたみたいで、順調に回を重ねている。

 今季一番の癒しかも。



 普通のOLの部屋にある日突然若い男が転がり込んできて、なんだかんだで居候……という設定はまあ、よく聞きますよね。「きみはペット」とかね。

 しかし本作ではそれが衣冠束帯姿の平安貴族。ビジュアルだけはよいが、驚くときゃあと叫んでよよと崩折れるし、何しろお貴族さまだから、何ひとつ自分で出来るわけでもない。

 こんな男、家に置いといて癒されるか…?とツッコミたくなるが、そこはそれ、千葉雄大ですからね。

 もー千葉くんの顔面、強いわー。成瀬みたいな自己中の中二病キャラでも、光源氏みたいな役立たずのブルジョワでも、

「んーでもその顔ならしゃーないか…」

てなる。

 伊藤紗莉ちゃん演じる沙織も、ツッコミながらもほだされて、なんかイイ感じになってる。




 平安貴族だから現代とは価値観も違う。あの烏帽子は絶対のマストアイテムなのだな。空色のジャージを着てソファでくつろぐ光くん、頭の烏帽子は外さない。絵面がカオス。

 先週は頭中将(桐山漣)まで現れて、カオス度がさらに増した。

 待ち合わせにやはり烏帽子装着で赴いて、通りがかりの子供に

「ママ―! おじゃる丸!」

と指さされても意に介さない。東京の街でものごっつい目立っているけど、さすが貴族。メンタル強い。下賤な下々の野次など柳に風。

 いつの間にかハワイに飛ばされていた(なぜ…)光くんと無事再会できたことを喜ぶ中将くん。

 イケメン2人が揃っている様は眼福ではあるが、

「息災であられたか?」

「久方ぶりであったの」

「それにつけてもお主の歌は相変わらず素晴らしい!」

「そなたの歌も真に迫るものがあったぞ!」

 ノンキにお互いの歌を褒め合い、何かにつけて手の甲で口元を隠し、

「オホホホホ……」

「ノホホホホ……」

 と雅に笑い合う様子はやっぱりカオス。



 まあ確かにね、平安貴族が現代にやってきたら、和歌はインスタに投稿するだろうし、若い女の歓心を買うために「映え」る写真も載せるだろう。ツイッターとかフェイスブックとか、SNSを駆使して自分アピールに努めるだろうな。

 という、「もしも〇〇が~~だったら」という妄想をまんまドラマにしてみました、みたいな本作。

 ムツカシイことは考えず、ゆる~っと見て笑うのにはもってこいだ。




 ちなみに本物の「源氏物語」は、光源氏という主人公がクズすぎて、共感できるポイントが一かけらもなく、中学校で習った当初からドン引きでした。

 色んな人がおススメしているので、(……そうは言っても何がしか良さがあるのか…)と思い直し、何度かトライしてみましたが、読了出来たことは一度もありません。

 顔面の良さと家柄の良さを楯に、周り中の女という女に手を出して、事が発覚して大ごとになるとメソメソ泣いてさ……泣いてる場合じゃないっつの。親族でもお構いなしかよ。やらないと死ぬの?病気?

 挙句、明るいところで見たらブサイクだったとかさ、知らねーよ。お前が勝手に勘違いして無理くりベッドインに持ち込んだんだろうが。末摘花なんにも悪くないし。

 …と、血圧によくないので、今後も読むことはないと思われます。



 チョコを食べて、初めての美味しさにぱぁぁっ……と背後にバラの花びらが飛び散り、

「濃き~色に~~、しのーびーあまーるるー君が~香を~~、 人ー知らーなくば~~なほーもーいと~ほし~~」

とその甘さを恋になぞらえてお歌を詠む光くんのバックには、篳篥の雅なメロディが流れ、スポポポポポポン!と鼓みたいな音が響いている。

 こっちの光源氏くんは、トンチキで抜けててユーモラスで可愛い。

 平安から令和にやってきた、だけでなく、光くんも中将くんも何しろフィクションの中の人だから、次元も時空も超えちゃっている。

 そこをどう回収するのか、今後もドラマの行く先を楽しみにして視聴したいと思います。