おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 第12話感想④魔法と奇跡

 さて、では、最終話の感想ラストいってみたいと思います。

 途中で切らず、ラストまで書いたので、超絶長いです。

 閲覧注意。

 

 

 

 強い思いは、現実を変えることが出来る。

引き寄せの法則」みたいな本もあるから、こう言うと若干うさん臭さも漂ってしまうけど、でも本当だと思う。

 人が真実、心の底から願ったことは、そしてそれを叶えようと強い意志を持って行動に移したことは、大概、叶うのだ。




 クリスマスの夜、約束したわけじゃないのに、会うことが出来た安達と黒沢。

「黒沢と離れるって、自分で選んだのに……俺、すっげー後悔した」

 自分の言葉で、思いを黒沢に伝え始めた安達。

「自分勝手だって、酷いヤツだって分かってる。でも俺……やっぱり黒沢と一緒にいたい」


 よしッよく言った安達!!!

 それ。 それだよ大事なのは…!!



 今の自分が一緒にいることは、黒沢のためにならないかもしれない。

 自分から別れを切り出して、優しい黒沢をたくさん傷つけてしまったことは分かっている。

 でも、もう、黒沢と一緒にいる幸せを知ってしまった。

 これからも一緒にいたいと思ってしまった。

 


「魔法がなくなっても……何回間違えても、そのたびに、黒沢のことを知っていきたい」


 自分の心を、一生懸命伝えようとする安達の姿が尊い

 消極的で、やる前からダメになった後の気まずさを心配して二の足を踏んでいた、臆病な安達はもうどこにもいない。

 この告白が胸を打つのは、安達が本当に、あとのことなんて考えずに、今の気持ちを精一杯黒沢に告げているからだ。



「俺、やっぱり黒沢が…!」


 好きだ、という言葉は、黒沢の抱擁で遮られた。



 黙って、安達の身体を抱き締める黒沢。

 安達の背中に回された手も、包み込むような抱き方も、すべてに黒沢の想いが溢れていて。



(好きだよ……安達……!)




 心の声で告げながら、黒沢の眼から一粒、涙が転がり落ちる。

 この涙が美しくて、まるで宝石のようで、(うわ……ダイヤモンドの粒みたいだな……)とガラにもない感想を抱いてしまった。

 しかしまあ本当に綺麗なお顔ですね。ドアップの演出ありがとうございます。

 こんなパーフェクトなイケメン、この世に存在したんだ……と感動するくらい綺麗な男だね、町田啓太くん。



「安達の、不思議な力の話を聞いて、一個納得がいったことがある。……安達が、俺の心を読んでくれたから、俺たちつきあえたんだな」

 「不思議な力」という言い方が、思いやりがあっていいですね。

 そうか、黒沢くん、ずーっと安達くんのこと見てきたもんね。自分のことを単なる同期としてしか見ていないことも、死ぬほど分かってたはずだもんな。

 黒沢からすれば、終電を逃した安達を泊めた晩から距離が近づいて、仲良くなれた自覚はあったにせよ、後から(なんでつきあってくれてるんだろう…?)と考えてみることがあったかもしれない。

 傍にいて、黒沢が心の中で発しているだけのつもりだった好き好き光線が、安達自身に届いていたとすれば、(あー、だからか……)と納得がいったのかも。

 それにしても、心の声が全部聞かれてたことに関して安達をまったく責めず、それどころか感謝までしている黒沢くん、器がでかい。

 今も、躊躇いなく近づいて、全身で触れて、心の声で「好きだ」と伝えてくるなんて、そこら辺の並の男に出来るワザじゃないと思う。

 超ウルトラスーパー男前だね…!(表現が昭和)




「魔法があったってなくたって、安達は安達だよ」



 そうだよね。黒沢が、この7年間というもの、「同期の同僚」の距離を保ったまま、安達を見てきたことは、もう私たちもよく知っている。

 黒沢が好きになったのは、魔法なんて使えない、地味だけど誠実で、要領が悪いけど丁寧な仕事をする、貧乏くじを引くことも多いけどその分優しい、普段無表情だけど笑うと可愛い、そんな安達清という男だ。

 つきあい始めてからも、安達に対するそんな印象は裏切られなかった。




「ていうか、俺の心読んでたなら、分かるでしょ?」

 

 この台詞をこのトーンで言えちゃうのが凄いよね…!

