おっさんずラブが好き!

ドラマ「おっさんずラブ」の細かすぎるレビューブログ。OLの深い沼にハマって当分正気に戻れません。ほぼおっさんずラブの話題しかないかもしれない。ネタはバレまくりなのでご注意を。

壺を買うか買わないか

 コロナ罹患後、高熱に苦しんだ10日間を経て、娑婆に復帰し、なかなか戻らない体力にしんどい思いをしていた先月半ば、しきりに脳裏をかすめていた考えがある。

 2月に事故で負傷。それから数か月と経たないうちのコロナ罹患。

(なんで?)

という思いが、どうしても沸いてくるんだな。

(これは偶然なのか?)

と。

(いやいや、偶然でしょう。立て続けに悪いことが襲ってくることもある)

と、平常時は判断できる。でも、身体が辛いと、思考もネガティブモードになりがちで、馬鹿なこととは思いつつも、

(……私、なんかしたかな?)

と、あたかも自分が過去にした過ちの罰であるかのように考えてしまうこともあった。

 だって、1月に掲げた今年の抱負、「健康」だよ。それが立て続けに怪我とコロナ、冗談みたいなタイミングじゃないですか。

 そこが人間の弱さと知っているのに、つい、

(そこに意味はあるのか?)

と疑ってしまう。

 偶然ではなく、何か意味があったのではないか、と。



 で、分かった。

 こういうタイミングで、狙いすまして

「何か心にかかることがおありですね」

と自称カリスマ占い師でも現れたら、ちょっと心がぐらつくかもしれん。

「大変な目に遭われましたね。でもそれは、実はスピリチュアルな世界からのメッセージなのです」

とか言われたら、信じてしまいそうになるかも。

 そんで、水晶玉だかタロットカードだかを覗き込みながら、

「ああ……このままだと、8月にまた、何か大きな出来事に見舞われるかもしれません」

「でも、今ならまだ間に合います。私の友人も、前世の過ちが元で起きている霊障に悩まされていましたが、この壺を買うことで未来の禍を回避できました」

「今は皆さん大変な時です。30万円を、コロナ特別価格の15万円でお渡しできます」

とかなんとか畳みかけるように言われたら、もう痛い目を見たくない一心で、

「か……買います!」

と口走るやもしれぬ。

 いや知らんけど。



 なるほどなあ、と思ったのだった。

 人はとかく、自分の周りで起こる事象に意味を求める生き物だ。人間の脳は無意味やまったくの偶然を嫌う。超速で物事を暗記する達人は、一見バラバラの、意味のない文字の羅列に、自分なりの意味をくっつけて覚えるという。

 自分にとって「よくない」と思える出来事が続くと、つい、(何か原因があるのではないか)と考えてしまう。

 上に挙げたのは単なる仮定の話だけど、コロナ禍の今、こういう霊感商売、どこかの悪党がやってそうですやん。

 くわばらくわばら。




 やっと本当に体力が元の通りに回復した。休日の一日、おかずのつくりおきに精を出すことも出来るし、終わってからハードな筋トレに汗をかくことも出来るようになった。

 怪我とコロナで、自分の思うとおりに身体を動かせない期間を長く経験した今、このことを(めちゃくちゃありがたい)と痛感している。

 一番大事なのは健康だと、40も過ぎれば誰しも分かってはいると思うんですよね。

 でも、頭で理解しているのと、実際に失ってみて、ありがたみが骨身にしみているのとでは、理解度が違う。

 1月に、「今年の目標は『健康』!」と掲げたときと、今では、心持がまるで違っている。

 人間、大事なのは健康だし、若さを失ってからは、健康の維持にはそれなりの努力が要る。

 自分メンテ、本当に重要。




 インチキ霊感商法は唾棄すべきだけど、スピリチュアル系が全部インチキかと言えば、そうとも言えない、と私は思っている。

 「健康」を掲げたものの、心と身体全部で分かったとは言えない私にとって、怪我とコロナが立て続けに襲ってきたのは、結果的によかったのだ、と今では思う。

(もしかすると、私の守護霊がそう仕向けたのかも)

くらいには思いますね。

 360度どこから見ても健康! 心も身体も元気! な状態を維持するには、自分の頭で考えて、積極的に食療法や筋トレやしていかないといけないことも分かってるし。

 苦難の経験を有意義に捉えて、今後も頑張っていきたいと思います。




 あ、ちなみに、表題ですが、壺を買うのが悪いと言っているわけではありません。悪しからず。

 数十万の壺をぽんと買う経済的な余力があり、買っても後悔しないなら、それはその人にとって、ごく普通の買い物に過ぎない。

 その上、「買ってよかった!」と思えるならもう、他者が咎めるポイントは何もない。

 壺購入は、購入者の人生にプラスの作用をもたらしているのだ。

 この辺のからくりは、京極夏彦京極堂シリーズを読むと、詳しくなれます。



 高額の壺を買うには、経済的にも家のスペース的にも余裕のない私は、立て続けに襲ってきた不幸(?)の意味を自分なりに捉えて、今年の後半はせめて健康でアクティブに過ごせるよう、腐心していく所存でございます。

 怪我とコロナの高熱で大変だったけど、人生の経験値はまたひとつあがったような気がする。