魔性の若見えBBA
一口に
「若く見える」
と言っても、多分それには2種類あるのだと思う。
この場合、単なるお世辞や嬉しがらせは除きます。
まずは、多くの人がポジティブな意味で使う「若く見える」。
「年齢を感じさせない」のは、経年劣化というか、衰えを感じさせないということで、ぷりっと皮が張っていて光っている葡萄の果実のような、フレッシュで瑞々しいイメージがこれに当たる。
肌にハリと艶があって、内側から光り輝いている感じ。
17~25歳くらいの女性だと、特に手入れなんてしてなくても、本当にこんな感じで、これはもう若さゆえの財産ですわね。
年齢を重ねても、この「瑞々しさ」を失わずにいる人はいる。
世の女性たちは、こちらの意味での「若々しさ」を目指して、日夜美容に努力を重ねるのだろう。
もうひとつが、私が前章で自分ごととして書いた、「大人になりきれていない」と言う意味での「若く見える」。
こちらは、ぱっと見の印象や挙措に、大人らしい落ち着きや物慣れた様子がなく、枯れてもいないけど熟してもいない。
「若く見える」というよりは「年齢不詳」。
外見と中身が100%合致する人ばかりじゃないので、話してみるととても大人だった、という人もいるだろうと思う。
が、私の周りにいるこういうタイプ、自分も含め、割と外見の印象を裏切らないことが多いな、というイメージ。
「若く見える」
というのが、例えばかなり寝かせたワインなのに、軽やかな果実味とフレッシュさもありつつ、味わうとどっしりとした土の香りも感じるような、フルボディの赤、みたいなゴージャスな感じだと、最高だと思うんだ。
だけど、自分の若見えはどうやら、いい加減熟成してもいいくらい寝かせたはずなのに、なんかもう一つ旨味が出てない味噌というか、美味しくなってないカスカスのぬか漬けというか、うーん、どうも自分の例えだとショボくなるな。和テイストだし。
だから、もしかすると
「フレッシュに見えますね!」
という意味で(お世辞も込みで)言ってくれた言葉だったとしても、受け取る方としては、
「漬かってませんね」
と言われたぬか漬けのナスの気分……と言って伝わるかなー。伝わり辛いかなー。
前の記事にも書いたように、肌の手入れはそれなりにしてます。
16のときに日焼けするのをやめたので、年齢の割に肌は傷んでない方だとは思う。シミやシワも比較的少ないのは確か。どちらもちゃんとありますけどね。
年相応に見られるには、じゃあそういうお手入れをやめればいいのかと言えば、それはそれでねえ。
熟さずにそのまま干からびたみたいになるのもイヤだし。
まあでも多分、若く見られても、老けて見られても、みんなそれなりに外見て悩みの種なんだろうな。
めっちゃ努力してるのに年相応にしか見られない……というお悩みもあるだろうし。
そして多分、私の悩みなんか、家庭のある人からすれば所詮優雅な独身者のタワゴトに過ぎないんだろうとも思う。
前述したような、よく出来たフルボディの赤ワインのフレッシュさと円熟味を兼ね備えた「大人の貫禄」が欲しかった私ですが、今のところ到底それは無理そうだ。
ただ、今の職業で、人にあることを指導する立場なんですが、そのユーザーさんからは、
「ちゃんとやればあなたのように若くいられるのね!」
と、希望を持ってもらえているみたいだ。
厳密に言えばそうではないんだけど、まあ、結果オーライでそれでもいっか!と、受け入れる境地に達しつつある。
こうなったらもう、実年齢を知った人を漏れなく
「ええっ!?」
と混乱に陥れる魔性の若見えBBAを目指そうかな、と。
「35歳に見える47歳」って、多分私の他にもまあまあいるだろうけど、「35歳に見える50歳」だとかなり減ってくるだろうし、「35歳に見える55歳」ならぼちぼちどっかから取材が来るかもしれん。
せっかくなんで、いけるところまでいってみようかと思っております。
そんな47歳の誕生日でした。