 安達と一緒にいるとき、心を読まれてたのが分かっても、動揺しないんだ。

 そのくらい、「安達のことが好き!」ていう気持ちしかないんだ。

 いや、知ってたけど。



 この台詞を聞いた安達がまた、台詞はないんだけど、(確かに……)という顔をするんだ。で、ちょっと安心したように見えるんだ。

 赤楚くんも赤楚くんで、芝居が細かい。素晴らしいです。



「俺も、安達じゃなきゃ、嫌だ」



 そう、常に安達ファーストの黒沢くんだけど、欲しいものは欲しい、と言った方がいい。

 この場合それが、相手にとって一番嬉しい言葉だからね。




「もし奇跡が起きて、安達がここに来てくれたら、渡そうって思ってたんだ」




 ちょっと身を引いて、ひざまずく黒沢。まるで王子様みたいだ。マジで。

 恭しく差し出したのは、化粧箱に入った2本の赤い万年筆。

 

「これは…?」

「だって……指輪だと、安達、恥ずかしがってつけてくれないだろ?」



 そう、ここは、指輪を差し出すのが常套のシーンだ。黒沢のことだから多分、指輪も渡したくてリサーチしたに違いない。

 だけど、(…いや、安達は指輪を受け取ってくれたとしても、社内ではつけてくれなさそう)と思ったんだな。

 2人で日常使い出来て、会社で浮かなくて、特別感があるもの。

 で、万年筆のチョイス。

 この一瞬で、そんな黒沢の背景まで浮かんでくる。

 黒沢らしいチョイスでいいと思います!




 胸に手を当てて、ふー……とひと呼吸して、心を落ち着けて。

 安達の顔を正面から見つめて、

「俺と……ずっと、一緒にいてください」

 言われた安達、感極まって、返事しようとして、言葉が出てこない様子で、いったん俯いて。

 でももう、返事はひとつしかないよね。

「……ハイ!」

 うなずきながら、力強くそう答える。

 涙目が可愛い。

 いいお顔!




 想いを確かめ合った2人の笑顔が美しい。

 クリスマスの夜空を彩るのは、藤崎さんと六角があげた花火だ。

 藤崎さん、黒沢と安達がどこかで見ているかもしれないというそれだけで、こんな粋なことやってくれちゃうんだ。

 何も聞かずに、「誰かが幸せになってくれるんなら」とノリでつきあってくれる六角。

 この2人の思いが、ちゃんと黒沢&安達に届いたことも、クリスマスの奇跡のひとつ。

 で、ここ、藤崎さんと六角という「非カップル」のとりあわせなのもいいと思う。

「一人ぼっちで寂しい者同士」なんていう、手垢のついた古臭い台詞がないのも潔い。

 一人だっていいじゃないか。

 ホント、全方位に優しい、思いやりに溢れたドラマ作りだと思います。




「いいの? 力がなくなっちゃっても」

 と黒沢に問われて、

「いい」

と安達、即答。

「黒沢がいれば、魔法なんていらない」

 安達の答えを聞いて、黒沢の顔にゆっくりと笑みが広がり、幸せそうに弾ける様子がいい。

 愛し合う2人の幸せな姿って、なんで見ているだけでこちらも幸せになれるんでしょうね。

 2人を祝福するかのような花火を一緒に見つめる顔も、ぎゅっと繋ぎ合わされた手も、すべてが愛しくて、

 

 おめでとうおめでとうおめでとう……!!

 よかったね……!!!

