シンデレラ誕生
「プロフェッショナル 仕事の流儀」 令和のシンデレラ・ストーリー~ユーチューバー・竹脇まりな~
NHKで密着されてましたね。
見ました。
まりなさんのトレーニング動画、もうすっかり日常に定着していて、最早「最初の動画」を忘れていた。
「たった1本の動画で夢を掴み取った女性がいる」
という冒頭のナレーションで思い出した。
そうそうそう、そうだった。
私も一番最初はこの動画で「竹脇まりな」という人を知ったのだ。
去年のステイホーム期間中は、これまでになくSNSに接近した時間になった。
ツイッターとインスタとYouTubeを見ていれば、大体世の中の流行が分かった。
ハンズクラップというダンス動画が流行り始めたのも知っていて、最初は原本となる動画を探していたんだよね。色んな人が踊っている動画があって、その中で、
これを選んで再生した。
「アラサーが本気で踊ってみた」という、カッコつけてない、気取りのない感じにふっと興味を引かれたんだと思う。
見てみたら、可愛い女の人が、一生懸命躍っていた。
ところどころフリを間違えるのも、テキトーになってぐだぐだになるのも、それをテロップでツッコむのも、かえって新鮮で、面白かった。
見終わる頃には、この人のことをすっかり好きになっていた。
私がチャンネル登録した頃、登録者数が20万人超くらいじゃなかったかな。
それから50万人を超え、あれよあれよという間に巨大チャンネルに成長し、100万人達成の瞬間はライブで見ていた。
おおー、すごーい、おめでとう!!!と、自宅のリビングでパソコンに向かって拍手したのを覚えている。
あの自粛期間以降、「YouTubeを見る」こと自体、すっかり日常のルーティーンに組み込まれた感がある。
今私が登録しているチャンネルが20ちょっとある。
「あなたへのおすすめ」で違う動画がどんどん出てくるから、色んな種類の色んなコンテンツを視聴してきた。
若者がテレビを見なくなり、今や世間の流行はSNSが発信するものが主流になった。
それは、テレビの世界が時代の変化についていけず、裏側の汚い事情がSNSによって暴かれたということもある。
じゃあYouTubeは誰もが自由に発信出来て、嘘も忖度もない、理想の世界なのかと言えば、そんなことはない。
YouTubeの動画のサムネも、「嘘・大げさ・まぎらわしい」で満ちている。
ある程度登録者数を持っているチャンネルが「重大発表」とか「ご報告」と大きな文字でアピールして、何事かと興味を惹くのなんか常態化しているし、「〇〇が△△した結果が意外すぎた」というタイトルのものは98%意外じゃないし、「衝撃の結末」と題して、実際衝撃的なものは0.1%に満たないくらい。あくまで私の体感だけど。
サムネと動画の内容がまったくかけ離れているものもたくさんある。
サムネで期待して見た動画が、「え、違うじゃん」てなったら、その後どうしても「騙された」と感じてしまう。
ていうかまあ、それは「騙し」ですよね。「虚偽」ですよ。ハッキリ言って。
程度にもよるけど、そういうのに引っかかった後は、私はその動画主を信頼しないので、大抵二度と見ない。だけでなく、「このチャンネルをおススメに表示しない」までクリックしておく。無駄な時間を過ごしたくないからだ。
登録しているチャンネルは、そういう「騙し」をしない動画主を選んでいる。
多少煽ったり盛ったりするタイトルが、全然ないとは言わないけど、視聴してきた動画のクォリティで主さんを信頼しているのと、視聴した後に「見てよかった」と満足できるので、そこにモヤモヤは感じない。
まりなさんの動画も、「嘘がない」と感じる。
細かなストレスがないのって、結構凄いことだと思うんですよね。健康系ってどうしても、「教える」目線で作られたものが多い。向こうが先生で、視聴者が生徒という立場ですよね。
だけど、まりなさんはそれをしない。絶対に。
ただただ、カメラの前で踊るだけだ。見た人が真似して出来る動作ばかり。でも、同じようにやろうとするとキツイ。
「きっつー」
てなった時に、同じタイミングで
「キツイ!」
とテロップが入るから、一緒に頑張ってる感を味わえる。
「出来なくてもいいよ!」
とか
「自分を褒めよう!」
とか、いい感じに励ましてくれる。
食事とか、日常生活の動画も、カッコつけないで普段のありのままを撮って出している感じ。
NHKに密着されても、その印象は変わらなかった。
これだけ成功する人って、裏でめちゃくちゃ努力して、エネルギーを注いでいるんだろうなーと思っていたけど、その通りだった。
やっぱりね、世界って人が作っているものだから、結局のところ大事なのって、「信頼関係」に他ならないと思うんですよ。
本もそう。ある書き手を好きになってその人の作品を読もうと思うには、書き手への信頼がなければならない、と私は思う。
書かれている世界は虚構ではあるけれども、作品の中に登場するキャラクター達に血が通っていて、台詞には真実が含まれている。
そこに感動するから読むのだ。
ノンフィクションでもそれは同じで、文章には書いている人の感性や常識や色んなものが滲み出る。
この人面白いな、と思うとき、底には人間性への信頼がある。
かつて、毒物についての本を読んでいて、自然由来のものから化合物まで古今東西色んな「毒」を紹介してくれていて面白かったんだけど、どうも文章の端々に、
「少ない量で一度に大勢を殺せる」
威力を持った毒物を「優秀」と見なしているらしい姿勢が透けて見えて、著者が信用出来なくなったので最後まで読むのをやめてしまったことがある。
(そうか、意識したことなかったけど、本を書く人と読者との間にも信頼関係ってあるんだな)
とそのとき実感した。
テレビというメディアが大衆からそっぽを向かれつつあるのも、信頼出来ないコンテンツということがバレてしまったせいだと思う。
数字=視聴率至上主義で、数字が取れれば何してもいいとか、数字持ってればエライとか、業界の外から見れば「何言ってんだコイツ」でしかない。
「井の中の蛙大海を知らず」という諺がこれほど似合う業界もないような。
世界がコロナ禍に見舞われ、日本中が鬱々としていたとき、まさにドンピシャのタイミングで現れたのが、竹脇まりなという人だったのだ。
ああいう、「時機を掴む」人っているんだよね。いつの時代も。時代に選ばれた、と言ってもいい。
「令和のシンデレラ・ストーリー」というサブタイは正しい。
そして、私もまさしく、シンデレラ誕生をリアルタイムで目撃した1人だったんだな、と思った。
今や登録者数は220万人を超えている。宅トレグッズの通販サイトも始めて、順調なようで何より。
こうなると色々言う輩もいるだろうけど、コバエが飛んでるくらいに流して、ブレずにいっていただきたい。
さてと、今日もYouTubeの動画で筋トレしますよ。
まりなさんの部分別動画、きっついんだマジで。
でも効く。
頑張ろ。