第三話のレビューが終わらねえ……( ゚Д゚)
もうそろそろ巻いていきたい。まだこの後四話も五話もある。早く書きたいシーンが山のようにある。
がしかし、細かいところを「捨てる」ことがなかなか出来ない。
と苦悩しながら、続きのレビュー行きます!
外回りから帰ってきた春田。首から下げていた広告看板を外して、営業部のオフィスに入るなり
「はぁ~あ~」
とわざとらしいため息をついて見せる。わんだほうでちずが言っていた「春田の疲れたアピール」ってこれね!
いたいた、こういうことする男子。小学校のときに。
春田がちょいちょい見せる小5感、座長がやると何とも言えず愛嬌がありますよね。
「はぁ~あ~……」
と言いながら、牧の席の周りをぐるっと回って、チラ見。牧は仕事の作業に追われていて知らん顔。
牧が構ってくれないもんだから、春田、自分から声をかける。
「手伝おうか?」
「大丈夫です」
と牧、即答。なんなら食い気味。笑
「でも手伝ったら半分で終わるじゃん」
という春田の申し出にも、
「いいですいいです」
検討する様子も見せず、秒で断る。
春田をすげなく断りつつ、牧が気にしているのは、向こうの席のあの人。そう、チベットスナギツネに激似の上司のメガネがキラリと光っている。
その様子、ニブちんの春田にも伝わっていて、今度は牧にぐっと身体を近づける。武川主任に聞こえないようにという配慮なんでしょうね。
(なんか武川さんにやらされてるのかな)
(入ったばっかだし、牧一人でやるの大変だぞ絶対)
と、春田は春田なりに、牧を助けたかったんだな。きっと。
ところが、
「やっぱそれ、一人でやるの大変……」
こそっと言ってみた言葉も、
「いいですって!」
強く拒絶されてしまう。
春田もそれ以上口を挟めず、いったん引くものの、
(この2人の関係って一体……)
と、釈然としなさそうだ。
さり気ない場面だけど、私はこの部分が結構好き。
春田の小5感が可愛いのもあるけど、牧視点で考えると、大変興味深い場面になっています。
「はあ~あ~」
というため息は、自分に向けたアピールだと、当然牧は気づいているはずだ。
春田のシナリオとしては多分、
「春田さん、どうしたんですか?」
と牧が聞いてくれたら、
「いやーどうもこうもねえわ。今、部長の奥さんと会ってきたんだけどさ…」
と今しがたの顛末を説明出来て、
「大変でしたね」
と労わってくれるかもしれない。みたいな感じにぼんやり思ってたんじゃないですかね。
そしたら、
「いいよいいよ。それよりお前、大変そうじゃん。手伝うわ」
と先輩らしく返せるし。
そこまでハッキリ計算してなかったとしても、なんとなくギクシャクしてる牧とイイ感じのコミュニケーションを取りたくて、疲れたアピールをしてみたんじゃないかな、と私は解釈しております。
ところが頭の回転が速いツンデレの牧としては、春田の思惑なんかお見通しだ。そしてツンデレなので、向こうが言って欲しい言葉は絶対に言いたくないわけだ。
なので、春田が入ってきた瞬間から、
(あー春田さん帰ってきた。……うわー、なんか俺にアピールしてる。『どうしたんですか』って言って欲しいの見え見えだ……絶対言いたくねえ……)
(つーか、いくつなの? あの人。30過ぎてるはずだよな? あんな小学生みたいな真似して可愛いとか、何なの?)
とまあこんな具合に、牧は牧で春田にイラっとしてたんじゃないかなあ、と推測されるわけです。
「手伝おうか?」
という申し出も、嬉しいんだけども、
(あーあー今こんな武川さんが見てる前でそんなこと言ったらまた絡まれるじゃん…)
てなって、速攻で「大丈夫です」と断らざるを得ない。
ちら、と向こうを窺うと、案の定こちらに視線を向けている。
(やっぱ見てるよ……今春田さんと喋ったらまた何か言ってくるぞあの人…)
と、そっちも気が気でない牧。
「いいですって!」
と断る語気が荒かったのは、状況が全然分かってない春田のノンキさに苛ついたのもあっただろう。
さて、どうもスッキリしない春田、今度は武川主任の方へアプローチを試みる。
棚のファイルを「五十音順じゃないと気持ち悪いんだよな…」とぶつぶつ言いながら整理しているところへ、
「武川さん」
と声をかける。
「なに」
「牧のことなんですけど……なんか、うまくいってないんですかね?」
「ん?」
「いや、最近、辛そうにしてるから…」
ここで武川さんが、得たりとばかりに
「うまくいってないというか、〇〇が分かってないんだよ牧は」
とか
「こういうところが出来てないんだ」
とか、牧が仕事で出来ていないところを春田にこぼせば、武川さんには牧のフォローをしつつ、牧には自分からそっとサポートしてやれる、と、そういう心づもりだったんじゃないでしょうか。
ところが、春田のその台詞、武川さんとしては別の意味で聞き捨てならなかった。
くいっとメガネを直して、
「牧が辛いって言ってるのか…?」
(牧はそんなことを相談するほどお前に心を許しているのかッ…?)
と、今では武川さんのそんな心の声も慮ることが出来てしまいますが(笑)、言われた春田の方は当然、「牧が上司への陰口を言っていた」ということになってはいけない、と、自分のふった台詞のフォローを考えなければならない。
「いやいやッ、そういうわけじゃないんですけど!」
焦ってその疑念を取り消し、
「オレのフォローがよくないのかなあって…」
と、責任を自分の方へ引き付けようとする。
「いや、アイツはよくやってるよ。それよりお前、自分の担当どうなんだよ」
「えっ……あ、…奥様には、失礼のないように対応しています」
「事情は複雑だが大切なお客様には変わりない。いい物件探してやってくれ」
「ハイ」
ここ、会話が成り立っているようで、実はちぐはぐで、お互い腹に思っていることがあるから、今ひとつ噛み合ってないですね。
(なんだ……オレの勘違いか…?)
と大いに首を捻る春田。
うーん、勘違いと言えば勘違いだし、勘違いでないと言えば勘違いでないんだけども、真実が分かるまでには、もう一話先まで待たなければならないのだった。
2人の背面にある棚、上から下までびっしりと並んでいるのはキングジムのファイル。
「おっさんずラブ」連ドラ放映時、各企業アカウントもこのドラマにハマっていて、やり取りしている様子が我々を楽しませてくれたものでした。
シャープさんは外しちゃったけど、キングジムは今でもツイッターをフォローしている。
シャープやタニタ、キングジムやタカラトミーetc、「中の人」たちも大いに「おっさんずラブ」の沼を賑わせてくれていましたね。
シャープの「゜」がなくなった事件とか、中の人たちで旅行に行ったりだとか、ツイッターの楽しみ方の幅が広がったのも「おっさんずラブ」が切っ掛けで得た知識だった。
ひとつ沼にハマると、色んなことが連動して、自分の世界が広がっていく。
続きます。