コロナが世界を変えていく
時代が変わろうとしている。いや、今まさに変わっていっている。
日々、刻々と変化が進んでいるのを肌で感じる。
「進んでいる」じゃないな。「驀進している」と言っていい勢いだ。
「コロナ」はこの後、今を象徴する言葉になるだろう。
「コロナ前」と「コロナ後」で時代は区切って語られるようになる。「戦前」「戦後」みたいに。
今のこの時期、人生の大事な節目を迎える順番に当たってしまった世代は、「コロナ世代」と呼ばれることになる。
もう決まってしまった。
多分、誰もそれを望んでいないけれども、誰にもどうにも出来ない。
この、歴史のうねりとも言うべきビッグウェーブ、今まで生きてきて一度だけ経験がある。
ベルリンの壁が崩れた瞬間だ。
あのニュース映像を見るまでは、世界は東と西とに分かれていて、冷戦は半永久的に続くのだと思っていた。だって歴史の時間にそう習ったし、ものごころついてから目にする色んな娯楽作品が、その価値観を下敷きに作られていたからだ。昔の「スパイ大作戦」、大好きなんだけど、後から見ると結構政治色が強くてビックリする。身体のどこかに「腐」印がある大人なら皆知っている「エロイカより愛をこめて」もそうでしたな。
それが、一夜にして瓦解した。
そのときの私は15歳。この年齢で、東西冷戦の終結を目撃した意味は大きい。
資本主義と共産主義の、ヨーロッパを舞台としたオセロゲームがぱたぱたぱた…と目を変えていき、大国ソビエト連邦の名前が世界地図から消え、一時的な祝祭ムードと、一転蜂の巣をつついたような混乱とが交互に襲ってきて、何もかもすっかり変わってしまった後で、あの冷戦状態が支えてきた世界のパワーバランスが崩れたことを知った。
歴史が変わるのを、自分が生きて目の当たりにするとは思っていなかったから、その当時は毎日新聞やテレビのニュースを見ながら興奮していたと思う。
とはいえ、やはり海外のことだったんですよ。
日本国内の現象ではなかった。もちろん、日本にも影響が及ぶ動きではあったんだけど、そこまで自分ごととして捉えてはいなかった。
今回はもう、もろに自分ごとだ。
史上初めて「緊急事態宣言」が出され、高度に発達した医療の恩恵を享受して生きていると思っていたのに、数か月経っても新しいウイルスの対処法がよく分からず、季節が冬から春、初夏へ変わろうとしているのに、今もなお、私たちは感染に怯えながら生活することを余儀なくされている。
持病で通院することも躊躇われ、髪が伸びても美容院に行くことを即決出来ない。人込みを避けようがない電車にビクビクしながら乗り、座席に座ることが出来ても、隣に座ってくる人がいればそっと席を立って距離を取る。車両内の誰もがマスクで顔を隠している。
多少の熱があっても出勤すべし!という社畜精神は今や害悪になった。
多くの人がリモートワークになり、リモートに出来ない職種の人は休業を余儀なくされている。職を失った人、失いたくはないが子供のために諦めざるを得ない人、様々だ。
こういうときに私たちを癒してくれるエンタメ業界も、コロナは容赦なく直撃している。
映画もドラマも撮影は出来なくなり、ライブは軒並み中止か延期、バラエティですらスタジオ収録が不可能となった。
体調不良を押して出勤した後コロナ感染が発覚したニュースキャスター、感染が拡大していった時期に撮影された番組、コロナ禍終息後の展望を読み誤って失言した芸人、ともかくコロナに関して「やらかした」人はボコボコに叩かれ炎上する。
みんなイライラしている。
みんな疲れている。
最近になって、よく現実感を失う。
志村さんの件は「うわーマジかー……」と堪えたけど、岡江さんの辺りから、ふと(……夢かな?)と思うようになった。
だって、ついこないだまでテレビに出てたじゃん? ていうか全然若いじゃん?
なんかもう、何もかもウソだったんじゃないかな?
みたいな感覚に襲われることが多くなってきた。
長く続く自粛生活のストレスに、精神が本気で現実逃避を始めているんだと思う。
これから時代は変わっていくとは、もちろん予測していた。
ただ、もう少しゆっくりかと思ってた。いつの間にか遠いところまで行っていて、気づけば年寄りは取り残されている……みたいなことにならないよう、社会の変化に敏感でいないとな、くらいな認識だった。
まさか、たった1つの新種のウィルスのせいで、ここまで暴力的に、私たちの選択の余地もなく、時代が変わる――というか、「引っ繰り返される」瞬間に立ち会うことになろうとは、夢にも思っていなかった。
すみません、今日の記事は、山もオチもなく、現段階での単なる感慨です。
ただ、(あー今時代が変わる)と肌で感じたので、覚えておこうと思って書くことにしたのでした。
何が起こったのか、誰が何を言ったのか、自分がどう感じたのか、出来るだけ記録しておこうと思います。
数年後、十数年後、あるいは数十年後になってから、この時代の変換期を歴史として勉強する子供たちは、何を感じるんだろう。
「コロナのとき私まだ1歳だったんで…」
「あーじゃあ覚えてないかー」
とか、
「えっきみコロナの後に生まれたの? そんで就職? 歳取るわけだわ」
とか、そんな会話が交わされるようになるんだろうな。
皆さん大変な状況の中、こんなクソみたいなブログを覗いてくださってありがとうございます。
皆さんのお陰で、私も孤独感に苛まれることなくSTAY HOMEを実践出来ております。
ここを覗く方がいっとき大変な状況を忘れて、ほっと息をつける場であるよう、これからも注力していく所存でございます。
ここに来てくださる皆さんと、「おっさんずラブ」に携わるすべての人々、及びそれ以外のすべての人々が皆々心身ともに健康で、安寧にお過ごしになりますようお祈りしております。
コロナウイルスを抑え込むために自粛は続けながら、上手に息抜きしましょうね。