 

 2人の頭上でリーン…ゴーン……とベルを鳴らしてあげたくなる。




 翌朝。

 窓から差し込む光で眼を覚ました安達。

 寝ぼけ眼ながら、もう既に幸せそうだ。

 寝返りを打つと、隣にはまだ眠っている黒沢の顔がある。

 安達の気配で目覚めると、微笑んで、

「……メリークリスマス」

 恋人にかける声が気だるげだ。

 吹き出した安達が向こうを向いちゃっても、安達の身体に回された黒沢の手が離れない。

「なんで笑うの…?」

「いや、だって…普通『おはよう』だろ?」

 安達も安達で、自分の身体に回された手を拒否しないどころか、その上から自分の手を重ねている。

 完全に「一夜を過ごした後」感のこの密着度。ご馳走様です…!(合掌)

 そこからのー、

「おはよッ!」

 安達をくすぐりながら抱き締めた(器用だね)黒沢が布団をひっかぶって、キャッキャウフフのいちゃいちゃ。

 激甘のイチャイチャシーン、ここまでずっと2人を見守ってきたすべての視聴者が見たかったはずの場面だ。

 ハッピークリスマス!!!




――こうして俺は、魔法使いじゃなくなって、どこにでもいる30歳の男になった。――



 そう、安達もめでたく脱☆童貞=脱☆魔法使いしたわけだ。

 エレベーターでぎゅうぎゅう詰めになっても、もう他人の心の声は聞こえてこない。

(俺、もう魔法使いじゃない……)

(だってもう童貞じゃないし……)

と、確かめる度に二へラ……とふやけた笑顔になるのが、本当に「どこにでもいる30歳の男」っぽい。

 何を思い出してるんでしょうね安達くんは?



 自分のデスクで、赤い万年筆を取り出す安達。

 万年筆を選んだ黒沢は慧眼だった。使うたびに自分のことを思い出してもらえるもんね。

 万年筆を見つめて、幸せそうな笑顔になる安達。黒沢先生の思うツボです。

 近くを通りかかった黒沢と、万年筆でサインを送り合って、また笑顔。

 まあこんなやり取りしてりゃ、藤崎さんに速攻で(あ、うまくいったんだ)てバレてると思うけどね!




 柘植と湊もうまくいっているようだ。

 書店にズラリと並んだ柘植の新刊と、それを見つめる2人の姿。

 

 

 六角は六角で、藤崎さんは藤崎さんで、みんな自分の場所で頑張っている姿が描かれて、そしてラスト。




 安達と黒沢が並んでエレベーターに向かうこの場面、クリスマスの夜からどれくらい経ってるんでしょうね?

 横にいて、じっと自分の顔を見つめてくる黒沢に、

「やめろ恥ずかしい」

と文句をつける安達。

「なんで?」

「今、俺のこと好きだなーとか思ってたろ」

「正解! すごいネー、もう魔法使えないのに」

 ふざける黒沢の言い方がかなり気安い。

 つきあい始めたばかりと同じバカップルの会話なんだけど、より親密度が増しているように感じますね。

「そんくらい黒沢の顔見れば分かるよ」

と答える安達も、いやー、自己肯定感が低かった第1話からすると別人のようだネ…! 愛されている自信に満ちているよ。眩しい。

 2人してエレベーターに乗り込んで、

「じゃあ、今何考えてる?」

 ドヤ顔でクイズを出す黒沢。

「はあ? なんだよそのクイズ」

 黙って安達の顔を見つめる黒沢の手が、安達の肩にかかる。

 察して、安達からも身体を寄せ、唇を近づける。

 2人とも真顔になって、本気のキス……てなったところでエレベーターの扉が閉まる。




 かくして、エレベーターから始まった安達と黒沢の恋、エレベーターの扉が閉まるシーンで「THE END」となり、輪っかが綺麗に閉じて、物語は完成した。





 2020年という年は、誰にとっても大変な1年だった。

 私も個人的に祖母を亡くすという悲しい出来事があり、

「今年1年を色に例えると?」

と問われたなら、

「限りなく黒に近いグレー」

と答えるくらい、後々、暗い記憶として残ってしまいそうな年だった。

 それを、最後に来て、「チェリまほ」が明るいピンク色を差し込んでくれた。

 黒沢と安達、2人と一緒になって、ドキドキしたり、思い切り笑ったり、心から楽しいと思える時間を過ごすことが出来た。

 多分、私と同じように感じる人は多いんじゃないかな。

 それこそが「チェリまほ」がかけてくれた魔法だ。




 このドラマを作ってくれ、私たちにこんな楽しい時間をくれたすべての関係者に心からの感謝を捧げたいと思う。

 何回でも言う。

 本当にありがとうございました!